☆ 可笑しな家
「な、何ですの!!あの家はっ!」
「う、羨ましい………………。」
「どうやって出来てんだよっ!つーか、こんな家にマモンって似合わねーだろ!!」
「あの家は食えるのか?」
悪魔達の頭の中は謎・謎・謎。
だってあの家、お菓子で出来てるんだもの‼︎
屋根はダークチョコで扉はミルクチョコ。
壁は、ココナッツの香りがするビスケット。
窓はまぁるいチョコチップ入りクッキー。
そして庭には色取り取りのCandee。
更に飾りとして置かれてるのはプリンのクッションと、マー○ルチョコレートみたいなモノまで色々あった。
そう、コレはまるで……………
「………………ヘンゼルとグレーテルだ」
童話であったよね。
「何だそれ?」
あぁ、この世界にはないのか。
「っ、マモンが出てきたよ。」
マモンは、20代くらいで、特徴的な魔女鼻とステッキを持った妖女だった。
本当にまんま『ヘンゼルとグレーテル』じゃん。
あー、でも童話では魔女はしわくちゃのおばあちゃんだったね。
「一先ず、此処から離れて作戦を立てませんこと?」
その言葉に従い、私たちはその場を後にした。
「じゃ、作戦会議をしようか。リオ、何時ものよろしく」
「ええ、では僭越ながら。」
リオは目を閉じ、両手をかざす。
此処だけ見れば、絶世の美女なのに勿体ない………………。
そして、見る見るうちに周りに水のヴェール
が……………。
「コレは一体、」
「リオお得意の、水魔法から聖水のヴェールを作ったんだよ。」
聖水のヴェール?
へぇ、綺麗ね。
でも何故ヴェールを?
「…………いつ何処に敵がいるか分からないこの状況で呑気におっぴらけで話し合いする奴は居ないぞ。」
敵?
どういうこと?
「俺たちのミッションは、『あのマモンからフォースを奪う事』。だが、もし別のチームのミッションが『マモンを保護すること』だったら……。」
「あっ、、、そうね。それは、面倒臭い敵ね。」
「話はまとまりましたかしら?」
リオはニコリと微笑み、
「聖水は時間が経つにつれ効果は薄れます。なので、早くまとめてしまいましょう。
ユイ、貴方の言ったヘンゼルとグレーテルの話を教えて頂いても?」
「へ?い、良いけど。それ、策に使えるかどうかは………………。」
「大丈夫ですわ。」
リオはいつもとは違い、何やら確信めいた口調で強く言った。
「そ、それなら、、」
そうして、私は一旦話を整理するために深呼吸をして話した。
『昔、ある所に貧しい木こりの家に住む家族がいました。その家族の男の子ははヘンゼルといい、女の子の方はグレーテルと言います。
ある年のこと、凶作により、ヘンゼルとグレーテルは山に置いていかれました。途方に暮れた二人はそのまま森へ進むと、お菓子の家を見つけました。二人はお腹が空いていたので、この家にかじりつきました。すると、その家の中から魔女が出てき、二人を家に招きました。しかし、その魔女は人食い魔女だったのです。ヘンゼルは牢屋に繋がれ、グレーテルは兄を太らせる為沢山の料理を作らされていました。
しかし、ヘンゼルはいつまでたっても太らないことに腹を立てた魔女は先にグレーテルを食べようとしました。が、そのことは既にグレーテルに知られていた為に返って魔女はグレーテルによってカマドに押し込められ焼かれてしまいました。そうして、二人は魔女の財宝を盗み、幸せに暮らしました』
おしまい。
一通り話すと、彼らは複雑そうな顔を浮かべた。
「その話は、本当に子供向けなのか?」
「ふーん、つまりヘンゼルとグレーテルは強盗犯であり殺人犯なのね。でも子供にこんな話をしても大丈夫なの?」
「魔女をかまどで焼くだなんて、其奴らやばくないか?孤児だとしても、人道から離れすぎてるぞ。」
ん?
なんか、現実味を帯びた感想が。
悪魔が人道から離れすぎてるぞっていうのも変だけど。
「ふっふっふっ、」
「リ、オ?」
ドス黒すぎる笑みを浮かべ私の肩を掴んだ。
ヤバイ、、、嫌な予感しかしない、、、
逃げたくても肩を掴まれてるし、両サイドには、他の悪魔達が。
「子わんこちゃん?
貴方は今からグレーテルちゃんになるのです‼︎」
………………………は?
 




