表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/22

吸血鬼カミラ

すいません。

いつもより長くなってしまいました。

ヨーコはダンジョンのとある区画にやって来ていた。

全体的に薄暗いが、土壁はなく、広々としている。

自然溢れ、所々手が加わっているのが判る。

洋風の民家がポツポツとあり、牧歌的な風景が広がっている。


「おっちゃん、ちょっといいかな?」


「はいはい。なんでしょうかな?」


家畜に餌を与えていた男性に話しかける。


「姐さんは在宅?」


「?カミラ様ですかな?」


「そそ」


男性は少し思案するが、ヨーコの顔を見て、ハッとする。


「おぉ、ダンジョンマスター様ですか。これはこれは失礼を」


男性はヨーコに頭を下げると、お屋敷にいるはず、とヨーコに伝える。

ぱたぱたと手を振って男性と別れると、ヨーコは丘の上に見える屋敷へと足を進めた。


屋敷に着くとドアノッカーを鳴らし、出迎えた執事に用件を伝える。

程なく案内され、客間へと通される。


「姐さん、お久ー」


「うむ。かわりないかの?」


「変わりまくりだよー」


屋敷の主━━カミラは、質素だが丁寧な作りのドレスを身に纏ってヨーコを迎えた。


出された紅茶を一口。

ヨーコの顔が綻ぶ。


「いつ来ても、美味しいね。羨ましい」


「フフ、何よりじゃの」


微笑みはまるで聖母のよう。

しかし、カミラは吸血鬼である。


元々、近くの森の奥でひっそりと暮らしていたのだが、周囲の人間が増え、住みづらくなってきていた。

そこにユーキが現れた。

相対して判る絶望的な戦力差。

だが、領民を守るのが貴族の務め、カミラは戦いを挑んだ。

魅了の魔眼は無効化され、攻撃はいなされ、魔法はかき消され、それでも、カミラは引かなかった。


「まだ、やるかい?」


「フン、引けぬ戦いもあるのじゃ」


「判ってると思うけどさ。あんたじゃ、オレに勝てないよ」


「それでも、じゃ。


……最早、限界なのでな、これだけヒトが増えれば、我等の存在は知られてしまうじゃろう。そうなれば、狩って狩られて、互いが絶滅するまでの殺し合いじゃ」


カミラは、満身創痍の身体に鞭打って、再び構える。


「なれば、ここで果てるも、先で果てるも同じことよ」


「………」


「せめて一撃、そなたに食らわせてやろうぞ!」


飛びかかるカミラ。

だが、途中でその姿が霧散する。

直後、ユーキの背後からカミラが姿を現す。

背後からの一撃がユーキを襲う。


「ガッ!」


ユーキから尋常じゃない圧が放たれた。

全方向への魔力波。

間近でソレを食らったカミラは、膝から崩れ落ちる。


「クッ……届かぬか……」


「………」


くるりと振り返り、しゃがむ。

ユーキはカミラをまじまじと見つめる。


「……なんかさ」


「………」


「オレが悪役みたい」


「……何を今更……」


「なので………よっと」


「!!貴様、何をする!」


ユーキはカミラを持ち上げると、スタスタと歩きだす。

肩に担ぐ様は、まさに運搬。

カミラのような美女にするやつではない。


「ちょっと大人しくしててよ。まぁ、悪いようにはならないと思う。保証は出来ないけど」


「せめて、もう少しマシな運び方は出来ぬのか……」



「捨ててきなさい」


「えー、いいじゃん。スペース余ってるでしょ」


「そーゆーことじゃないの」


カミラな前で、ユーキと少女が揉めている。

ユーキに連れられ(運ばれ?)来たのは、ダンジョン。

部下から、近くにダンジョンらしきものがあると報告を受けていたが……。

周囲を囲むモンスター達。

何なのだ。アレは。

殆どが我より上ではないか。

強さにはいくらか自負があったが、世界は広いのぅ。はぁ……。


「誰がお世話するのよ。結局アタシでしょー」


「そうだね」


「むがー!」


「……ちょっといいかの?」


話が平行線のようなので、口を出してみる。

我はともかく、領民はなんとか受け入れて貰わねば。


「……と、いうことでな。我の命と引き換えに領民を受け入れては貰えまいか。我ならば、多少のDPは見込めるであろう。……このカミラ、伏して、お願い申し上げる」


「………グス」


しばらく伏していたが、返答はない。

これは、ダメだったかの。


「ほらぁ、もー。カミラさんだっけ。顔上げて、こっち来て。ほらここ座って」


少女は涙声で捲し立てると、我を引っ張り、側に座らせた。

いつの間にか豪奢な椅子が用意されていた。

何処にあったのだろうか。

ともあれ、良い方に話は進みそうだ。

なんか、周りのモンスターからの視線も、心なしか温かく感じる。


「ワタシはヨーコ。ここのダンジョンマスターよ。あなた達を受け入れます」


「ま、まことか。良かった……これで我が領民も生き延びられる…」


「うんうん。ひどいのは全部人間なんだよね。アイツ含めて」


「そなたは?人間なのでは?」


「ワタシはダンジョンマスターって生き物よ」


「左様か。民は100名程じゃが、大丈夫だろうか?」


「問題ないわ。環境も合わせるわ」


「有難い。これで憂いなく逝けるわ」


良かった。

これで我の仕事も終わりじゃの。

肩の荷も降りたわ。


「さぁ、一思いにやってくれ」


「嫌です」


えー。


ヨーコは我の手を取り、見つめてくる。


「あなたは、世間知らずのワタシの相談役になってもらいます」


「じゃが、それでは民のためのDPが」


「それはあそこのアホで賄うから」


「ハッハ、辛辣」


「やかましいわ。ほらほら、68階で暴れてきなさい」


「あいよー」


ヨーコは魔方陣を作りだし、ユーキに紙を棒状に折り畳んだ物を渡す。

ソレを受け取ったユーキと周りのモンスター達は、魔方陣へ次々と乗り込んで行く。


「さて、それじゃ、カミラさ━━姐さん達のエリアを設定しましょーかねー」


ヨーコはニコニコと何かを操作し始めた。

時折くるヨーコからの質問に答えながら、我らの安住の地となれば良いな、と思いを馳せる。

その為にも、ヨーコの力にならねばの。



「姐さん、聞いてる?」


「フフ、ヨーコが可愛くての。見とれておった」


「またまた。でね、ちょっと試したいことあってね」


「ふむ、なんじゃ?」


「献血って知ってる?」


「…知らぬな」


「簡単に言うとね。血を分けてもらうって仕組みなのよ。その代わり、ちょっとしたお礼をあげるの」


「血を売り買いするということかの?いつもの通り、ダンジョンに来た人間を襲うのと何か違うのか?」


「供給の安定化と、品質の向上かな?」


「安定化は判らんでもないが、品質とは?」


カミラは腑に落ちないのか、首を軽く傾げる。

くっそ、可愛いな。


「んー、姐さんは、健康的な生活をしているイケメン人間の血と、怠惰な生活をして、だるっだるに太った人間の血と、どっちがいい?」


「イケメンは判らんが、そうじゃな、冒険者のように鍛練をしている人間の血の方が、スッキリとしているのは確かじゃな。どっちか?というのであれぱ、迷うことなく前者じゃな」


「良かった。じゃ、話を続けるね」


と、ワタシはカミラに吸血鬼の為の献血のシステムを説明しはじめた。

もちろん、無料とかおやつとかじゃこの世界の人達は、献血はしてくれないだろう。

色々と考えないとねー。







で、ボルゾーシステム(仮)の運用が始まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ