カガミプラン
訓練場でちょっと訓練をしていたために、フユさんに連れて行かれて遅れてやって来た西城姫花生徒会長。
その生徒会長はと言うと、なんだか見た事のない真剣な顔でフユさんと一緒にやって来た。
「それでフユさんは良いんですか?」
「なんの、でしょうか、西城さん。私には1ビットも心当たりがありませんが」
「……どうやらナツさんがこんな大きな家を持っているのはあなたの……ハッ!?」
と、こちらに気付いた西城生徒会長は真剣な顔を止めて顔を元に戻すと、フユさんの両手を持つ。
「と、とにかく! あなたの存在は……」
「では、アキお姉さまに頼まれましたお仕事は終わりました。私はナツお姉さまに用事がありますので、これにて失礼させていただきます」
「あっ、ちょっと!」
そう言って立ち去ろうとするフユさんを未練がましくも止めようとする西城生徒会長だったが、結局フユさんはそのまま部屋から出て行った。
がっくりとうなだれている西城生徒会長に、厳しい目つきをした加賀見さんは本当に真剣そうな面持ちで近付いていた。
「……あっ!?」
「やっぱりそう言う事になるんですね。あなたは私に興味があるって言ってたけど、やっぱりそうなのね。……まっ、どうでも良いですけど」
「ご。ごめん! でも!」
「どうでも良いから……まぁ、良いけど、さっさと猫屋敷さんの対策を考えましょう」
と、何かがっかりしたような顔で無表情な顔へと変わった加賀見さんと、そして何か申し訳なさそうな顔の西城生徒会長。
……何かあったのだろうか?
まぁ、僕は知らないのでなんとも言えないのだが、少なくとも2人の間で何かあったのだろう。
「どうか、した? おっぱい。の話?」
「……違うわよ。このバカ虎」
と、横で自慢の大きな胸を見せつけるかのようにして腕組みをしながら聞く楓に対し、加賀見さんはテンションが低いままそう罵る。
いつもだったらもう少し、慌てたり、はしゃいだりしているのに、どうかしたのだろうか。
(まぁ、原因は分かってるけれども……)
西城生徒会長、そして加賀見フユ。
この2人が何か絡んでいるのには違いないだろうが、今のこの状況でそれを聞くのはあまり良いとは言えないし、第一どちらも話しそうにはないから止めて置こう。
(と言うか、生徒会長。分かっているのだろうか? 今からする猫屋敷蓮一郎の話は、完全にそちら側の話だと言う事に)
一番の原因は九十一さんに喧嘩を売って、なおかつその十一に心酔する猫屋敷蓮一郎の機嫌を損ねた女、生徒会書記の左凛。
けれどもその彼女を除いて、この4人の中で一番この事件との関わりが強い人物は西城姫花生徒会長だ。
「……問題は責任を追及してもしょうがないという事だけか」
今、この場に居る4人。
日向野健、加賀見アキ、白山楓、西城姫花の4人はあの魔法を使う化け物、猫屋敷蓮一郎に完全にマークされている。
今さら一抜けとか言った所で、逃げた所で仕方がない。
「生徒会長、あの壊滅的すぎる力を持つ猫屋敷蓮一郎になにか弱点とかないんですか? 例えば使用に制限があるとか、かなりの集中力を要するとかなんとか?」
僕はそう生徒会長に対して質問する。
敵を止めるための眼、それから火炎などの色々な属性の魔法などなど……。
あんな強力な異能力があるから、何か弱点がないかと考えるのが普通だろう。
生徒会長として何か知らないかなと思って聞いたのだが、西城姫花生徒会長の顔はどこか残念そうな顔だった。
「……一応、弱点らしい弱点は猫屋敷蓮一郎の能力には存在する。敵の動きを止める『蛇女の眼』も眼を瞑っていれば回避できたり、サングラスさえかけていれば回避できるくらいの能力だったり、魔法に関しても一度に発動出来ないみたいです。他にも色々とそれぞれの魔法の弱点はあるみたいです。
まぁ、それだけ聞くと非常に弱点が多いように見えますが……」
「……もう良いです」
西城生徒会長の意見は決定打に欠けるものばかりである。
『蛇女の眼』の対策が出来たのは良い事ではあるけれども、魔法が一度に発動出来なくてもどんどんと手数を増やして同時に操作は出来るみたいだからあまり関係ない話である。
「そうね、例えばあの杖とかの付属品をどうにかすれば勝てるんじゃない?」
「ある……かも、ね」
「そうだな。確かに結構な数があったからそれでも不思議ではない、な……」
加賀見さんの言葉に対して、肯定的な意見を出す僕と楓。
猫屋敷蓮一郎と言う美少女は、非常にキャラの強い美少女であった。
名前もそうだけれども、腕には銀色の腕輪、首には縁起が悪そうなネックレス、手に持った長々とした面妖な杖。
蓮一郎さんは色々な、奇妙奇天烈とも呼ぶべきものを持っていた。
あの付属品と言うものが魔法と言う異能力の発動に関係あるものだとするならば、あの付属品をどうにかすれば猫屋敷さんをなんとか出来るのかも知れない。
「……その辺りについては、どう思いますか?」
「……あるのかもしれないですね。書いてあったかどうかは思い出せませんが、あんなに強い異能力だからこそ、そう言った制約があるのかも知れません」
無敵だと思われていたはずの猫屋敷蓮一郎に、希望を見出した瞬間であった。




