30.戦いの意味
一層大広間で立ち止まる背丈の差がある三人。その内、本腰入れて戦闘を行うのは二人ではあるが、本日の迷宮攻略の打ち合わせを始めていた。
「今日は、オレが前線で注意を何とか引きつける、でいいんですかね」
勇気が提案する。
リーゼが使う<魔術士>のスキルは、基本的に動きがなく“静”と言っていい。言うなれば発射時間を要する防壁無しの固定砲台。守らねば簡単に崩されてしまうものである。
昨日と同じ様に勇気が魔物の「敵対心」を煽って注意を引き、後方から不意をついた必殺の一撃を与える。昨日行った戦法で、コレ以上にない最善の選択肢という結論が出ている。
「いや、先ずは一層でリーゼが前線に出て戦ってみろ」
しかし、副師団長から返ってくる答えは勇気の意に反したものであった。
リーゼも反論一つ言わずに其れを縦に頷き了承している。
「大丈夫なんですか?」
勇気が聞き返す。それは不安が絶えないせいだ。
そもそもリーゼの主武器が扇で在る以上、前線で戦わせるのは無理がある。せめて自分と同じ剣、最低でも短剣ぐらい持たねば話にならないとさえ勇気は思っていた。
「お前の言いたい事も分かる。魔術士は術を使う時、意識を集中する為に近接戦闘は拙いと云えよう。だが、戦いを続けていれば自衛をする局面に会う事は必然。その為にも近接戦闘の修練は必要不可欠だ」
副師団長が述べる事も尤もである。
例えば魔物の数が異常に多くなれば、前衛の勇気は魔物を引きつけきれない。アリサと二人であっても五体や六体も出てくれば辛くなってくる。また、機動力の高い魔物相手でも似たような事態に陥るだろう。加えて下の層に行けば行く程、その危険性が多くなってしまう傾向になる。
「そうだな。三体以上ならば、二体はリーゼに任せ、お前は残りを相手すればいい」
続けて補足するように副師団長が述べる。
勇気は納得し切れずにはいるものの、副師団長の意向に首を縦に振って従った。最上層のここで二体なら何とかなるだろうと、それに危険と悟れば勇気自身、万が一の時には副師団長が手助けするに違いないと。この背後で見守る仮面の男は、戦いにおいて最上級に頼りになる存在には間違いない。
リーゼが先頭になって、大広間から迷宮奥へと歩み進んで行く。目指す所は二層であるので、道順は既に決まっている。
小さい背のやや後ろから勇気が付いて行く。頭の中では、魔物と複数体に出会った時の戦闘シミュレーションを行っていた。
扇は加護がついた武具故に、叩けるのなら多少なりとも加護値は減らせるだろう。しかし、加護値を削った所で仕留め切れるか。結局、首を断つか心臓を穿つか、絶命させる手段がなくてはならない。魔法が打てればそれも簡単だろうが、二体ならば撃てる隙は果たしてあろうものか。
悩む勇気。これはリーゼの為の訓練だ。手を出し過ぎては意味を成さない為に、何処までが自分の手を出す範囲なのかを判断する必要がある。いつもは逆の立場のせいでそこの判断が未だ明瞭に掴み切れていなかった。
「居ました。三体です」
リーゼの一声。悩む勇気が落ち着く暇もなく戦いの時は来てしまう。
「引きつけてから、お前が一体処理しろ。リーゼも最低一体は、近接で消化だ」
副師団長は言い終えるとローブを翻して距離を取った。
こうなればやるしかないと、勇気の剣を持つ手に力が込められる。
戦の合図は、勇気達の後方、副師団長の所で地面と何かがぶつかり響く音で始まった。
音に気付くコボルト達。その眼に映ったのは、赤帯びた剣を持つ者と小さな背の少女の二人である。
コボルト二体がほとんど同時に駆り、一体がやや遅れて動く。
――やり辛い。どちらを先に引きつける。
「ユウキさん後方に。私が後ろに一体送るので、それをお願いします」
勇気の迷いは一瞬。すぐに後ろに飛んだ。
今はリーゼの力強い言葉を信用するしかなかった。だがもし、一撃受けたのを見れば手を出すだけの気概だけは構える。
「一体送る……?」
勇気の疑問の声だ。
リーゼは扇を閉じたまま、腕を伸ばし狙いをつけている。地に陣も構成されることもなく、魔法を行使する気配は感じられない。では、如何にして其れが起こるのか。
リーゼの身体が流れる。先に同時に駆ける二体の魔物に同時攻撃されない立ち位置へ。近接戦闘を行うに当たって最低限の間合いを掌握する動き。
だが、これでは魔物と真っ向にぶつかる事が避けられない。下がった勇気の足に力が込められていた。
僅かに先に間合いに入ったコボルトの曲剣が、リーゼの脳天目掛け振るわれる。
しかし、其れが当たる事はない。リーゼは寸前の所で、紙一重に躱してみせた。
次の瞬間――
「あ……?」
呆けた勇気の声が通る。
リーゼに攻撃した筈の魔物が宙を一回転して、勇気の下へと飛んできたのだ。
勇気の目には、リーゼが躱した瞬間、魔物が振るった腕に扇を添え、もう一方の手を魔物の同じ腕に添えた所迄は見えた。だが、その直後に起こった魔物が宙を舞うという現象が何故発生したのか理解出来ずにいた。
ドサリ、と勇気の傍で舞ったコボルトが転げ落ちる。その音に反応するように勇気が動いた。自分には、与えられた使命があると。
二連閃。赤の剣が飛び、命を軽々と断つ。そこに感情は無く、唯の戦士としての力しか存在しない。
勇気は自分の仕事を即座に終わらせると、すぐにリーゼへと視点を変えた。
リーゼが軽く飛んで間合いを外す。一体一の状況を作り出す事を優先し、受け手に回っていた。自分から攻撃はせず、先程と同様に扇を持つ腕を伸ばし、間合いを測るかのように立つ。
コボルトがリーゼ目掛けて、曲剣を振り降ろす。そこに在ったのは、全く同じ映像の再現だった。リーゼが紙一重に避けた直後、コボルトが宙を舞うのだ。
勇気の頭に浮かぶ一つの事象。そう見えないが、リーゼは間違いなくその行動を取っている。自分よりも身体の大きい相手を“投げ飛ばしている”と。
リーゼは投げ飛ばしたコボルトに目を向けずに、残る一体の魔物に向かって前へと出る。受け手ではなく、攻め手への変換。今度は、コボルトが迎撃するように曲剣を横に薙いだ。
だが、それはリーゼに届かない。閉じた扇を、まるで剣で防御するように曲剣の軌道を逸らす。
「ゲッ――」
呻くコボルト。喉元には閉じた扇が突きあげ刺さり、頭を天に逸らしている。
間髪いれずにリーゼの掌打がコボルトの胸元に当たる。しかし、一見すればそれほど勢いもない。それでも、コボルトを転ばすには十分のようであった。
リーゼは勢いを殺さず、地に仰向けに転ぶコボルトの胸に馬乗り、開いた扇が喉に突き刺さった。
「ウィンド――!」
瞬時に白緑色の陣が完成。同時に魔物の首が飛ぶ。
未だ戦いは終わっていないと、リーゼは急ぎその場を離れた。
残るは一体。しかし、突撃態勢は整ってなく、味方の減少、敵の数の不利で攻め手を欠いている。そして、迷いながらも、犬眼の標的は己を転ばせた小さな少女であった。
だが、遅い。既に葬るべき赤の陣は完成を告げている。
「フレイム――!」
コボルトは間合いを詰める事も出来ずずに火に包まれ、その身を焦がし、生を終えた。
「何を呆然としている」
副師団長が立ちつくす勇気に声を掛けた。
気まずそうに息詰まる勇気だが、戦闘を終わらせたリーゼが戻ってきてくれたお陰で、空気を一変させるのように質問する。
「えっと、さっきのは……?」
「風の魔法です。昨日、主に使用していた火の魔法と違って愕然と力が劣りますが、術式完成が段違いに速いです。加護値を削り切った相手に止めを刺すなら十分な性能なのでコレを」
リーゼが一匹目を仕留めた魔法。圧倒的な制圧で、一方的に命を奪った流れ。
そして、リーゼが躊躇い無く魔物の首を刎ねた事実に、勇気はもう戸惑う事もない。
「それも聞きたかった一つだけど、あの魔物を投げ飛ばした奴の方が気になるんだが」
勇気の本題は、コチラの「どのようにして投げ飛ばしたのか」だった。
勇気の目に見えたのは、リーゼが躱した瞬間に扇と手を添え、軽々と魔物を手玉に取ったという事だけ。勇気自身が同じような行動をしようとも投げ飛ばせるような動きには見えずにいた。
「あれはただの型です。主に対人用ですが……私は未だレベルも低い為に<速力>もないので力技は出来ません。故に、相手の力を利用して、制圧するのが最も効率がいいのです」
「相手の力を利用……」
勇気の頭の中に真っ先に思い当たる節がある。
相手の力を利用して投げ飛ばす型、所謂“合気”だ。何も合気は投げ飛ばすだけではなく、極め、締めにも移行可能な戦闘術。スキルと云った異能ではなく、技術であって、知識と練習さえすれば誰もが出来る筈の力。
ただし勇気にあるのは知識だけであり、可能なものでもない。それどころか、勇気自身が知る型としては最も出来そうにない代物の一つであった。
「師団にも同じように型の訓練があると思いましたが。剣なら剣、槍なら槍のものがあるかと」
「いや、オレはそういうのは未だ受けてない」
勇気はゼクスに師団に誘われ、王国に訪れてからも師団らしい事はしていない。そもそも、ゼクスが師団に復調するまで好きに動けと告げられている所為もある。それでも勇気が師団らしい事をしているというなら迷宮に潜るぐらいなものだろう。
「そうでしたか。それでも、このような型は対人用です。亜人型程度にしか満足に使いきれないので、身につけてくとも別段問題ないと思います」
「亜人型……?」
「はい。有名所ならば、ここのコボルトやゴブリンといった類の総称です」
コボルトとゴブリンの共通点を挙げるなら、人と同じ二足歩行であり、主に携えた武器で立ち向かって来る所だろう。特にゴブリンは人に近いと勇気が斃す際に辛辣としたぐらいである。
勇気は、ただリーゼに関心を抱いていた。力強い言動と知識、冷静さ、何よりザイエンデとして十分な戦闘技術と能力。近接戦闘の心配も今では無く、それどころか自分よりも才覚があるとさえ先程の戦闘を振り返ってみれば思うしかなかった。
そして、どこか寂しく悲しい感情が湧きあがる。
――またコレ。きっと、自分は甘いのだと。未だ世界に馴染み切れてないと。
頭の中で頭を振るい、考えを飛ばす。それからまた質問を渡した。
「さっきの型だっけ。やっぱりエレイン師団長に教わったものなのか?」
「はい。母に教わった型です。主に対人相手の技術ですので亜人型や人に近いならば応用が効きます。逆に云うなら、獣型や虫型等に扱うには頼りないといった所でしょうか」
ふむ、と勇気は唸る。
リーゼが云う事も何となくであるが理解は出来ていた。
そして、それを補足するかのように副師団長が間に入ってくる。
「魔物の種類によって想定訓練も出来るが所詮付け焼刃に過ぎないものになる。魔物は人が想像する以上に賢い。実戦で戦い抜き、戦術を組み、技術を磨き、経験を積み、高みを目指さねば戦う者としては二流で終ろう」
「そのような戦闘集団が師団やギルドといった巨大組織なのです。もっとも組織なので個々で見ますと差が大きく見られますが」
最後にリーゼが言葉を付け足す。
まるで先生二人に教えられる生徒だと、勇気の口に笑いが漏れる。不気味な仮面の男と自分よりも年下の女の子。余りにも奇妙な関係に、笑ってしまうのも仕方ない事だった。
「そろそろ行きましょう。今日は薬も沢山あるので、昨日よりも余裕を持って戦えます」
「そうだな」
リーゼの先に進みたいという意気込みで、一行は再び足を進める。
一層から二層に進む道のりは楽なものだった。そもそも勇気のレベルと装備を考えれば、五層までなら万が一でもない限り苦戦はしない。加えて勇気が共に戦うリーゼは荷物ではなく、ザイエンデとしては自分よりも勝ると知れて心に余裕が出来たお陰もあった。
「疲れてないか?」
二層に突入した直後に、勇気がリーゼに向かって訊いた。
「はい。今日は薬がありますので」
リーゼは不思議そうに少し首を傾げて答え返す。
「ユウキさんは私が戦う事に不満そうですね」
「……そう見える?」
「はい。それと今までの言動から推測しました」
あはは、と乾いた笑いが勇気から漏れる。こんな言葉を吐かれては、自分とリーゼの年が逆転しているではと思える為に、こんな反応をするしかなかった。
「でも、リーゼやアリサが一緒に戦ってくれるなら心強いとも思ってるよ。リーゼはオレにない力を持ってるし、近接戦闘でもオレ以上に巧く戦う。アリサは正直オレの上位互換な戦闘力を持ってるしさ」
石階段を降り切って、魔物が近寄らない初めの広間へと辿り着く。
「訊いてもいいですか?」
「ん、なんだ?」
リーゼからの質問は珍しいと勇気が受け答えた。
「私には目標があります。朝に勇気さんに何故迷宮に潜るのかと聞かれましたが、私が迷宮に潜るのは目標の為です。迷宮に潜って戦わないと私の目標は達成できないのです。私は理由があり、戦う意思があります。ですが、ユウキさんには戦う意思が感じられません。確かにザイエンデとしては戦っているのですが……その……」
リーゼが言葉を詰まらせる。訊き難いというよりは、その後の言葉の選択が分からないようだった。
「何か哲学的な質問みたいだな」
素直な感想を吐く。
リーゼが訊こうとした内容は途中で終っていても、勇気はどう答え返すべきか分かっている。それは当人だからこそ。
リーゼは口を閉ざして、返ってくる言葉を待った。
「出来るならオレだって戦いたくないよ。死ぬのは怖いし、戦う度に死ぬ思いもする」
何度も考えた。一度、第七師団長の彼女にも、其れを振り返された。
「でも、戦う力を得てしまった。この世界は力あるザイエンデと力ないネームロスに分かれてるだろ。力がある以上、弱い人は放っておけないし、放っておいたら無責任だと思うんだ」
自分の団の長である人に告げた――戦うと。
其れが力を持った者の使命であり――責任だと。
「それに初めて自分の力で人を助けられた時、良かったって思ったんだ。心の底からさ。言ってしまえば自己満足だけど、やらないと駄目だって。閉じ籠っては何も解決しない。前に進むしかないんだってさ」
天から微かな光だけが届く洞窟。咽るような血の匂い。
その中で、彼女を助けた。この世界に来て、初めに自分を助けてくれた人を。
助けられたのは偶然という名の幸運。
それでも、その事実に幸福を感じた。自分でも誰かを救えると。
本当に自己満足だ。それでも力を付ければ、その満足もきっと大きくなる。
今、自分が進もうとしている道が決して間違いじゃない事だけを信じて。
ひたすらに真っすぐ前へ。唯、愚直に――
「ユウキさんは優しいですね。いえ、優し過ぎます」
「そうか? というより、今のオレの台詞でそう思わせるようなのあったか……?」
むっ、と唸って自分が言った事を振り返り悩む勇気。
リーゼは、そんな勇気を見て、誰にも見られないように俯いてから微かに笑った。
「アリサさんが貴方に付いてきた訳が分かった気がします」
「ん、アリサ?」
「いえ、独り言なので気になさらないで下さい」
顔を上げたリーゼは、表情を出さない普段の顔へと戻っていた。
今の話は切り上げられ、二層に入った為、どのようにして戦闘をするかという内容に移る。
「とりあえず昨日と同じ感じで、オレが前線にしようか。それが一番いい陣形だと思うしさ」
「そうですね。では、敵が多くなって私の方にも集まった場合は、ユウキさんから援護して貰ってもいいですか?」
「ああ。リーゼが危ない時の対処の練習もしておいた方がいいだろう。でも、二層だからリーゼなら一人でなんとかしそうだけどさ」
リーゼの表情の移り変わりは少ないが、どこか自信あり気にしている。
最後に勇気が言葉を発しない副師団長に視線を送る。副師団長からの言葉はない。つまり、今の内容に不満はないとの事だ。
方針も決まり、今度は勇気が先導するように迷宮を進み始めた。
「そういえばリーゼって前に副師団長と来てた時は、今日みたいに前線で戦ってたのか?」
「はい。ですが、時々副師団長さんが前線で引きつけ役をやってくれました」
何気ない場を繋ぐ質問だったが、勇気には興味が湧く答えが返ってきた。
勇気は副師団長が戦う姿を一度も見た事がない。あの“悪魔”と出会った時に、二体目の“悪魔”を何かで両断しただろう事実は知っているが、アレで戦った姿を見たというには材料が不足し過ぎている。
また副師団長と同様に自分達の師団長であるゼクスの戦いもハッキリと見た事があると言えなかった。見たのは王国に来る道中に一度だけ。閃光を発して魔物の軍を消し飛ばしただろうという憶測だけだ。眼で見て理解した訳ではない。
勇気は考えていると、師団に属し、本隊の師団長は四人も会ったにも関わらず、どれだけ力を持っているのかを知っていない事に気付く。
逆に分かっている事を挙げれば、師団長や副師団長の力は、未熟なザイエンデでは理解出来ないモノを持っているだろうという事だけだ。
「ユウキさん、敵です」
リーゼの言葉で、勇気の思考が入れ替わる。
戦いに雑念は不要。雑念が入れば命に関わるのだ。
敵はコボルトが二、大蜘蛛が二の計四体である。
「待っていろ」
無口な男の声が勇気の耳に届いた。
そして、その長身の男は勇気達の前に一歩だけ躍り出る。
「進んでいい」
「え……?」
ローブを翻し、またすぐに後方へと戻って行く副師団長。
この二呼吸もない間の一連の行動に何があったか勇気には理解出来なかった。
「あ……れ……?」
パシャッ、と水が弾け飛ぶような音だけが勇気の耳に届いた。
勇気達の前に居た計四体の魔物の姿はなく、代わりに赤と緑の液体が四散して飛び散っている。
どうしてそうなったかは分からなくとも、誰がやったのかを理解出来ている為に、勇気の顔が引きつった顔になる。
「今のは副師団長ですか?」
「私のせいで気が散っていたようだから、それを解消した迄だ」
副師団長の実力が、どのくらいだろうと勇気が考えた矢先の出来事である。
勇気の額に冷や汗が流れていた。前々から感じていた人の思考を読むような言動をする副師団長に対しての不気味さ。加えて、これから副師団長との約束を自分が生き残って果たせるのかと。
「そういえば、アリサさんからユウキさんは今度副師団長さんと訓練すると聞きましたが」
「あー……言っちゃ悪いが、リーゼは結構腹黒いな……」
無邪気な笑顔を見せるリーゼに、今後この少女とどのように対応するのが最適かを少し理解した勇気だった。
それでも悪い気はしないと、剣を握りしめて迷宮の奥へと進んで行く。




