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emperor of dead  作者: ルーク
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3/8

3巡目

眞鍋(まなべ) 謙太(けんた)

173cm 61kg 趣味:ゲーム、酒 異名:なし

遊び好きで物事を深く考えないタチ(要はバカ)。性格は明るく友人も多い。

人の輪の中心にいるのが好きでよく他人を遊びに誘う。

麻雀では大勝ちと大負けが極端に出る傾向にあり、高い手を狙うのも好き。


川口(かわぐち) 悟(さとる)

186cm 75kg 趣味:漫画、アニメ 異名;なし

謙太とは正反対の石橋を叩いてわたるタイプ。性格は穏やかだが少々

皮肉屋な面も併せ持つ。麻雀では慎重が過ぎ勝ちは少ないが大負けは

滅多にしない。やや気が弱いがここ一番など肝心な時は実力を発揮する。


吉津(よしづ) 蓮(れん)

179cm 70kg 趣味:料理 異名:卓上の風紀委員

攻撃的なプレイスタイルと端整な顔立ちからか女性ファンが多い。

実物も相当に短気で攻撃的な性格だが根は優しく面倒見がいい。

他家が独走体勢に入ると自身の手が加速するという性質を持つ。


新山(にいやま) 淳史(あつし) 趣味:昼寝、読書

マイペースな性格で少々遅刻癖あり。行動が他人より遅いせいか

時折いらぬ騒ぎに巻き込まれる事も。少々天然ボケの気あり。

卓上ではこれと言ったスタイルがなく、何をしでかすか分からないと

一部の人間には(ある意味)恐れられている。

外の空気は、想像以上に寒かった。コートを着ていてもはっきりと体温を奪われる感覚を覚える。

3月の夜とはここまで厳しい物だったかと思いつつ駿二は携帯電話を見た。

謙太に一旦自分だけで待ち合わせ場所に向かうとメールをした時の返事はトイレを済ませ、

さして広くもない会場の出入口をくぐる前に届いた。その間わずか5分。

待ち合わせ場所は普段よく集まる駅前。最寄駅から電車に乗ればそのままたどり着く場所だ。

時刻を見ればもうすでに10時近く。この分では太一との合流と食事が下手をすれば日付が

変わる辺りになってしまうのではないか。わずかにそんな不安を覚えつつ駅舎をくぐった。

昼は人でごった返す東亜の中心部に位置する駅もこの時間では流石に人通りは相当少ない。

駿二には自分と同じくこれから遊びに向かう若者か仕事帰りの人間が大半なように見えた。

ホームにたどり着き、5分と待たずに電車が到着した。中では駅構内の人口比率を縮小したかの

ような光景が広がっていた。幸い空席は多数残っており駿二はその中の1つに腰を落ち着ける。

座っていても周りの人間が小さく見えてしまうのももう日常だ。

太一は今頃何をしているのだろうか。占いを済ませ、会場を後にした頃だろうか、それとも

まだ占いの真っ最中なのか、もしくは歩と何かしら話している所なのだろうか。

歩の行動は、自分たち2人というよりはむしろ太一と直接話をしてみたいという風に取れた。

これほどまでに他人の一挙手一投足に関心を持ってしまうというのは、今までの駿二には

ありえなかった事だ。何が自分を変えたのか。それが渋沢太一という存在そのものなのか、

それとも彼のおかげで得る事の出来た仲間のおかげか、今の駿二には分からなかった。

規則的な揺れと共に眠気が少しずつ襲ってきた。大会の疲れが今になって出たのか、それとも

電車の揺れのせいなのかは分からない。だが、駿二には今自分がこれに身をまかせれば

間違いなく夢の国の住人となってしまう事が分かりきっていた。

気合でどうにか眠気をこらえる。それとほぼ同時に目的地の駅に到着するというアナウンスが

流れてきた。慌てて意識を現実に引き戻し荷物をまとめて下車。待ち合わせ場所になっていた

駅の出入口付近の喫茶店前を目指す。



その喫茶店前には既に3人の男たちが到着していた。赤いダウンジャケットに黒いニットが目立つ男、

駿二には劣るものの3人の中では最も長身で群衆と比べても背の高い男、そして理知的そうな

黒フレームのメガネを掛けた男の3人だ。全員駿二とは旧知の仲。駿二はその姿を認めると

小走りでその集団に駆け寄った。

「悪い、待たせたな」

「いいっていいって、どうせ今日はおごりなんだろ?でも優勝の祝賀会だっつーのに、

その優勝者が全額金出すとか変な話だけど」

そう言って赤いダウンジャケットの男、眞鍋謙太は駿二に笑いかけた。この企画の立案者で、

普段は仲間内での言わば盛り上げ隊長。酒が入り理性の壊れた駿二でも発揮出来ないテンションの

高さを普段から見せつける、明るさがとても目に付く男だ。麻雀の時にもそれは散見され、

真っ直ぐすぎる程真っ直ぐに攻める、とても素直でわかりやすい戦い方を特徴とする。

仲間内で戦えば太一がいないと駿二の手によって葬り去られるのはほぼ毎回彼だった。

おかげで太一がいない時は駿二と謙太の同卓に禁止令が出され、その事について謙太がお冠に

なる事もしばしば。それでも尚、彼はいつも駿二との再戦を願っていた。

ドツボにハマり大負け、という事も珍しくないが時に大勝ちすると少々やかましいまでにはしゃぐ

悪く言えばおめでたい、だが駿二にとっては同時にとても羨ましい性格の持ち主でもあった。

「で、その優勝者様はいつお着きになるのやら」

少々皮肉が混じった口調でそう言ったのは長身の男、川口悟(さとる)。身長とは対照的な

目立たないプレイスタイルだが、1度掴んだ点棒は離さない、堅実な戦い方が特徴的だ。

元来の性格も気が強い方では決してなかったが、その性格は麻雀ではむしろプラスであると

言ってよかった。己の引き際をキチンと弁え、出しゃばるような真似は決してしない。

少しでも不安を感じれば即座に身を引く慎重さはその多くが正しい結果となっていた。

本人は気が小さいと言っているが、ある種野生の勘にも通ずる押し引きの巧妙さは十分過ぎる程

評価に値した。

「主役は遅れて到着するって奴じゃねーのか」

いわゆる優等生的な雰囲気を纏ったその容姿には似つかわしくない少々荒っぽい言葉遣いは

最後の1人、吉津(よしづ)蓮。彼のスタイルは、一言で言えば二面性。

最初は穏やかな表の顔を見せ、そつなく試合を進める。しかし誰かが目に見えてトップを走る

状況になればその顔は一変する。何の前触れもなく手が加速し始め、トップを中心に

誰彼構わず傷つける暴走機械と化す。いつどこでスイッチが入るか分からない、迂闊な真似を

すれば誰にでも矛先を向ける、そして相手が誰であろうと容赦はしない、

抜き打ち検査みたいだという大会の実況のほんの些細な発言がきっかけに

どこか背筋を凍らせるような冷たさ、それ以上にスイッチが入った時の暴走の恐ろしさ、

荒れ狂う大熱となって卓上を駆け回る独走を許さないスタイルに異名が付いた。

そのあまりに極端なプレイスタイルをから彼についたあだ名は「卓上の風紀委員」。

風紀を乱す者には鉄槌を下す。その名の下に逆らえば逆らう程に燃え上がり、

地獄の果てまで付き纏い情けなど持たず己の使命を果たすはた迷惑な男が彼だった。

いつかのインタビューで彼がそれに快感を憶えているという趣旨の発言をした時はそれを見ていた

仲間全員が凍りついたものだった。風紀委員なんて嫌われてナンボという開き直りとも取れる

発言までセットに付いてきた時には彼の性格を疑う者まで現れる始末。


トビを出さない太一、引きのタイミングに関しては右に出る者はいない悟、暴走風紀委員の蓮、

この3人との対局ともなればいくら駿二といえど場が滅茶苦茶に荒れるのを見守るばかりだった。

太一のせいで誰かを飛ばす事すら出来ず、少しでも高い手が出れば今度は蓮の影に怯える。

悟は早々に逃げ出すので流局のオンパレードとなり試合は長引く一方。

はっきり言って地獄だった。局の数字が進むたび、本場の数が増えるたび、点数が動くたび、

試合の進行が目に見えるだけまだマシだったが通常のそれとは明らかに違う流れに飲まれ

ペースを崩された事は数知れず。3人の特徴を良く知っているのに、いや、知っているからこそ

自分の力が存分に発揮出来ないのだ。今日の試合もそうだった。

決勝の相手に太一がいなければ、優勝は自分の物かもしれなかった。そう思えば悔しさが募るが

今それを口にしても仕方のない事だ。過ぎた事は過ぎた事と割り切るには今はまだ時間が

足りなかったが酒でも煽って忘れてしまうのも手だ。これからの祝賀会、そのチャンスは

存分にあるのだ。そう思って謙太達の方を見た。3人は纏まって何かを話していた。

すぐに話に決着が付いたらしく蓮がこちらを向いて言った。

「駿二、ゲーセンに行くぞ」

「ゲーセン?」

「駅前のスペースオペラ。太一まだ来ないんでしょ?0次会って事で俺たちで先に遊ぶ事にした」

駿二の疑問に答えたのは悟だった。0次会という言葉に少々引っかかりを覚えたが

別に断る理由はなかったので二つ返事で承知。その場を離れる3人を追いかけるようにして

駿二もその中に加わった。

「そういや淳史(あつし)はまだ来てないのか?」

友人達に追いついた駿二はこの場に不在のもう1人の仲間について聞いた。新山淳史。駿二達と

よく遊ぶ仲間の1人だ。相当にマイペースな性格で同時に仲間内での遅刻魔でもあった。

「また遅刻みたい。駅前じゃなくてゲーセン来いってメールはしといたけどな」

謙太のその言葉にまたいつもの事かと納得して駿二はすぐにそれを忘却した。


外の世界は相変わらずの寒さが広がっていた。駿二を含め全員が寒いを連呼し徒歩せいぜい3分の

ゲームセンターに少しでも早く着くべく奮闘している。ロクな会話もないままゲームセンターに

たどり着きクレーンゲームだビデオゲームだとそれぞれ目的のコーナーに散っていった。


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