表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

第3話*

この話は挿絵が付いております。

あまり好まれない方には申し訳ありませんがご注意ください。



「絶海の孤島ってどういうことじゃぁぁぁあああああ!!!」


絶海!? 絶海の孤島!??? 絶海ってどういう意味でしたかね!!??

陸から遠く離れた島のことですよ!!!!!知ってた!!!!


「ぁぁああ!! どうやってこの島から陸へ行けば…っ!!」


「あ、ちなみに島の周りは何個も渦が巻いてるから近づけないよ?」


「追い討ちぃぃいいいい!!!!」


どうやって島からでようかと頭をひねっている時に、精霊様からさらなる追い討ちがかかる。

無理じゃん。それ無理じゃん。ただの日本人に何求めてんねん。むり。島から出るのむり。


「うわうぁあううううぅぅう!!!」


人生終わったと脇目も振らずに号泣する。こんなん号泣してなきゃやってられるかぁぁぁああ!!!!現実逃避してやるぅうううう!!!!うわぁぁあああん!!!!


「わわわっ、落ち着いて! 何とかなるよ!!あっ! ほら、 空飛ぶとか!!」


「人間様舐めんなぁあ!!!」


そらとべるかぁぁああ!! 羽なんかはえてねぇんだぞ!こんにゃろぉお!!!うわぁぁっぁあうああ!!!!!


精霊様の発言にますます泣く声が大きくなる私。


「あらら。そうだった、人間って空飛べないんだった…どうしようかな…褒めれば泣き止むかな…?」


「ううぅう…っ!ぐず、ぐすん」


少し泣き疲れて勢いが落ちる。そこを狙ったのか、はたまた偶然か、精霊様がまたまた衝撃的なことを言ってくれた。


「ねぇ! おめめがとっても綺麗ね!! まるで虹みたいっ!」


「ーーは?」


挿絵(By みてみん)


「あのね!さっきからずっと思ってったんだけど!おめめが動くとね!赤や黄色や青なんかにきらきら色が変わるのっ!とっても綺麗!」


「え、は、え?」


「今は涙でもっときらきらしてるよっ!!」


「う、」


「う?」


「うわっぁあああううう!!!変わっちゃったぁあああ!!異世界にきて変わっちゃったああぁああ!!!私の目がぁあああああ!!!!!」


「え!? なんで! なんで泣き出すの!?? 褒めたのにっ!!」


また泣くのを再開した私に戸惑う精霊様。


「うぅぅ!もう、元の世界にがえれないぃぃいい!! 一生このじまでいぎてかなきゃ駄目なんだぁあ!!」


うわぁあうぅああぁ!!!!


「…ん? 元の世界……?」


お先真っ暗になってしまった私は、既に自分が何を叫んでるかわからないまま、鼻水を垂れ流し泣き続ける。


「ねぇねぇ、元の世界って…?」


そんな中、精霊様が何か言ってきた。しかし今の私には当然聞こえるはずもなく…。そんな私にだんだんイラついてきたのか、精霊様の言葉に棘が入ってきた。


「ちょっと、いい加減泣き止んでよ! 元の世界ってどういうこと!!」


当然聞こえない。まだ泣き続ける。


「ううぅうう、もうここでわたしの人生終わっじゃぶふぅうっ!!!」


すると突然頬に痛みが走り、強制的に泣き止む。あれ、でじゃぶ…。

私は一瞬何が起きたのかわからなくなり、自分が目の前の精霊様に殴られたと気づいた。その小さなおててからどんな威力出してんの……。


「もう! やっと泣き止んだ! 泣き叫んでもしょうがないんだから、今は前を向くことだけ考えればいいのっ!! ということで!さっさと私の質問に答えてっ!!」


「え? じづもん?」


「もぉ!だから!元の世界・・・・ってどういうこと!!」


「あれ…ぐす。私そんなこと言った…?」


「盛大に叫んでたよっ!!はい!早く答えるっ!」


「え、うん…。 私地球って言う、こことは違う世界から来たの。昨日突然この島に転移されて、だから…だからっ、うぅ…!」


「あぁ! 泣かない泣かない! まだ諦めるのには早いよ! 世界樹様の元へ行ってみよう!世界樹様は物知りだから何か知ってるかも!」


「ぐす…世界樹様……?」


「そう! 世界樹様! 大丈夫、落ち着いたら早速行こう。案内するよ!」


「う、うん」


精霊様から【世界樹様】という聞きなれない言葉がでる。確かにこのまま泣いていても何にもならない。不安はあるけど、きっとその世界樹様の元へ行けばなんとかなる。……精霊様を信じよう。


私が精霊様の励ましによって、少し前を向いたとき。右頬から何か湿ったものが当たった。


「!?」


びっくりして思わず勢いよく振り向く。するとそこには、鹿さんのとても心配そうな目があった。あ……。


「鹿さん…」


私が思わず呟くと、鹿さんはまた頬を舐めてくれた。


「鹿さん心配かけてごめんね。もう大丈夫。今は前だけ向けれてるから…ありがとう」


鹿さんの静かな優しさが嬉しくて、背中を撫でながらお礼を言う。鹿さんは私の目を一度、じっと見ると体を起こし森の奥へと向かって行った。私はそんな鹿さんを見送ると精霊様の方へ向き直る。精霊様にもお礼を言わないと。


「な、なに?」


「精霊様も私を励まそうとしてくれてありがとうございました。お陰で希望が少し見えました」


「え、いや、べ、別に私は何も……ま、まぁでも、どうしてもと言うなら頭を撫でさせてあげなくもないよ…?」


「ふふ、はい。ぜひ撫でさせてください」


素直に撫でて欲しいと言えない精霊様がおかしくて笑いが漏れる。私はそんな精霊様の頭にそっと腕を伸ばした。



◇◆


あの後鹿さんは昨日と同じ果物を持って帰ってきた。私は鹿さんに感謝しつつ、ペロリと平らげる。うむ、美味であった。


食事を済ませたら世界樹様の元へ向かうため、精霊様に案内されながら歩き出す。世界樹様は島の南端にあるらしく、ここから徒歩で一時間ほどらしい。

一時間と言っても体力は普通の女子高生ほどしかないし、森のデコボコした道も歩き慣れないため結構大量を消費する。


歩き始めて30分ほどだろうか?ふと、上を見上げると木の隙間から周りの大木と比較するのが馬鹿馬鹿しい程の大樹が見えた。あまりの大きさに驚き足を止めてしまう。


「どうしたの?」


足を止める気配を感じたのか、精霊様がこちらを振り向き不思議そうに尋ねてくる。


「もしかしてあれが世界樹様?」


「んー?…そうそうあれが世界樹様だよ。大きいでしょ!」


「いや、大きいってレベルじゃ…」


精霊様は軽く言うが、ここから見える範囲でも上の方が薄っすら雲を纏っている…。こりゃ、想像以上だぞ……あの広場で気づかなかったのがおかしいくらい大きい。あの広場には影が差していなかったから、ぎりぎり世界樹様の陰に入らなかったみたいだ。空を見上げていたら気づいていたかもしれない。


「さぁ!もうすぐだよ!頑張ろっ!」


「う、うん」


精霊様の声で現実に戻され、再び歩き出す。世界樹様ってどんな感じなんだろう…木に顔がついてて喋るのかな…?うーん、わくわくする。


私がこれから会う世界樹様に思いを馳せていると、後ろから服をクイッと引っ張られた。


「うぉっと、と……鹿さんありがとう助かったよ」


私を引っ張ってくれたのは鹿さんだった。考えに夢中になりすぎて木の根に足を引っ掛けそうになっていたらしい。ふぅ、鹿さんがいなかったら危なかった。



それから30分ほど経って森の出口が見えてきた。どうやらあそこを抜けると到着らしい。私はいよいよ世界樹様と対面するとなり、緊張でドキドキしてきた。世界樹様は名前の通りとてもすごい存在みたいだから、とっても緊張するっ…!うぅ、失礼のないようにしなきゃ…。


そんな私の緊張に気づいたのか鹿さんが体をすり寄せて応援してくれる。鹿さんありがとうっ!その優しさが身に染みるよ!


「そんな緊張にしなくても大丈夫だよ!世界樹様はとっても優しい方だから!」


精霊様も私の緊張をほぐそうと励ましてくれた。うぅ、みんなが優しくて泣けてくる……よし!元気でた!行くぞっ!


私は一歩出口へと足を進めた。






視界が開ける。目の前に広がる海風が体を撫でる。海と草花の匂いが鼻を刺激した。そして目の前にはーーーー






「お待ちしておりました。異世界の迷い人さん」






ーーーー綺麗な女性が出迎えてくれた




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ