表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今日も生きてて、わりとごきげん  作者: このはな
第六話 ごきげん通帳は袋とじ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
44/45


「隼人、帰っちゃうの?」


「ああ、おれもいったん家に帰るわ。うちのおばちゃんもヤキモキしているだろうし。それにそれ、ひとりになって読みたいだろ」


 隼人の視線は、ごきげん通帳に向いている。


「ありがとう、隼人。おばさんにもお礼を言っといてね。明日お礼に伺うからって。もう心配いらないからって」


「おう、わかった。んじゃな、しっかり戸締まりだけはしろよ」


 わたしは「うん」と素直にうなずいた。




   ※※※




 隼人が帰ったあと、言われたとおりすぐ戸締まりした。インスタントコーヒーを淹れ、茶の間に向かう。ちゃぶ台にごきげん通帳を置いたけれど、少し緊張してしまい、表紙をめくるのにためらわずにいられなかった。


 祖母がわたしに何を伝えたかったのかわかるときが、いよいよ来てしまった。そして、その命がつきる前にどんなことを考えていたのかも……。


 正直言って、読むのがとても怖い。でも、祖母が隼人に最後のごきげん通帳を託した理由がわたしにあるならば、どうしても読まなければならない。


 わたしは覚悟を決めて、表紙をめくった。日付は祖母が入院中のものだった。


 書く力がそんなに残っていなかったのだろうか。どの記録も文字が大きく揺れている。

 だから、見せたくなくて隠したの? でも、内容は今までのものと変わらず、祖母らしかった。


『七月五日 検査の日。看護師さんがやさしくてごきげん』


『七月七日 七夕。短冊を書いた。入院中の子どもたちが「元気になりますように」と書いてくれてうれしい。ごきげん』


 入院生活は、本当に楽しかったみたいだ。わたしや母がいくら心配しても、「あんたたちがいなくても、こっちは平気だから」と言って、祖母は付き添わせてくれなかったのだ。あのとき母は「強がっているのよ」と怒っていたけれど、そうじゃなかったと知ってホッとした。後で、そのことを母にも伝えなければ……。もし今でも誤解しているとしたら、とても悲しい。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ