カガミファミリー
とりあえず猫屋敷さんの事については、彼女の異能力があの持っている物に左右されると言う可能性を考えた私達はと言うと、明日の朝に彼女と戦う事を作戦として考えた。
放課後でも休み時間でも良いんだが、生徒会長である西城姫花さんが朝以外は生徒会のお仕事で作戦が遂行出来ないと言っていたから、作戦をするのは朝となった。
こっちが割に合わない戦いをしているのにその当事者である西城生徒会長が参加しないなんてありえないでしょうが。
戦うのは明日と言う事になっているから今日はもう帰ろうかと思ったんだけれども、ナツさんがムキーと言いながら
「お姉ちゃんの友達が家に泊まって来るなんてあんまりないんだから! ぜーったいにこのまま帰るなんてダメです! ほら、今からだったら暗いから大変ですし! フユ、お客様に寝床の準備をしておいて!」
「かしこまりました、ナツお姉様。すぐに準備を行います」
そう言ってナツさんの指示の元でフユさんが布団の準備を始めており、僕達は自宅へ帰ると言い出せなかった。
まぁ、別に自宅は一人なんだから、僕が納得すれば良いんだけれども……。
「寝床をしくのには少々時間がかかります。部屋の掃除や料理の仕込がありますのでお姉様、1ビットほどもう少し後でもよろしいでしょうか?」
「……ん? ちょっと足りなかった? じゃあ、後で追加しておきます。それまでは今のままでお願いするよー、フユ」
「了解しました、失礼します」
ナツさんとフユさんはそう話し合うと、そのままナツさんは仕込みをするために厨房へと向かってかれた。
(……ん? 追加?)
何の追加だろう? 食材の追加とかだろうか? いや、それだったら普通に言えば良いだけだし……。
まぁ、この家を管理しているのが長女の加賀見アキではなくて、ナツさんなのかも知れないしな。
その家の家庭事情なんて、他人からでは分からないんだから僕の方からは何も言えないんだけれども……。
「これっ、カレン、ダー?」
「……カレンダーかぁ」
僕はそう言いながらパラパラとカレンダーをめくっていくと、何日かマルで印が付いてあり、そこには赤い線で印が付いてあった。
『5月6日 加賀見ナツ誕生日
8月8日 加賀見アキ誕生日
11月8日 加賀見フユ誕生日』
「へぇー……それぞれの誕生日が立夏、立秋、立冬かぁ」
5月8日は立夏だからナツの誕生日、8月8日は立秋だからアキ、11月8日は立冬だからフユと……まぁ、生まれる日がものの見事になっているから、それがちょっとばかり気になる所ではあるけれども、ただの偶然なんだろう。
と言うか、姉妹であろうとも、家族であろうとも超能力者であるかどうかなんて、関係ないので家族で3姉妹揃って超能力者なんて凄い一家である。
そしてフユさんが作ってくれた夕食はと言うと、とっても美味しくて、楓はと言うとあまりにも美味しかったらしくておかわりまでしていた。
まぁ、虎の能力者だからかフユは普通の女性にしてはちょっとばかり食いしん坊と言うか、大食いではあるんだけれども、いつも以上におかわりしている様子を見ると、フユさんの料理が彼女なりに本当に美味しかったのだろう。
「「ごちそうさまでしたー」」
「ごち、そう、さま、です」
僕と生徒会長が揃って、楓はちょっとばかり遅れるような感じで、それぞれ感謝の意を表して言うと、作っていたフユさんではなく、得意げになったのはナツさんの方だった。
「ふふん! 当たり前でしょう! 我が妹フユは、完璧な家事のセンスを持っているんですから! そしてその姉である私も凄いんですから!」
「……なんでバカナツが得意気なんですか」
「はぁー……」とそう言って本当に残念そうな顔で加賀見さんはナツさんの方を見ていて、パクリと一口食べる。
「アキお姉たん! なんでそんなに機嫌が悪いの? ちょっと、フユに頼んでもっと美味しい物を持って来るように頼んだ方が良い?」
「……いや、良いから。とにかく黙ってて。もう疲れたから先に失礼するわ」
そう言って加賀見さんは部屋へと戻って行かれた。
「……アキお姉たん」
「アキお姉さま……」
と、加賀見家の2人の姉妹は揃ってどこか重い雰囲気を漂わせる。
そして僕達はそんな雰囲気のまま食事を終えて、泳ぐ事が出来るくらい大きな風呂を男女別に利用して(とは言っても、男は僕1人だけなのだが)、そのまま明日の朝の決戦に備えて眠りに就くのであった。
☆
その夜、加賀見家にある訓練場に2人の女性の姿があった。
1人は加賀見家の次女にして3姉妹の中で最もスタイルの良く、最も頭が悪そうな加賀見ナツ。
もう1人は今回の事件の中心人物、西城姫花生徒会長。
ナツは今まで見せていたような朗らかな雰囲気は全然見せず、ただただ恨みがましい視線で西城生徒会長の事を見つめていた。
「……まさか、私の家に乗り込んでくるとは思ってなかったよ。もっとあなたは利口だと思っていた、生徒会長って賢い人間がやっているイメージがあったから」
「…………」
「お姉たんを事件に巻き込めば、私と接点が出来るとでも思った? だから、わざと負けたの?」
「…………」
何も答えない姫花に対して、ナツは「そう言う事ね」と分かったように言う。
「あのチャイムの事件、それに他の異能者特区で起きている事件は、前にも行ったと思うけれども、私には関係のない事件よ。そんなのにお姉たんを巻き込まないで。
妹として、姉がつらい事件に当たるのは見たくない」
「……けれどもあなたレベルの才能があれば!」
その言葉にナツは恨みがましいほどの視線を、見ているだけで殺せるくらいの強烈な視線を、姫花にぶつける。
「あなたには分からない。多分、あの日向野さんも、白山さんにも、分からない。
才能と言う、はたから見たら異能でもなんでもない能力なために、異能者の中でも差別されてきた、超力系順応属の、電子工学に優れた才能と言う特殊能力かどうかも分からないものを持っている私の気持ちは!」
そう言って、ナツはその場から怒りながら出て行く。
姫花はそれに対して、何も言わなかった。
昔、1人の少女が大人にこう言われました。
「あなたには才能と言う名の超能力がある。」
他の異能力者のように実際には見えないけれども、その者には確かな才能があった。それは大人から見れば、凄い才能であり、人々の研究を大きく進める事になる。
彼女はその才能を人間を良くするために使いました。皆が幸せなら、彼女もまた幸せだったからです。
だけれども、異能者と言う枠の中で、彼女は孤独でした。
他の異能者は空を飛んだり、炎を出したり、物を硬くしたりと、目に見えて特別な力がある。
けれども、彼女の異能力はその才能と言う分野で分かりますが、実際にその異能力が見える事はありません。
本当は異能者じゃないんじゃないか?
彼女は異能者の中で孤独でした。




