カガミコンプレックス
加賀見邸は加賀見ナツの自動遠隔ロボットの大金の稼ぎによって異能特区に建てられた豪邸であり、その豪邸の建築方針は超力系順応属の異能者である加賀見ナツの意見を盛り込んで作られている。
スーパーコンピュータ以上の電子演算処理、機械工学の知識の資質の2つを併せ持った異能力者の加賀見ナツは、その家に三姉妹が仲良く寝れる特注のベッドやら三姉妹が仲良く過ごせる大きなリビングルーム、さらにはカジノルームや模型部屋などかなり普通とは違う、彼女のセンスと面白さで作られただろうこの豪邸の中で、彼女が仕事部屋として愛用している部屋がある。
それは本が沢山置かれた、所謂書斎である。
彼女はいちいち知識が積もった本や、資料を調べるパソコンが別の部屋にある事こそが非効率であり、なおかつ割に合わない事であると言い、そこに自身の仕事道具である設計図を書くための筆記用具やらドライバー、金属片や電子機器などの材料を全て一つの部屋で済ませようとしたのだから、結果的に書斎と言うよりかは資材置き場に近いものになっていた。
そんな資材置き場と化した書斎で加賀見ナツはコンピューターにキーボードで入力し、加賀見フユは工具のはんだごてを使って機械のはんだ付けを行っていた。
「ねぇ、フユ」
と、ナツはコンピューターに物凄い速度でキー入力を行いながら、フユにそう話題を切り出していた。
「なんですか、ナツお姉さま?」
「フユはアキお姉たんのように学校に進学したいですぅ? 私はこの異能力に関して電子工学科の大学から准教授の資格を頂いていますので、今さら学校に進学したいとは思わないんですけどねぇ。フユは普通に高校に進学しても可笑しくないくらいの学力はあるしねぇー。
君の、学園の入学証くらいはこっちで用意してあげるしねぇ」
フユがそう言うと、ナツはと言うと
「いえ、別に。ナツお姉さまの隣で勉強させていただきます方が、1ギガバイトも参考になります」
「なら良いんだけどねぇ……私達3人はあまりにも似すぎてしまっているから、私が学校に行きたくてしょうがないから、てっきりフユもそうかなぁって」
「そんな事はありません。私はその事について諦め、学校に行ったアキお姉さまとナツお姉さまを羨ましく思っています」
そう言いながらフユはねじ回しを使って機械の取り付けを続けていた。
「そう言えば、ナツお姉さま?」
「……なぁに、フユ? 頼れるお姉たんにジャンジャン話を振って構わないよ。さぁ、カモン! へい、カモン!」
フユは嬉しそうに微笑んでいるナツに対し、「アキお姉さまの事です」と淡々としたいつもの様子で話を振っていた。
「アキお姉さまはあの古い鐘が鳴るとその鐘の相手と戦わなければならないと1ビットくらい、ちょっとばかり勘違いしていたようですが、あの嘘の噂を教えたのはナツお姉さまですよね?」
「そう! アキお姉たんが悪い男と勘違いの恋愛をしないように、予め教えて置いたの! ねぇ、私って凄くない!? ねぇ、凄くない!?」
嬉しそうに笑うナツを見て、「あっ、そう」と頼りなさげに笑うフユ。
「……それはナツお姉さまが最近情報交換をしている、源浮雲と名乗るテロリストと関係するんですか?」
その言葉に対し、ナツはいつもの子供みたいに微笑む顔を止めて、西城生徒会長に対して加賀見アキが見せたのと同じくらい感情が感じられない無表情な顔でフユを見る。
「あの人はテロリストなんかじゃないよ。『地動説』を唱えたガリレオ・ガリレイが異端扱いされたように、人はいきなり自分の常識が覆されるような事を言われるとその事が信じられなくなる。異能力だって本当だったら、民間に公表される20年前には既に存在していたとも言われますからね」
「それはサイトに接続した限り……陰謀論の確率が99%なんですが」
「まぁ、それはあくまでも、ただの例だからさぁ。気にしないでねぇ。まぁ、そんな訳で気にしないでねぇ、浮雲の事は関係ですよぉ」
嬉しそうに笑うナツ。
「お姉たんには悪いけど、あの鐘の事件の真犯人である源浮雲さんは捕まらせる訳にはいかないんだよねぇ。私達と言う加賀見家の三姉妹のコンプレックスを解消するためにも浮雲さんは必要なんですよぉ。と言う訳で、そろそろ浮雲さんから連絡が来ると思うから、後はよろしくねー! じゃあねー!」
そう言ってナツは嬉しそうに書斎を出て行った。
その様子をフユは「全く姉さまは……」と言いながら、
「まぁ、良いか……。そもそもの原因は私なんですから」
と、溜め息を吐きながらフユは機械の工作を続けるのであった。
次回、「ウイッチミステイク」




