The traitorous hero(ザ トレイトラス ヒーロー)
なんだかんだ投稿できた!でもちょっとこの一週間だけは週一に戻させて。来週は週二で閑話も出すから!言い訳してすみません。来週も頑張ります!
戦場の真ん中。
赤、黒、紫が入り乱れる竜巻を前に空に立ちながら、僕は、妙な安心感を感じていた。
下を見れば、様々な魔物たちと、王国騎士・近衛騎士たちが、熾烈な戦いを繰り広げている。
その後ろでは、弓兵たちが弓を扱うゴブリンたちと、魔法兵たちがリッチ(骸骨の魔法使い)と、遠距離攻撃の押収を繰り広げている。
「……ま、あの二人と、公爵様たちがいれば大丈夫か。」
そう、僕がつぶやいたと同時、眼前に荒れ狂う竜巻の中心から、力を具現化したような、真っ赤な光の柱が天に向かって突き刺さり、一気に竜巻が晴れる。
「………」
「…久しぶり。レイダ。」
「いいのか?トルナス。お間も、言いたいことなどいくらでもあるだろ?」
「まあな。でも決めたんだよ。後はあいつに任せるって。」
「この世界に存在する五人の勇者のうち、もっとも国への貢献度、力量ともに卓越した存在であり、「英雄の中の英雄」と謳われた、レイダ・A・デクリファー…それがまさか、魔物側に寝返ることになろうとは。」
「うるせぇ。その理由聞くために、マチアスは一人で戦ってんだよ。」
「いつかくるとは思っていたけど、奇遇だね。まさか、この国で再開することになるなんて。」
「、…」
「また、一緒に旅、しない?君の帰りを待つ人は、君が想像するよりもずっとおおk—」
「—邪魔だ。そんなたわ言を聞いている余裕なんてない。」
「きみはいつもそういう。」
「—ない。」
「?」
「いらない。私の理想には。全部。だから、そこを退け。」
「…そっか。じゃ、ここで止めるしかなさそうだね。」
双朴が声に出した次の瞬間には、僕は右手に魔導書、左手に、町で作ってもらっていた、槍と杖が融合した、専用の武器、「ルクス・ハルパス」を、レイダは、背中に背負う専用の大剣、「ドーンブリンガー」に手をかける。覚悟は決まっているようである。
「《天輝連奏》」
「《光芒乱舞》」
戦場の上、白と赤の光弾が、互いを殲滅せんと、横雨のように降り注ぐ。
そして、光弾を放ったまま剣を抜き切りかかるレイダを、杖の柄で受け止めいなす。
「…!」
「グ…!」
「《背信剣舞》」
「ちょっ!」
このままでは埒が明かないと思ったのか。
今レイダが放ったのは、自分で作り出した空間の裂け目から、無数の光の剣を相手に突き刺す、レイダの得意技である。その総数、約三千本。
『よけきったりはじききったりは…無理があるか。なら!』
「《星霊結界》」
僕は抵抗をあきらめ、かわりに防御魔法を展開してやり過ごす。
「なぜ退かない。」
「なぜって…わかるだろ?」
「知ったことか。」
「きみがわからくとも、僕がここを退くことはできないよ。」
「王にでも頼まれたのか?変わらないな。」
武器と武器、魔法と魔法。様々な攻撃を繰り出し繰り出されしながら、俺たちは二人だけの問答を繰り返す。
「…お前が邪魔だということだけは、確かに理解した。」
「僕も、きみが引くつもりがないというのは、痛いほど理解したよ。」
「ならば、ここで潔く沈め。《滅裂蛇咬》!!」
『—⁉』
《滅裂蛇咬》。まるで蛇のように、”瘴気”という名の毒と、その鋭くも激しい刀身をもって、相手をただ切るよりも激しい痛みを負わせる、「殺す」ではなく「痛めつける」ことに特化した攻撃。
知ってる。
何回も”見てきた”。何回も”受けてきた”。でも―。
僕の頭の中には大量の疑問符があふれ出し、知らぬ間に、口から声が漏れていた。
「…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………は?」