17.条件
王国に訪れて14日目。
勇気は背筋を伸ばして起き上がった。
隣のベッドを見れば空。朝早く起きて日課の朝食を作っているのだろう。
頭の中も完全に起き上がり、ベッドを整えながら慣れは凄いものだと思っていた。これだけベッドが近ければ意識はする。それも相手があの容姿、意識しない方がおかしいってものだ。 でも、それも初めの数日だけで、ここ最近じゃ何とも思わなくなってきた。ただ先に寝られて、寝返りをうたれ、顔を向かれる時だけはどうしても駄目だった。下手するとタガが外れかけない。そうなれば悪戯好きの師団長の思う壺。それ以来、寝顔は見ないように心掛けている。
居間へと行けば「おはよう」という声が二つ飛んで来た。それに同じ挨拶を返してテーブルに座る。そして、窓辺を見れば無言で本を読む男が一人。最近では馴染みになってきている日常の風景だった。
勇気にとって本日は、7日に一度の休みを取る日。昨日は余り潜らなかったが、今日は休む事にした。曖昧な頭の中では危険が伴うので、丁度いい休日である。
勇気の他は、というと、ゼクスが昨日纏めた書類を城に届ける為、朝食が終わり次第出掛けて行った。
アリサは借りた図書を返す事と、アイギスと予定があると言って出掛けて行った。勇気は、この女性二人組が余り仲良さげに話す姿を見ていないので意外だな、と思いながらもアリサを見送っていた。
そして、宿舎に残ったのは勇気と、窓辺で黙々と本を読む副師団長の二人となっている。
気まずいと真っ先に思う勇気。話せれば幾らか室内の空気もほぐれるのだが、相手が相手である。そもそも勇気自身から、それほど話しかけた事もない。本を眺めるにしても何処か気まずかった。
そんな困惑を巡らせていると、副師団長が本棚に本を収めて、玄関戸へ無言で向かって行く。
ホッ、とする勇気――だったのだが、副師団長が扉前で足を止めていた。
「ついてこい」
背越しに言う副師団長。
勇気はビクリと跳ねあがり、言われたがままに大きな背についていく。拒否権はなかったのだ。
全身を覆うローブ姿の背を暫く追いかけた。
通りで会う人は皆、その仮面の男を避けるように歩いている。
「あの、副師団長何処に……」
「行けば分かる」
副師団長の語る言葉は少なく、常に最小限で済ます。時たま茶化すように喋る時は、ゼクス相手ぐらいで、他に余計な事を告げない。だから勇気は副師団長から語り掛けられた言葉は意味のあるもの、有益なものばかりと捉えて、分からなくとも頭の片隅に置くようにしている。
二人は無言で歩き続け迷宮通りへと出た。
副師団長は足を止めずに、ひたすら進み、勇気はとにかく追った。勇気が急ぐ程度の速さではないので、副師団長が勇気に合わせているのだろう。二人の身長の差は頭一つ分ぐらいはある。歩幅もその分違うため、やはり副師団長が勇気に合わせているに違いなかった。
副師団長が足を止めたのは、木で作られた二階建ての建物の前だった。
迷宮通りは基本的にザイエンデが利用する為の店が多い。勇気が通うグラズヘイム総合買取店も、その一つである。他にもすぐに武器屋、防具屋、軽装店、魔水晶店等、様々な店があるが、そのどれもが店と分かるような看板が立て掛けられているのがほとんどである。しかし、今、目の前にしている建物に店を示す名のついた看板が無い。それどころか随分とボロが来て、建物として大丈夫かと疑いの目を持つぐらいだ。
副師団長が木製の扉に手を掛け押し開く。ギギィと扉の止め具部分の擦れる音を鳴らしながら、扉がゆっくりと開いて行った。
先に入った副師団長を追うように勇気も緊張しながら入る。
「店、ですよね……」
勇気が呟いた。
建物の中へと入れば幾つものショーケースが並んでいる。そのケースの中には様々な形と大きさの瓶に色違いの液体が注がれた物が飾られていた。また液体の入った瓶だけではない、水晶も在った。水晶の方は専用の装飾の上に設置され、如何にも商品だと称している。
勇気は「チェック」と言って、一番脇のショーケースの中にある小さな小瓶の前に立つ。
≪道具≫を開けばサブウィンドウに出てくる商品と思わしき名前。その名前に触れると収納と説明と書かれた小さなサブウィンドウが出てくる。ただし収納の文字色がいつものと違っていた。おそらく盗難防止措置でも加えられているのだろう。
『疲労回復薬・小』
Capa(容量):0.3
分類:調合薬(飲用)
初級の薬。飲む事で使用者の疲労をある程度回復する。
加護値、魔法値、技術値は回復しない。
説明を見れば、小瓶に入っているモノの効果を参照出来た。
どうやらハーブの効果の疲労回復のみ版と考えた方が良さそうだ。しかしハーブの容量が一つ0.1に対して、コチラは0.3と三倍。それならコチラの方が疲労回復の効果は大きいのだろうか。
悩む勇気。疲労と加護値については、ハーブがあるから何とかなっている。しかし、最近ではハーブをコレからも十分に入手していけるか不安になっていた。アイテムの入手については詳しく検証していないのだが、ハーブはコボルトから入手していると予想している。それは最近になってコボルト以外にも相手する事が増えている為、必然的にコボルト相手の比率が少なくなっているからだ。
一層の魔物は全てコボルトだったが、最近探索している三層では蜘蛛や蛾の魔物の比率が高い。そのせいか以前よりハーブを入手出来ている総数が少なくなっていた。
それならばいずれ迷宮だけで加護値や疲労回復の自給自足が出来なくなってしまう。今の内に手に入れておくのも生存に繋がるに違いない。
勇気が考えるのを止め、フッ、とウィンドウを消した。それは店奥のカウンターから、白い髭を生やす年老いた男性が出てきたから。カウンター奥は床が高いようで老人は腰を下ろして構えた。
店主だろうか、と思う勇気。この老人が店を経営しているのなら、この何処か古臭い外観と雰囲気も何となく分かる気がした。
老人が勇気をチラリと見てから、入口近くの壁に寄りかかってずっと待機していた副師団長を見る。すると口を歪ませて目を僅かに輝かせた。
「おぉう、副師団長さんじゃないかい。朝早くにどうしたんだい」
「私の下に就く者を紹介しに来た。名はユウキだ」
老人が今度は、じっくりと勇気を観察するように目を見開く。そして、首を傾げて副師団長にもう一度訊いた。
「儂の所でええのか。見ての通り、もう老いぼれじゃけぇ。今なら近くのカノッサの店の方が繁盛しておろう」
「アナタの方が信用出来る。問題ない」
副師団長が短い言葉を告げる。
老人は自分の白髭を掻き、深く唸って副師団長を見やる。暫く唸り声を上げた後、勇気へと視線を変えて手招きした。
勇気も黙って従い、カウンターの方へと歩む。
そして、老人に手を差し伸べられた。その目はにこやかに輝いている。
「儂の名前はセトじゃ、よろしくのうユウキくんや」
「はい、よろしくお願いします」
勇気もセトと名乗る老人の差し伸ばした握手を快く受け取って深く一礼した。
「セトは≪錬金≫と≪調合≫のスキルを持ち、且つ高水準である有能なザイエンデだ。この二つを同時に使いこなせるザイエンデは、今の時代ならば他に居ない」
「≪錬金≫と≪調合≫ですか……」
副師団長の言葉の一部を勇気が復唱する。
勇気は、この世界の力について勉強不足な点は多々ある。スキルについても特に見た覚えがなかった。宿舎の本棚にも、スキルと云ったタイトルの本は見た覚えが無く、もしやコレも魔物と同じように、ザイエンデ同士では余り広めないような種類の話なのかも知れないと思っていた。
「前者は魔水晶、後者は調合薬を製作するのに必要なスキルじゃけぇ。その反応を見る限りだと未だひよっこという訳か。何層まで行った?」
「未だ三層です」
勇気の解答を聞くと、老人は膝を叩いて高く笑う。そして、未だ入口横で寄りかかっている副師団長に視線を変えた。
「何処が気に入ったんじゃ」
「さてな。連れてきたのは私ではなくゼクスだ」
ふむ、とセトは一つ唸って勇気の方へと再び視線を戻す。
「とりあえずウィンドウの≪道具≫と≪ステータス≫を見せて貰おうかのう」
勇気はすぐにウィンドウを開き、片手で持つようにしてセトへと見せた。
セトの言葉に従ってウィンドウの表示を指で触れて変えていく。最後に先ほどのセトの言葉には無かった≪装備≫の欄を開いてくれと言われ見せた。
「なるほど、この剣ならコレだけでもごり押せる。しかし安定力特化とは恵まれてないのう」
「そうなんですか?」
勇気は、やや不安げに尋ねた。
以前アイギスの店でも似たような事を言われた事を思い出す。こう立て続けに別の人に不安材料の一つとして言われると良い気がしない。
「うむ。安定力とは別にもう一つ高い数値があれば変わるが……まあよい。ソコは技術で幾らでも補える。振り値もあるしのう」
技術、それこそ難しい話になるのではないのか。
まだまだ戦いにおいては素人。剣を力任せに振っているお子様に過ぎない技術。一朝一夕で付くようなものでもないと理解している。
悩める勇気に、セトは髭を掻きながら笑って言葉を変えた。
「それで、ユウキ。三層までは何日で辿りついた。よければ詳しく教えてくれるかの」
「ええっと……」
勇気はセトに今までの経緯を話す。もう一人のパートナーと一緒に、1日置きに潜って三層まで辿り着いた事。自分は6日もしくは7日に一度休むようにしているという事。そして一人でもよく潜り、地図を埋め歩いている事。
嘘は一つも言わずに余す事無くセトへ話した。
「なるほどなるほど、無茶しおるわい」
セトは含む用な笑いで、勇気を見る。
この反応は勇気にとって予想出来ていた。昨日の今日である。自分が如何に普通と違うかをゼクスやセイレーンの二人の師団長に聞いたばかりなのだから。
「お前さんの目を見る限り戦闘狂ではおらん。だが其処まで迷宮で戦えるという事は、お前さんは何か目的がある。信念を貫こうとしている。どうだ、違うか?」
「…………」
言葉が出て来なかった。セイレーンに訊かれた時と同じように次が喋れない。
目的は現実への帰還。
信念は力ある者として守る為の闘争。
初めから決めている。何度も自分に問うた。そうだと呼びかけた。
しかし、喉から声は生まれて来ない。分かっているのに言葉が続かない。
「どうやら迷うとるようだ。それもまた良い。お前さんは未だ若いのだからのう」
それ以上悩まなくていいとセトが告げた。
その言葉を聞いて勇気が深く息を吐く。
「お主の面倒を見てやる。ただしコチラも商売じゃけぇ。無料とはいかんぞ」
セトは片目を瞑って、にっこり笑う。
何処かお茶目な老人に勇気の頬も緩み、安心という感情が湧いていた。
「体を壊したってな訳で引退して店仕舞いしようかと思うとったが、この男に頼まれての。余りに熱心故に儂も根が折れて負けたんじゃけぇ。お陰で生涯現役になるかもしれん」
「以前は金が使いきれなくなるほど溜まった為に辞めたと言っていなかったか?」
「これこれ、そう言うては威厳が無くなるじゃろう」
副師団長のキツイ言葉に、セトは眉を顰める。ただ笑顔は絶やしていなかった。
「しかし、本当に最近は高齢故に以前と比べれば悪くなっておる。もう迷宮にも暫く潜っておらんしのう」
「それでもそこらの者には負けはしないだろう」
かんらかんらと笑うだけでセトは否定しない。そこには絶対的な自信が体現していた。
セトは気の済むまで笑った後に、勇気に「何が欲しいか」と商売人として真っ当な問いをする。
勇気は少し考えた後、セトへと訊き始めた。
「疲労回復薬を多く買おうとしているのですが。瓶の大きさも種類が沢山あるのでどうすればいいのか」
「何ゆえに選ぶ?」
「えっと、朝から迷宮に行って夕方まで戦う場合で、今の内はハーブが取れるからいいんですが、それでもコチラの方がいいかな、と。ハーブより効能が高いなら尚更いいと思って」
「うむ。確かに効能はハーブよりも高い。ならば一番大きい瓶を選べばええじゃろう」
セトが指でカウンターを二度突く。すると突いた所から、二つの瓶がスッと現れた。
瓶は勇気が先ほど説明を見ていた瓶よりもかなり大きい。
「これは少しずつ飲めばいいんでしょうか?」
「そう。自分の身体と相談じゃけぇ。ひとまずは二瓶あれば問題なかろう。二瓶でも足りぬようなら、また買い足せばええ」
勇気はセトの言葉を聞き終え納得した後に、ウィンドウを開いてお金を払う準備をする。
しかし、ここで一度手を止めてセトへと問い直した。
「それと加護値が完全に無くなった時ように蘇生薬と、自分の加護値なら全快できるぐらいの回復薬が欲しいんですが、ありますか?」
「回復薬ならすぐに作ってやるが、蘇生薬を選ぶ理由は何を意味する。お前さんは≪聖者≫装備を持っておるだろうて。念には念をか?」
「それもありますが、自分には一緒に迷宮で戦う人が居るので、その人に何かあった時の為に手に入れておこうかと。勿論自分のお金が足りればですが」
セトは勇気の目の奥を覗くように見る。その深い瞳に、勇気が僅かに動揺してしまう。
しかし、セトはそれもすぐに止めて、先ほどと同じようにカウンターを三度叩いた。
手の平ほどの小瓶が三つ現れる。二つは空、もう一つは液体が既に入っている。
さらにセトはカウンターを指で突つくと数枚のハーブが現れた。
そして、深く息を一つ吐くと指でカウンターをなぞり始めた。
指の軌道を沿うように浮かび上がる白い光。
円が一つ描きあがる。その中に様々な直線、曲線を刻んで行った。
セトが指を止めた時には、光る規則的な紋様が完成されていた。その紋様の上に空の小瓶と数枚のハーブが置かれる。
「――“エクストラクト”」
しわがれた声が一つ紡がれる。
白い光が目を細めたくなるぐらいに輝いた。
「ほれ」
光がなくなると、白く光っていた紋様が消え、代わりに二つの空だった小瓶の中い液体が満たされていた。
魔法だ。水晶にも驚いていたが、今のコレこそまさしく魔法だと勇気は感じていた。心が高鳴っているが、制御してセトの方へと注意を向ける。
「蘇生薬の金は要らん。蘇生薬は基本的に売れんからの。何故か分かるか?」
急に問われて少々戸惑う勇気。でも何とか答えようと頭を捻った。
「蘇生薬を使う事になるのは身に合ってない場所で戦うから……でしょうか。普通はそんな場所で戦おうとはしないハズです」
「それも正解の一つなのは確か。だが、加護値が全て削られるという事は既に肉体にダメージを受けておるという事になる。それも手遅れになっている事が多い。もし使うとするなら命からがら逃げて手当てした後じゃけぇ。それに容量も大きい。だから皆、蘇生薬より容量も小さく、確実的な回復薬を選ぶ」
なるほど、と勇気は相槌を打つ。
容量は大切だ。回復薬を無限に持っていけるなら、どれほど安全に探索出来よう。しかしそれも容量の関係で叶わぬモノなのだ。最大値を超えて収納が出来ないのだから無理な話である。
容量を気にしないように装備に括りつける、という話は中々出て来やしない。そんな事をすれば戦いの最中に失ってしまう恐れがある。圧倒的な力の差がない限り、この方法は不可能だろう。
「加護値は最も重要な要素。故に≪聖者≫の装備が重宝される。死の一撃を確実に一度免れ、態勢も立て直せるのだからな。だからお前さんがその相手を心配なら、苦労はするがもう一つ手に入れるのが一番良いだろう。一度登録したからには譲渡出来んからのう」
セトが助言は終いと区切って、計五つの瓶を勇気の方へと押した。
瓶をよく見ればラベルが貼ってあり≪セト≫という名が刻まれている。
その後は、セトに言われただけのお金を勇気が払い、商品を全て収納した。≪道具≫の容量を見てやれば残り『37.4/38.4』と、かなりギリギリになっている。
セトが言うには、出来ればもう少し容量を空ける方がいいようだ。それでなくては迷宮に潜ってもアイテムを入手できなくなる為、金銭面で危うくなってしまう。それでも容量を空けたくないなら、金銭は我慢してレベルが上がるのを待つしかないと言った。
そして、セトは最後に店を開いている時間を告げて言伝を終えた。
勇気は礼を言って、セトから背を向ける。
店の出入り口では、副師団長が扉を開けて待っていた。
「深き旅路に幸あらん事を」
セトの送る言の葉を聞きながら、勇気達は店を後にした。
店から出るとすぐに副師団長は歩きだす。その方角から、宿舎に戻るのだろう予想できた。
勇気も来た時と同じように副師団長の背を追う。
「……今の方を紹介する為に自分をつれてきたんでしょうか?」
背を追いながら尋ねた。
「そうだ。迷宮ばかり潜っていては碌に準備も出来まい。ただセトの言っていたように、今は未だ力押しで進められる故に準備をせずとも問題は無かったのだろう」
副師団長は歩きながら、後ろの勇気へと答える。
「しかし、いずれ困難に立ち会えば、お前なら達成する為に立ち入ったかもしれんな」
続けて話す副師団長。
足で地を擦る音だけが一つだけ鳴り響いていた。
「副師団長」
強い口調で、名の代わりを表す言葉を上げる。
勇気の足が止まっていた。そして、数歩開けて副師団長の足も止まる。
「自分は、いえ、オレはこのままザイエンデとして戦って行けるんでしょうか」
大きな背に問う。その口調は先と変わらずに強かった。
「其れは生き残れるかどうかと云う問いか」
副師団長が首を少しだけ動かして、後ろにいる少年へと訊き返す。
しかし、すぐに言葉が返ってこない。故に言葉を続けた。
「さてな。人はいずれ死ぬ。早いか遅いかだ。ただお前が≪銃≫で斃した魔物と同様な存在に、再び相見えば死が早くなる事は確実だろう」
告げられた言葉に、勇気は反論を上げられず噛みしめるしかなかった。
一度起こした奇跡。二度目を起こせるとは限らない。それに二度目が起こせなかった事を、既に経験している。その二度目の奇跡の代わりに、今告げた男が助けてくれた事を明確に覚えている。
きっと、二度目は起こせない。
「力が欲しいのか」
振り向き、数歩先の俯いた少年に合うように仮面を下に向ける。
「……分かりません」
俯いたまま、答えになっていない言葉を返した。
副師団長は、それを聞くと再び振り返って勇気に背を向ける。
「第四師団が動く日迄に11層に辿り着いてみせろ。辿り着けたのならば稽古ぐらいはつけてやろう。お前の目的に近付くための土台は創れる」
背を向けたまま話す副師団長。
「力が欲しいのなら果たしてみせろ」
この言葉を告げると、副師団長は歩みを再開した。
俯いて聞き続けた勇気。しかし、それもすぐに止める。
そして、大きな背を追いかけた。




