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第二章 恋と魔法は制御不能

その日から、澪は神谷を避け始めた。


エレベーターが同じになりそうなら階段を使う。 会議室が被れば資料室へ逃げる。


しかし。


「白石さん、この前の企画書よかった」


「え?」


「視点が丁寧だった。数字だけじゃなくて、人を見てる感じがした」


真っ直ぐ褒められる。


澪は弱かった。 そういう言葉に。


「……ありがとうございます」


神谷はふっと笑った。


その笑顔を見た瞬間。


会議室の照明が全部チカチカ点滅した。


「停電?」


「いや普通に点いてるけど……」


周囲がざわつく。


澪だけが青ざめていた。


(最悪……!)


その夜。 澪は祖母の家を訪ねた。


古い日本家屋。 線香の香り。


祖母の白石 環は、現役の魔女だった。


「恋したんだねぇ」


「してない!」


「魔力が乱れるのは恋だけだよ」


澪は顔を伏せた。


環は湯のみを置きながら言った。


「いいかい。恋は厄介だ。でもね」


祖母は少し笑った。


「心が動くって、生きてる証拠なんだよ」


澪はその言葉を、帰り道で何度も思い返した。


――心が動くって、生きてる証拠。


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