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わたしはもう、自分がやる前提で話しはじめていた。学生の頃からリーダー気質……というわけでもなく、よくいる一般的な普通の生徒で、社会人になってからも特にどうってことのないポジションにしかいたことがないわたしであったが、能動的に何かに打ち込みたい気持ちだったのだ。
「ちょっと待ってくださいね」
さっそくスマホのアプリでメッセージを送って、隼人を呼びだすことにした。
「今でなくても……」
「いえいえ、いいんです」
わたしの過去が発覚してからというものの、隼人とは会っていなかった。以前はあんなに毎日うちに来ていた隼人が、この一週間ばったり姿を現さなくなったのだ。今は収穫の時期で忙しいだけだと思う一方、ひょっとして意図的に避けられているんじゃないかと思ってしまう。
「最近会ってなくて、忙しいみたいだから。たまには連絡しないと。ちょうどいい機会だから」
言い訳めいた言葉を口にしながら指を動かしていると、チリンとドアの開く音がした。
「ちわー、頼まれた注文の品、持ってきましたよ……って、沙織ちゃん?」
「隼人?」
ふり向いたら、ドアの前の出入り口のところに本当に隼人がいた。「キャベツ」と文字が入った段ボール箱を抱えたまま、ポカンと口をあけていたのだ。
「久しぶり、忙しそうだね」
なんだか気まずくて控えめに笑う。
「おう、かき入れ時ってヤツだからな」
隼人はカウンターの奥に入っていって荷を下ろした。あかりさんが笑顔で「ご苦労様」とねぎらう。ふたりの間でいつも行なわれているようなやりとりだ。
隼人が働いているところ初めて見たな。そう思いながら、そんなふたりを見ていると。
「ちょうどよかった、隼人くんに連絡するところだったんですよ。ね、沙織さん?」
あかりさんがわたしに話題をふってきた。
「連絡?」
隼人の頬がぴくっと動く。
「うん、じつはそうなの。あかりさんが相談あるとかでね、そのことで隼人にも話を聞いてほしくて」
あわてて言ったら、隼人はホッとしたようだった。あかりさんにからだを向ける。
「相談ってなんすか?」
わたしたちは隼人に、代わる代わるマルシェについて話した。隼人は興味しんしんに耳をかたむけていたが、話し終えたときにはわたしたち同様に苦笑いを浮かべていた。
「しょうがない、そういう事情ならやってやるか」
わたしとあかりさんは、その色よい返事に喜びの声をあげた。
「ありがとう、隼人くん!」
「さすが~!」
パチパチと拍手喝采。ふたりしかいないけれど、それでも隼人はまんざらでもなさそうだった。少し照れたように「バーカ」と言って、わたしの額を一本指でとん、と押す。
「照れなくてもいいのに」
突かれた場所をさすりながら言うと、
「あかりさんはともかく、おまえはからかっているだけだろ」
「えー、バレた?」
「バレバレだ、つーの」
「まあまあ、おふたりともその辺で。あ、コーヒーはいかがです?」
それから今後について話しあった。




