第576話 カード決済マシーンを買いに行く
冒険者チームはすでに商品棚作りに飽きていて、今日も元気にチョックル広場へ向かいました。
桟橋を作って釣りをするのが楽しみなのはすごくわかるので、ボクも期待してるんですけどね!それと別荘も建てるみたいだからメッチャ楽しみです。
作業内容的にパワーと魔法が必要なので、ボクとロコ姉ちゃんはいつものように薬局チームなのですが、実はボクかロコ姉ちゃんがいれば桟橋作りが捗るような気もしないでもないですね。
まあこっちはこっちでやることがあるから、気にしなくていいでしょう。
でも今日は特に予定が無かったので、後回しにしてたカード決済マシーンを買いに行くことにしました。
役所・・・というか商業ギルドで買えるらしいから、ロコ姉ちゃんと三馬鹿従業員を連れて出発!
なんか最近いつもロコ姉ちゃんをこき使ってる気がするので、彼女にも給料を渡さないとですね~。ボクのせいで冒険者として稼げてないわけだから、クーヤちゃん薬局の従業員としてしっかり面倒みないと!
商業ギルドに到着。
アホ鳥から降りて、ワーっと建物の中に入っていった。
「カード決済マシーンを売ってください!」
ルピスお姉ちゃんに抱っこされた状態の子供が500万するマシーンを欲しがっているので、受付の眼鏡美人の動きが止まった。
「・・・えーと、アレがいくらするか分かってて言ってますか?」
「500万くらいするって聞きました。近々店をオープンするので。カード決済マシーンが必要なのですよ」
「店ですか!?え?この子が?」
「あっ!クーヤくんじゃないですか」
特許の出願でいつもお世話になっている眼鏡を掛けた男性職員が、ボクに気付いてこっちに歩いて来た。
「おはよーなのです!カード決済マシーンを買いに来ました!」
男性職員が驚いた顔をした。
「お売りすることはできますが、すごく高いですよ?」
「500万くらいするって聞いたけど買うのです」
「ね?この子、アレを欲しいとか言ってるのよ!」
「本当に買うつもりなんだと思いますよ」
「ウソでしょ!?そんなお金どこから・・・」
「心配せずとも払えるでしょうね。とにかく後は私に任せて下さい」
「あ、はい」
「クーヤくん、こちらへどうぞ」
最近ボクの担当みたいになってる男性職員に案内され、特許の申請をする時にいつも連れていかれる部屋に入っていった。
男性職員が奥の部屋からカード決済マシーンを台車で運んで来て、頑丈そうなテーブルの上に機材を並べていく。
「この大きいのが本体です。そしてこちらの道具はカード情報を『ピッ』と読み取るやつですね」
「なるほど!これでピッと読み取った情報が本体に送られるんですね!」
「そういうことです!かなり複雑な仕組みになっているので、結構値段もお高めなんですよ」
「うん。これは高くてもしょうがないと思います。本体に送られたカード情報がさらに商業ギルドまで送られる感じですよね?」
「よく知ってますね!?お金を扱う魔道具ですので、設置と定期メンテナンスは商業ギルドで行います。毎月メンテナンス費用が掛かりますがそこはご了承下さい」
「了解なのです!ところでピッとする道具が三つ置いてあるけど、全部セットなのですか?」
「いえ、『本体』と『ピッと読み込む道具一つ』がセットで500万ピリンで、ピッと読み込む道具を一つ増やすごとに100万ピリンかかります」
なるほど!100万でレジを一つ増やせる感じなのか。
クーヤちゃん薬局の場合、レジカウンターと喫茶に一つずつ必要かな?
「ピッと読み込む道具は二つ欲しいです。後から増やすことって可能ですか?」
「可能ですよ」
「じゃあ二つ買います!」
「合計600万ピリンとなりますが、大丈夫ですか?」
「あい!カードでお願いします」
男性職員に商業カードを手渡した。
「では少々お待ち下さい」
バタン
職員が部屋を出ていくと、大人しくしていた従業員達が騒ぎ出した。
「子供店長すげーーーーーーーーーー!ギルド職員にも知り合いがいて、普通に難しい話をしてたぞ!」
「話の内容が半分も分からなかった!」
「しかも600万をポンと払ったよ!」
「クーヤちゃんはよく特許の申請に来てるから常連なんだよ」
「特許ってマジで!?」
男性職員はすぐ戻って来たんだけど、大きな買い物でボクの商業ギルドのランクがDランクに上がったらしく、カードの更新に少し時間が掛かるということで、その間に契約書にサインしたりとか色々忙しかった。
それと店の売り上げがボクのカードに全部入ってしまうのは困るので、クーヤちゃん薬局のカードも作りました。
「今から店に設置するということで宜しいですか?」
「あい!」
「それでは機材を運搬する馬車を手配しますので、もう少々お待ちを」
馬車が来て、それに乗ってくことになったんだけど、無駄に人数が多かったので全員乗れないということで、職員3名と一緒にロコ姉ちゃんが馬車に乗ってクーヤちゃん薬局に案内し、ボク達はアホ鳥で馬車についてくことになった。
新人達はまだアホ鳥の操縦が出来ないので、遠隔操作する必要があるのです。
「あたし達がいる意味が分からんけど、なんか色々勉強になった」
「うん。貴重な経験してると思う」
「あの職員さんも一緒に行くんだね~」
「しってる人が来てくれて助かったのです」
そしてカード決済マシーンを乗せた馬車がクーヤちゃん薬局に到着した。
馬車から降りた職員達が、やたらと可愛らしいクーヤちゃん薬局と光るカロリーゼロを見て思わず叫んだ。
「「なんだこれは!!」」
「クーヤちゃん薬局にようこそ!さささ、中にお入りください」
「いやこれ、カロリーゼロ・・・なのか?」
「こんな綺麗なカロリーゼロなんか初めて見たぞ!」
「へ~、これがクーヤくんの店ですか!すごく可愛らしい店ですね」
職員が慎重に台車を押しながら店内に入った。
「なんでこんなに涼しいんだ!?」
「最新式の魔道具で店内を涼しくしてるのです。まだ非売品ですがウチの店で販売する予定なので、オープンしたら是非買いに来てください!」
「素晴らしい魔道具じゃないか!」
「商業ギルドに欲しいですね!絶対買いに来ましょう!」
カード決済マシーンをどこに設置するかですが、やっぱり本体はレジカウンターの中に設置することにしました。
そしてカウンターにピッと読み込む道具を一つ置いてもらい、もう一つは薬局喫茶のカウンターに置いてもらった。
この道具に名前は無いらしく、何でもいいから名前をつければいいのにって思いましたが、本体から長いコードが伸びてるわけでもなく、魔石を嵌め込むだけですぐ使えるみたいです。なんでカード関係だけやたらとハイテクなのか・・・。
いつもの男性職員に、カード決済マシーン本体に商品の金額を入力するやり方などを教わって、ロコ姉ちゃんと一緒に打ち込んでいったんだけど、お試しってことで職員達が最初のお客さんとなって軽く注文してくれることになった。
とりあえずコーヒーと紅茶を300ピリンにして、ハンバーガーは250ピリンにしました。
「やたらと種類が多いが、何一つわからんな!」
「やはり男ならブルーマウンテンでしょう。それとハンバーガーで合計550ピリンになりますがいいですか?」
「わからん。任せる」
「よくわからんが、それで頼む」
「では私もそれで」
従業員達に視線を向ける。
「さあ初仕事です!ブルーマウンテン三つ!」
「「はい!」」
おぼつかない手つきで、ブルーマウンテンの値札をピッとしてからハンバーガーの値札をピッとして、最後に職員のギルドカードをピッとした。
「これでいい?」
「それで大丈夫です。3人分やったら本体を見て確認して下さい。先ほど説明したボタンを押せばレシートを出すことができます」
「あい!」
3人分やってからロコ姉ちゃんと一緒にカード決済マシーン本体を見に行って、ちゃんと出来ているか確認し、領収書となるレシートを出して戻って来た。
それを職員達に渡すと、バッチリだって褒められた。
ただ領収書の紙はいつか使い切るので、商業ギルドで買う必要があるみたい。
職員達の前にホカホカのコーヒーが運ばれてきた。
「コーヒーはぶっちゃけ苦いです。初心者は砂糖とコーヒーフレッシュを入れた方が美味しくいただけるでしょう」
まずそのまま飲ませて苦さを確認してもらってから、砂糖とコーヒーフレッシュで甘さとまろやかさを調節してもらう。
「なるほど。これはオシャレだな!」
「この香りとか、結構好きかもしれん」
「自分で甘さを調節できるってのが面白いですね」
そして3人にハンバーガーをお出しした。
「パンか!」
「肉と野菜が挟まってるな」
「これは美味しそうですね!良い匂いがします」
そしてがぶり。
「「美味い!!」」
初めて食べるハンバーガーに感動したようで、3人ともぺろりと平らげた。
「これは本当に美味いぞ!」
「もう一つ買いたいのだが!」
「私もお願いします!」
「まいどあり!従業員の皆さん、ピッとやってみてください」
従業員達にもハンバーガーの値札とギルドカードをピッとやってもらい、レシートを取って来る間に追加のハンバーガーをお出しした。
「この美味さで250ピリンは安いな!」
「こんなの無限に食えるぞ!」
「美味しい料理に珍しい飲み物、そして涼しい店内。素晴らしい店ですね!」
職員3名がコーヒーを飲み干したので、次は紅茶をお出しした。
コーヒーも喜んでくれたけど紅茶も気に入ったみたいで、そして何よりハンバーガーの美味さにやられたらしく、3人ともこの店を気に入ってくれたようです。
まさか最初のお客さんが商業ギルドの職員になるとはな~。




