↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今日も生きてて、わりとごきげん  作者: このはな
最終話 わけあうごきげん

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
49/54

4


「沙織ちゃん、送ってく。軽トラで来てるし」


「歩いていける距離だからいいよ」


「ついでだから遠慮すんなって。もう暗いぞ。そういえば最近、日がみじかくなってきたなあ」


 ああ、そうか。ふと気づいた。わたしを気づかっての誘いなのだ。隼人なりの……。もう大丈夫なのに。


「ついでだったら頼んじゃおうかな。お返しを期待しないって約束できるならね」


「おう、するする。いくらでも約束してやる」


 ほんのみじかい距離だけど、隼人の軽トラに乗せてもらい家まで送ってもらう。


「どうもありがとう」


 家に着いて助手席から降りようとしたら、


「春江さんの、あれ……どうなった? 袋とじ」


 隼人がたずねてきた。


 何を聞かれたのかすぐにわかったので、「読んだよ」と答えた。


「袋とじのあのページに、わたしあての手紙が入っていたんだ。フフッ。泣いちゃった」


「ふうん、そうか」


「隼人のことも書いてあったよ」


「えっ、なんて?」


「うちのおじいちゃんにそっくりだって」


「なんじゃ、そりゃ。それ、袋とじにしてまで言うことかよ」


 隼人が困った顔をするのを見て、思わず吹きだしてしまう。


 二人でしばらく笑い続けた。



   ※※※



 わたしたちの企画はすんなり了承され、マルシェの目玉として実行することが正式に決まった。もちろん、他にいいアイディアが出なかったということもある。


 その準備と図書館のバイトで忙しくしているうちに、あっという間に時がたち、マルシェの当日を迎えた。


 カフェと同じように、公民館の壁にボードを貼り、届いた順番にカードを展示していくことになっている。こちらにも色とりどりのカードとペン、折り紙など用意できる文房具はすべて準備した。


 最初はまばらだったが、昼に近づくにつれ、人が増えてきた。子どもたちがペンをとり、「風船をもらった」「たこ焼きおいしかった」などなど書いてくれた。わたしはそれを受けとりボードに貼っていく。


 そのうちトイレ休憩に来たお年寄りや自販機のジュースを買いにやってきた若い子も、ボードの前で足を止めてくれるようになった。


「ごきげんって、いい言葉だねえ」


「わたしも書いてみようっと」


 気づけば、ごきげんの大豊作だ。


『夫が皿を洗ってくれた(キセキ)ごきげん』


『子猫をもらった。かわいくてごきげん』


『孫から電話が来た。いっぱい話せた、ごきげん』


『彼女ができた。めちゃくちゃうれしい。ごきげん』


 みんな、いろんな「ごきげん」があるんだな。ごきげんになるために、特別なことは何もしていない。ただ、今日あったことの中から、うれしかったものを一つ選んで書いている。そう思いながらニコニコしていると、隼人がやってきた。各お店をまわって預かったごきげんカードを運んでくるのは、隼人の役目だ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。