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クーヤちゃん ~Legend of Shota~ このかわいい召喚士は、地球からアイテムを召喚してしまったみたいです  作者: ほむらさん


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第577話 調子に乗って薬も売ってみる

 

「ところでトイレを借りたいのだが」



 商業ギルドの男性職員によるこの一言に、『キタ!』って感じで、ロコ姉ちゃんと映写機を改造していたレミお姉ちゃんと顔を見合わせた。


 もちろん従業員達の口端も上がってます。



「もちろんいいですよ!じゃあ案内しますね」

「あ、俺もトイレ!」

「お客様用の個室が二つあるから二人とも大丈夫ですよ。ただし!」


 大きな声を出したので、職員達がクーヤちゃんに注目する。


「大きい方をしてきてください」

「いや、なんで大きい方限定なんだよ!!」

「まだオープン前なので、便器くんを汚したくないから男性にも座って使ってほしいってのが理由なのですが、どうせだったら大きい方をしてもらった方が、ウチの最強トイレの真の実力を知ることができるのです!」

「最強トイレだと?」

「普通のトイレと違うのですか?」

「クーヤちゃん薬局は時代の最先端をゆく店なのです。おそらくこのトイレを使いたいがためにウチの店に来るお客さんも出現するでしょうね」

「意味が分からん。たかがトイレのためにわざわざ来るのか?」

「あと涼みにも来るでしょうね。そういう目的で来られるのは嫌なのですが、何か買ってってくれるならそれでも構わないってスタンスでいくしかないでしょう」

「ただ涼みに来るだけってのはあり得るな」

「とにかくトイレに案内します。頑張って大きい方を出してきてください」



 二人をトイレに案内した。あとは10分待つだけです。


 恒例の行事なのですが、何度やっても楽しいんですよねこれ。

 もちろんこの後、ボクの担当の職員さんにも行ってもらいますとも。


 約10分後、二人のおっさんがトイレから出てきた。



「この店のトイレ・・・、もうなんつーか、異常過ぎる!!」

「凄いなんてレベルじゃねえぞ!ウインズも今すぐ行ってこい!絶対に大きい方をするんだぞ!」

「いや、突然大きい方を出せと言われてもですね、・・・そんなに凄いトイレなのですか?」

「ほとんど出なかったから右のトイレを使うといい。それに『消臭スプレー』とかいうのをシュッとしてきたから、むしろ良い香りになったハズだ!」

「あ~、そういえば大をしたって分かってるのに入るのは嫌ですね。でも良い香りがするって、なんか笑えるのですが!」

「とにかく行ってこい!常識がひっくり返るぞ!」



 そうそう!ボクの担当の眼鏡の職員さんは『ウインズ』って名前なのです。

 そんな名前ですが、馬面(うまヅラ)どころかむしろ優男って感じのイケメンですよ!


 『出るかなあ・・・』と呟きながら、ウインズさんもトイレに入っていった。


 そして10分後、ほわ~~~って顔をしながらテーブルに帰って来ました。



「ヤバかっただろ!?」

「こんなの私が知ってるトイレじゃありません。水が、いや、温水が出てきたのにも驚きましたが、風がビュオーーーって吹いた時にはもう半笑いでしたよ!」

「もう狂ってるとしか思えんよな!こんな清潔なトイレが存在するとは・・・」

「トイレから出てすぐ手を洗えるってのも素晴らしいな!」


 カルチャーショックで三人の会話が止まりません。

 外で馬車を待たせてると思うんだけど大丈夫なのかな?


「実はボクの知り合いがもうすぐ起業するのですが、少し特殊な会社でして、そこで便器くんを売りに出す予定なのですよ。すでにこの店に設置されている理由は、便器くんの宣伝でもあります」


「「おおおおおおおおおおーーーーーーーーーー!!」」


「あのトイレと同じ物が買えるのか!?」

「便器くんだけ買っても取り付けるのが大変だから、工事費込みで結構高くなっちゃうとは思うけど、ウチみたいな最強トイレに生まれ変わりますよ」

「買うに決まってるだろ!金額の問題じゃねえ!こいつは絶対に必要だ!!」

「商業ギルドはもちろんですが、これは私の家にも欲しいですね」

「我が家にも欲しいぞ!もう格が違いすぎるんだよ!」



 ギルド職員達は大興奮ですが、当の本人である便器屋さんの副社長はまだ動く時じゃないって感じで静観してます。なんせまだ会社が無いのですから、予約も受け付けてませんしね。


 少し落ち着いたところで、職員の一人がボソッと呟いた。



「うーむ・・・、飲食店なのかと思っていたが、部屋を涼しくする魔道具が売っていたり最強便器の宣伝をしたり、此処って結局なんの店なんだ?」


 良い質問です!


「店の名前は『クーヤちゃん薬局』です。そして『やっきょく』っていうのは薬が買えるお店のことなのですが、その『くすり』というのは、病気の治療をしてくれるアイテムのことです」

「怪我ではなく病気の治療なのか?」

「残念ながらどんな病気でも治療出来るってわけじゃないですけど、ウチで販売するのは風邪を治す薬と目を治す薬です」

「風邪を治すだと!?」

「オルガライドの街から風邪を一掃するのが、ボクの野望であり使命ですので!」

「目を治すというのは?」



 眼鏡のウインズさんならこっちに食いつくと思いました!



「視力が良くなります!」



「「視力だと!?」」



「もう何年も眼鏡を掛け続けていて眼鏡が顔の一部だったボクのお姉ちゃんが、目薬のおかげで視力が良くなり、ポイッと眼鏡を捨てましたよ」


 ガタン!


「本当ですか!?」


 思わずウインズさんが立ち上がった。

 実際は眼鏡を捨ててませんし、女神の湯で治療したんですけどね。


「いくら何でも信じられん!眼鏡が必要無くなるというのか?」

「必要無くなりますね。街から眼鏡美人がいなくなるのは寂しいですが」

「売って下さい!」

「あ~、でも一瞬で治ったりはしませんよ?お姉ちゃんの目が治るまで2年近くかかりました。それと目薬の値段は10000ピリンと少々お高めです。1日2回の使用で大体一ヶ月くらい使えます」

「2年ですか・・・。いや、それでもやってみる価値はあります!」

「1日4回くらい使えばもしかしたら1年で視力が復活するかもしれないし、正直ボクもハッキリとはわかってなかったりします」

「いやいや、お前も落ち着け!普通に考えて、視力が良くなるってのは商品を売るための謳い文句だろ!」


 おおう、信じてもらえん!本当なのに・・・。


「信じてもらおうにも長期戦だからな~。とりあえず1回試してみますか?目薬を持って来ますのでちょっと待っててください」



 すでにカウンターショーケースの中に目薬と鼻シュッシュと喉シュッシュを並べてあったので、一種類ずつ持ってきた。



「これが目薬です。使い方は・・・、ボクの真似をしてください!」



 ボクも初心者みたいなもんですが、蓋を開けて目薬を右手に持ち、上を向いて左手の親指と人差し指で目を開いて、両目に一滴ずつ差した。


 目薬のプロがどう差すのかは知りません。

 でも眼球にくっつけるのはあまり良くないと思います。



「キターーーーーーーーーーーーーーー!!」


「・・・いや、何が来たんだ?」

「言ってみただけです。キターって叫ぶと気合が入るのです」

「気合って何だよ!?」


 スースーする目薬じゃないので、言うほどキてません。


「さささ、ウインズさんもやってみてください。親指と人差し指と中指で持って軽くキュッと摘まめば1滴だけ出せます」

「難しそうですね・・・」


 ウインズさんが眼鏡を外して説明を受けながらボクの真似をしたのですが、なんとか両目に目薬を差すことが出来ました。


「・・・どうだ?」


 目をパチパチさせていたウインズさんが、ぐるりと店内を見渡した。


「買います!」


「「なにッ!?」」


「いや、自分でもちょっと不思議な感覚なのですが、効いてるのは間違いないんですよ!目の疲労がとれたような?」


 おおお!?その情報は薬局の店長も驚きですぞ!


「みなさんそろそろ老眼とかキテませんか?クーヤちゃん薬局の目薬は近眼にも老眼にも乱視にも眼精疲労にも効きますから、試してみるといいです」

「ウーム・・・、この子も使ってたし試してみるか・・・」



 というわけで、名も知らぬおっちゃん2人も目薬を差した。



「マジだ・・・。説明はしにくいが確かに効いている!」

「うむ。少なくとも疲れ目が癒されてシャッキリしたぞ!この子が言うように視力が良くなる予感もするな・・・」

「ですよね!?クーヤくんの言ってることは真実だと思いますよ!」


 なるほど、お客さんがギルド職員ってのが今回は吉と出ましたな。


「過酷な商業ギルドの仕事で目を疲れさせて来るとは、みんな流石なのです!」


「「狙ってねえよ!!」」



 長期戦の果てに視力が良くなる商品をアピールするのって実は難しいってことが判明したけど、目の疲れを一瞬で回復させたみたいで、クーヤちゃん薬局の目薬は効くってことで意見が一致しましたぞ!


 正直、デスクワークの眼精疲労をナメてたかも。

 ついでに風邪薬も売れないかな?

 

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