表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/22

脱獄王②

ボルゾーの前に男がいる。


「やぁ、元気かね?」


「あんたか?元気だが、自由がねぇ」


「それは当然だろう?諦めたまえ」


「やだね」


いつもの会話。

逃亡の際、手持ちの金が無くなる度に盗みを働き、その余罪が積もり積もって、今や死刑判決。

執行の日を待つばかりである。

しかし、ボルゾーの目には諦めた様子はない。


大臣は、ふむ、と顎に手を当てる。


「……お気に召すと良いのだがなぁ」


ポツリと漏らす言葉に、ボルゾーは何かが動き始める予感を感じた。

そして、改めて、気を尖らせた。

一瞬の、刹那のチャンスを逃すまいと。





「と、いうわけで、ボルゾーさんです」


「わぁい。来やがった」


「歓迎されてないのは判ったぜ」


ダンジョンの一角にボルゾーは連れてこられた。

のは、判った。

が、状況がよく掴めない。

目の前には一人の女。

派手でも、地味でもない。

何を考えてるのか読めない目と無表情。

この場に似つかわしくない服装。

町娘のようで、どこかの貴族の娘のような、作りは平凡、材質は一級品。

なにより、武器も防具も装備していない。

まるで、ダンジョンに散歩でもしに来たような。



「まぁ、受け入れたのはこっちだしね。

さてさて…、ふむふむ…。ほぅ…、



なるほど」


「何だよ、気持ち悪ぃな」


女はじろじろとボルゾーを眺めると、微笑みを浮かべる。


「いいでしょう。とりあえず、コレで試してみますかー」


女は、大臣とここまで護衛をしてきた男に了承の返事をする。


「とりあえず、1ヶ月。見てみるわ。それで問題なければ、また、ってことで」


「ありがたい。死刑執行は決まっているのだが、それまでの手がかかりすぎてな。引き取って貰えれば、後はそちらの好きなようにして貰って構わない」


大臣はホッと息を吐いている。

護衛の男は、なんだ?警戒してないな。こりゃ。

で、目の前には、女が一匹、と。

ボルゾーは静かに集中を始める。


「ま、なかなか活きが良さそうだから、頑張って欲しい所、かな?今後の運用に関わるし」


「こちらとしては、獄中で、罪の重さに耐えきれなくなって、自殺した。としておこうか。王都の監獄は付け入る隙がなく、絶望した。とか」


「うわ、悪い顔。役人怖いわー」


「はっはっはっ。あなたがソレを言いますか」


「はっはっはっ。違いな…くないわ、ちょっと待て」



今。


ボルゾーは、一気にスキルを解放した。

気配遮断、気配拡散、幻影投射、忍び足、瞬発力増幅、覚醒━━━。

狙うは隙だらけの女。

あの大臣が丁寧に応対する身分は、人質に使える。

護衛の男とは目があったが、動く気配はない。

足枷をしなかったのは、お前らのミスだぜ。


電光石火。

ボルゾーは目にも止まらぬ速さで、女に接近し、手を伸ばす。


「ぐぇ!」


ボルゾーは首を絞められ、中に吊られる。

ワンハンド・ネックハンギング・ツリー。

女の細腕で、軽々と。


「おいこら、ユーキ」


「ナイスキャッチ!」


「イェー!…違う!」


ぷらぷらとボルゾーを雑巾のように振り回し、女━━ヨーコはユーキを軽く睨む。


「護衛が見逃してんじゃないわよ」


「だって、オレ、大臣さんの護衛だから。こっちに被害無ければねー」


「か弱い女の子が狙われたんですけど?」


「ハッハ、何処?」


「くっそ」


「あー、その、キミタチ?」


キャイキャイとするヨーコとユーキに、恐る恐る大臣は話しかける。


「何?大臣さん?」


「そ、それ、死にそう」


血の気が引いて、ぐったりしているボルゾー。

うわ、とダンジョンに投げ捨てられた。



パタパタと手を振り、コワカッタワーと呟くヨーコ。



大臣はドン引きしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ