11.初日の成果
勇気とアリサは気負う事なく迷宮を進んだ。
二人の道中のコボルトの撃破数は50を超える。その最後に行った戦闘はコボルト四体同時という数で圧倒されるものだった。しかし、アリサは今までの戦闘経験からか、数で押されようともコボルトから攻撃を受ける事はない。ただ、戦闘素人の勇気は何度かコボルトの曲剣を体に受けてしまっていた。
「本当に傷受けないんだな……」
戦闘が終わり次第、勇気が自分の身体を見ながら言う。
自分が斬られた腹や肩には傷ひとつ負っていない。ドンという衝撃が走って、よろけたぐらいだったのだ。体験して初めて不思議だと感じる。
次に勇気が行った事はウィンドウを開いて≪ステータス≫を見る事だった。HPの数値が≪127/177≫と減っている。まだ余裕があると安心した。
「はい。師団長からもらった薬は上等の物だから、もったいないからね」
アリサが言うと、葉っぱを3枚差し出した。勇気はコレを知っている。アリサが村で咀嚼していたものだと。あの嫌そうな顔が忘れられなかった。
受け取る勇気。手にある二枚の葉。とりあえず一枚だけ、と唾を飲んでから口に入れた。
「……苦い」
勇気が咀嚼して言うと、アリサはクスクスと笑う。
何とか飲みこんで≪ステータス≫を見れば未だ全快していない。仕方ないと溜息を吐いて残るハーブを口にする事にした。
「ハーブは疲労も多少回復するから疲れた時に口に含んでもいいわ。コボルトは比較的に落とすから余った分は使うのもありね」
そう言われてみると汗が引いて、身体が軽くなった気がする。勇気は、なるほどと納得しつつ口に嫌に広がる苦味と戦っていた。
「そういえばレベルってどうすれば上がるんだ? 倒した数?」
残るハーブを飲みこんで勇気が尋ねる。
勇気のレベルは未だ1だ。自分では相当な数を倒したつもりでも上がる気配がない。
「レベルは女神様に触れないと上がらないわ。ほら、ここに入る前にあったでしょ。師団長が消えた時に触れた奴よ」
アリサがいう女神像。それは≪ラグナロクの迷宮≫に入ってすぐの広間の中央にあったモノ。台座の上に立つ大きな翼を生やした女性の像の事だった。
「そうね。一旦戻りましょう。もうユウキはレベル上がってると思うし」
アリサの言葉に勇気はシビアなシステムだと感じていた。大抵のレベルシステムといえば自動に上がるのが一般的。しかもレベルを上げる為には特定の場所でなければならないという制約付きだ。
「そういえば、次のレベルに上がるまで魔物を幾ら倒せばいいみたいに分からないのか?」
勇気は≪ステータス≫を見ながらアリサに尋ねる。どこかに経験値や累計経験値、次のレベルアップまでの経験値でも載ってないかと調べていた。
「そういうのは無いわね。それにザイエンデによって個人差があるみたいだから何とも言えないのよ。だから小まめに女神様に触れに行く訳」
どうやら経験値という概念はないようだ。勇気はウィンドウを閉じて無いものは無いから仕方なし、と諦めて歩く事に集中した。
「あれ……?」
来た道を帰る際、勇気はあるはずのモノがないという事に気付く。
「ここら辺にコボルトの死骸あったよな……?」
先ほど倒したハズの魔物の死骸に加えて、血の跡もなくなっていた。
「魔物の死骸は暫くすると消えるわ。消えるまでの時間もまちまちらしいし、何で消えるかは昔から分からないみたいだけど、消えなかったらそれで処理が大変ね」
原理は分からないが、そう言うなら納得するしかないと勇気は受け止める。ただこういう現象があっても魔法がある世界なので変とは思わなかった。むしろ死骸を見続けるのも、いいものではないので有難いぐらいだった。
帰り道は勇気の先導で進んで行く。その途中にまたもやコボルトに出くわしたが、戦闘は訳もなく終わり、無事に女神像のある広間まで到着した。
「よく道覚えてたね」
「マッピングするのは昔から得意なんだ」
二人は、誰も居ない広間の中央の女神像まで歩む。
「レベルアップは女神様に触れて、レベル上がってますか? ってな感じで念じるといいわ。私は独自の暗号で毎回済ましてるけど」
勇気は暗号と言われても今一ピンと来ないので、とりあえずアリサが言った最初の方法を試す。
女神像に触れ、「自分のレベルは上がっているか」と心の中で女神像に語りかけた。
体に変化は感じられない。とりあえず≪ステータス≫を見て確認を始める。
≪勇気≫
Lv 2
HP(加護値):241/241 MP(魔法値):15/15 TP(技術値):15/15
STR(腕力):8+5 VIT(耐力):8+5 INT(魔力):8+5
RES(魔抗力):8+5 LIF(生命力):8+5 DEX(安定力):9+5
AGI(速力):2
Capa(容量):36.0
スキルLv:≪剣士Lv1≫、≪銃士Lv0≫
Bonus(振り値):+3
レベルが『2』に上がり、ステータスも全体的に上昇されている。ただ、速力だけはLv1の時と変動していなかった。
「随分、バランスいいわね」
ひょこ、っと横から覗きこむアリサ。勇気もコレを見て自分でもバランスがいいと思っている。
勇気がもう一度ステータスを確認する。よくみれば一番下に初めてみる項目があった。
「この振り値って何?」
「それは、振り値に触れてから、ステータスの項目に増えると、その分だけ数値に上乗せさせられるもの。今の勇気はプラス3だから、3の数を隙に割り振れるわ。1、1、1とか3全部同じのに割り振るとかね。注意としては一度割り振るとやり直せないって事。ただ一番上の加護値、精神値、技術値、それと速力には割り振れない。いつでも割り振れるからとっといてもいいかもね」
速力は以前、ゼクスも言っていたように本当に上がりにくいようだ。
勇気はステータスをさらにもう一度まじまじと見てから、ウィンドウを閉じる。
このステータス値は装備できるモノに関わってくる。それなら足りない時に補うようにするのが賢いと判断した。
「ユウキ、これからどうする? もう一回中にいく?」
「いや、一先ず戻ろう。お腹の隙具合で昼頃だしさ」
勇気の言葉にアリサは分かったと応える。
二人は剣を収納して、すぐに迷宮から出ると、暇そうにするパーシバルと真面目に門番をしているガウェインの姿があった。
「お、戻ったのかい」
「はい。とりあえず昼食にしようかと」
ガウェインに答える勇気。天を見上げれば太陽は昼付近を差しているのが分かる。
勇気とアリサはガウェインとパーシバルに挨拶を軽く交えて別れた。その後は二人の話しあいの結果、商業区へと行くことが決められた。
向かっている最中、勇気とアリサの話題が≪道具≫についてとなる。
勇気は≪道具≫を開くと元々収納していたアイテムの他に、ハーブ、犬獣の皮、光水晶の欠片、等のアイテムが数個入っている事を確認した。アリサによれば魔物を倒した時点で勝手に道具に入るようだ。容量が満杯にならないように気をつけた方がいい、とアリサが勇気に注意する。
二人で歩くこと幾ばくか。アリサが通りがかる人に「道具の売却ができる総合店はありますか?」聞いた。聞かれた人は、≪地図≫があったら見せてくれと言い、アリサの地図に触れて行き先を設定してくれた。とても丁寧な人にアリサはお礼を行ってから、勇気と一緒にソコへと向かう。
教えて貰った場所は≪ラグナロクの迷宮≫と≪城≫を結ぶ一直線の通りにある≪迷宮通り≫と呼ばれる通りだった為に、商業区の中に差し入っていたので少々遠回りになってしまった。
『グラズヘイム総合買取店本部』
他と比べ物にならないぐらい大きな建物。入り口の上には分かりやすい名称の看板が設置されている。
中に入れば外と同じくらい人が溢れかえっていた。そのどれもが如何にも冒険者という恰好に、皆ザイエンデなんだろうと勇気は思いながら眺めている。
入口横のカウンターにずらりと構える案内人の内の一人にアリサが尋ねた。
「迷宮で手に入れたアイテムを売りたいんですが」
「二名様ですね。お二人様はフリーの方でしょうか? それともギルドの方でしょうか?」
丁寧な口調の女性案内人。とても好感の持てる接客態度である。
「王国直属師団です」
「師団の方でしたか。失礼しました。それではお二人様は、第何師団のお方でしょうか?」
「第四師団です。師団長ゼクスの下に就いています」
アリサが言うと、ハッと驚いた顔になる女性案内人。しかし、すぐに真面目かつ平静な表情に戻してアスナへと説明を続ける。
「ただいま案内致しますので、少々お待ち下さい」
女性案内人が言うと言葉の通りすぐに別の係員が来る。係員は勇気とアリサを建物奥の個室へと導いた。中には誰もおらず、立派な装飾のテーブルと長椅子がある。係員は腰掛けて待っていて下さいと言って出て行ってしまった。
勇気とアリサは長椅子に隣同士で座ると、間もなく部屋に新たな人物が入室した。
「おや、アナタ達なのね」
そういいながら入ってきたのは、つい昨日、勇気達が防具を買った店の女性店員だった。
昨日同様、やはり薄着のせいで豊満な一点が目立ってしまう褐色の女性店員。勇気の隣が勇気をチラリと見て呆れた顔をしているのは述べるまでもない。
「とりあえず私の自己紹介。私はアイギス。一日交代でココと自分の店を行き来している職員よ」
アイギスが勇気とアリサの正面に座り説明する。
勇気達も自己紹介しようとするが、アイギスに止められた。昨日、名前を見ているからいいそうだ。そして、一度見た名前は忘れないと、その後につけ加える。
「それで何を売りにきたの? 昨日のレベルを見る限りだと迷宮の浅い所のアイテムだと思うけど」
まずアリサがウィンドウの≪道具≫を開いてテーブルの上に今回手に入れたアイテムを並べる。
ふぅん、とアイギスが唸って並べられたアイテムを見る。そして、すぐに銀貨、と銅貨をテーブルの上へと現界させた。コレを見て勇気とアリサの二人は、この人もザイエンデだと悟る。
アイギスはテーブルに並べた商品を手に取り、≪ウィンドウ≫も出さずに収納した。驚く客側の二人。二人はウィンドウを開いてから出なくては収納出来ない。アリサは、どうやったのか聞いてみると、いずれ出来るようになるとしか言われず、はぐらかされていた。
アリサがお金を受け取り、アイギスがアイテムを受け取って、次は勇気の番となる。
アイギスは一瞥すると、すぐに銀貨と銅貨を勇気へと渡した。
「見ると二人パーティーでコボルト狩っていたって所ね」
取引が終わってアイギスが言う。勇気とアリサは素直にコクリと頷いた。
「低層のアイテムなんて買い取ったのは久々。でも、アナタ達なら私が取引してあげるわ。要らないアイテムは持ってきなさい。ただし、初めにも行ったけど私がココにいるのは一日置きだから注意すること。アッチの店じゃ買い取らないからね」
以上、とアイギスが話しを止めて立ち上がる。その視線はアリサの太ももに向けられて微笑んだ。アリサも視線に気づき、ムッ、と目線を送る。何を隠そうもアリサが恥じらっている姿は、目の前の女性が厳選したものである。アリサは早く着替えればよかったと後悔するが、それも遅い。アイギスはアリサの困惑する表情に十分に堪能した後に、勇気とアリサを個室の部屋から退出させた。
部屋の外では先ほど案内してくれた係員が扉の横で立ち構えていた。係員は、にこりと笑い二人を出口まで案内し「またのお越しを」と言って、丁寧に巨大買取店から送り出した。
「お昼どうする? 私は適当に食材買って、宿舎に戻って何か作ろうと思っているんだけど」
「そうしようか。もちろんアリサがオレの分も作ってくれるのならだけど」
意地悪い顔でアリサは笑った。
勇気は、そんな彼女にハハッと軽く笑う。
二人は並び歩きながら、昼はどんなメニューにしようかと喋り始めた。
勇気とアリサが商業区で買い物をすませてゼクスの宿舎に戻ると、いつものように窓辺に腰掛けて本を読んでいる副師団長の姿があった。
副師団長は帰ってきた二人を気にせずに本を読み続ける。アリサも副師団長の事は気にせずに勇気から食材の入った買い物袋を奪い、勇気に「休んでて」と言ってから台所へと行く。最後に勇気は、というと副師団長を頭の隅っこぐらいに気にしながら、本棚から本を取って読み始めた。
勇気が読む本は≪魔水晶-600年に架ける全て-≫というタイトルである。
1ページ目から順に開いて行く。目次はなく、初めのページから内容に入っていた。その1ページ目は、左に色つきで写実された絵の水晶が描かれ、右に名称、効果の説明が載っている。どうやら図鑑のようだと、勇気はじっくりと目を通し始めた。
魔水晶。時には生活の支えとなる。夜の闇を照らすのは光水晶。料理に扱う火は赤水晶。水脈が通っていない土地に水をもたらす青水晶。これらは比較的、取得量が多いと書かれている。それに分類は同じでも、個体差があるとも書いてあった。≪ラグナロクの迷宮≫内に設置されている光水晶は力が弱い部類が多いようだ。
また≪錬金士≫のスキルを持った人が、加護を自由に込める事が出来る≪空水晶≫というものもあるそうだ。これは錬金士の能力によって込められる加護が代わってくると書かれてあった。
ゼクスが勇気に渡した≪帰還水晶≫についても述べられている。この水晶は、ある迷宮で取得した場合、その迷宮でしか効果を発揮しない。もし迷宮外で使ってしまえば≪無水晶≫となり力を失ってしまうと書かれている。
勇気が次のページとじっくり見ていると、窓際から声が掛かった。
「我ら第四師団は本日より60日の休暇が決定された。ゼクスの容体を見れば、それ程の期間は必要ないだろうが上の決定だ。それまでは自由に行動するといい」
副師団長が言って、本棚へと寄る。そして本を交換するとまた窓際へと向かい腰掛けた。
「師団の人との顔合わせとかもないの?」
アリサが、おたまを持ってカウンターに肘掛ながら尋ねる。
「それも後だ。しばらく第四師団の多くは他の本隊の支援になる。お前達も本隊の支援に形式上は行ける事になるが止めておくのが無難だろう」
師団長は淡々と話して、ページをぺらりとめくった。
これには勇気もアリサも反論できない。自分達はあくまで特例で本隊である第十師団以下に入れた訳で、本隊に及ぶ力は持ち合わせていないのは百も承知だ。もし手伝いにいっても足手纏いになるのが明白だった。
むぅ、としてからアリサは料理の手を再開する。勇気も魔水晶図鑑を再び眺める作業に戻った。
料理が出来上がる頃には副師団長はいなくなっていた。
前回も似たような事があったので、気を使ってくれているのだろうかと思う勇気だった。でも仮面をハズして共に食事すればそんなこともないのに、とも思っていた。
アリサの料理は、勇気にとても好評だった。それでもアリサは今日の料理も納得できないのか難しい顔をする。何でも料理するための料理道具が圧倒的に足りないとの事だ。
「そうね。しばらくココに寝泊まりすることになるんだから、買いに行きましょう」
食事後、アリサの勢いで勇気も買い物に付き合う事になってしまった。
またもや商業区に訪れる二人。しかし、今度は私用。毎日、美味しい食事を済ますという大事な用事でもある。
相変わらず商業区は人の波が激しい。
勇気は≪地図≫を使ってある程度行き場所を絞るかと提案してみたが、アリサは少し歩いて回った方がいい店に出会えるかもしれない、との事で≪地図≫は用いずに周辺をぶらぶらしながら料理道具を探す事となった。
そして、武器屋防具屋が並ぶ通りに入る二人。ココに料理道具と呼べるものがあるのかと疑問に思う勇気であったのだが、あってしまった。包丁だ。色々な形状の料理包丁がある。店員に尋ねてみると何故か加護付きの包丁もあるそうだ。しかしアリサは加護付きの物は要らないと言って、様々な形状の普通の包丁を数本迷わず買った。アリサが言うには加護の有る無しで値段の差が大分違うとの事。そもそも武器としても扱わねば加護付きのなど持ち腐れにも等しい。
次に場所を変えて、手頃な万屋が見つかったので、そこである程度の調理具を買い揃えた。お金は全てアリサ払い。勇気が払おうとも、本日初めて手に入れた財産では心許ないので仕方ない。ただアリサは後でゼクスに金を出して貰うと言っていた。
「お……」
勇気の目にある露店が留まる。店員をしているおじさんが子どもに商品を渡している所だった。
「どうしたの?」
「ん、ちょっとね」
勇気がその露店へと近づいて行く。店内には勇気も見たことある器械がある。
たしかに構造としては簡単で作り易い製品。ここの世界では誰が発明したのやらと、考えつつ、自分の国によく伝わるそれを店内に書いてある名前で注文する。
「氷菓子二つ、人気のある奴で頼みます」
「あいよ」
おじさんが氷を器械に入れてガリガリと削っていく。
それは、かき氷だった。小さく削られた氷が専用の陶器へ降り注ぎ山になっていく。その様子を、何コレと興味津々にアリサが観ていた。
勇気が惜しむのは、かき氷の入れ物ぐらいだ。陶器ではなく紙カップやプラスチックカップならば尚良かったと思う。しかしソレを用意するってのも無理があるので文句は言わない。
「二つで30リオだ。お若い夫婦さん」
ハッハッと笑うおじさん。この年頃のおじさんはからかうのが本当に好きだなと思いながら、勇気は銅貨を30枚手渡した。
二つ受け取った勇気は片方を自分に、もう片方を僅かに顔を赤くしているアリサへと渡す。
入れ物と食べる用のスプーンはどちらも食べ終わり次第店に返すシステムのようなので、露店近くの長椅子に二人は座った。
アリサは座るとスプーンを持って、かき氷と睨めっこしていた。勇気は、そんなアリサを尻目に捉え軽く笑いながら、サクサクとスプーンで音を立て、かき氷を口に運んで行った。
アリサは勇気が迷いなく食べ続けている様子を見て、同じように口に運ぶ。
冷たくて甘い。氷だから冷たいのは分かる。甘いのは氷にかかっている液体がそうなんだろうと分かる。それでもただの氷と甘い液体の単純な組み合わせが見事に合うというのにアリサは疑問を感じていた。加えて食感もアリサにとっては新感覚で妙に食べ易いと。
「っ……」
頭を抑えるアリサを見て、やはりそうなったかと笑う勇気。
「何これ……」
「人間なら冷たいもの食べるとなるから仕方ない。特に一気に食べると、そうなり易い。ほら、コレ食べ易いだろ?」
「分かってるならなんで黙ってたのよ……」
睨むアリサだったが、かき氷で頭を抑えるようでは恐さ半減と、勇気は尚も笑いながら自分のかき氷を食べていた。
アリサも少し経つと治まったようで、またかき氷を口に運ぶ。ただし今度はゆっくりと、先ほどと比べてかなりスピードを落として食べていた。
面白いモノが見られてよかったと勇気は笑う。今日の疲れも吹っ飛ぶぐらいに満足だった。
「お、いないと思ったら逢引か?」
せっかく頭を冷やせていたのに、台無しにする師団長が居た。
アリサの右手が空を切ったのは言うまでもない。




