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今日も生きてて、わりとごきげん  作者: このはな
第六話 ごきげん通帳は袋とじ

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 畑の真ん中の道を行き、国道沿いにあるクリニックへと向かった。着いたところは内科と産婦人科がある病院だった。


 診察の受付も隼人が付き添ってやってくれた。手渡された問診票を、わたしはぼうっとながめた。アレルギーがあるか、大きな病気で入院をしたことがあるか、最後に生理が来たのはいつか、妊娠中か否か、妊娠回数など記入することがたくさんある。なかなか書き出せないでいたら、


「書けなかったら、おれがかわりに書いてやろうか」


 まさか、子どもじゃないんだから。いくら気心の知れた仲だからって、そこまで甘えるわけにいかない。わたしは首を横にふった。


「ううん、自分で書く」


 そうして、なんとか問診票を書き終えることができたけれど、受付に持っていこうと立ちあがりかけたとき、足もとがふわっとしてぐらついてしまった。


「バカ、急に立つな!」


 隼人がわたしの体を支える。


「ごめん」


「ほら、座れ。それは、おれが持っていってやる」


 再び待合室のソファに座らされ、隼人は受付カウンターへ。女性職員は問診票を受けとり隼人に何か話す。フムフムと話を聞きながら、うなずく隼人。


 消毒液と病人特有の匂いとでも言うのだろうか。その独特な匂いに気づき、周囲をめぐらすと、自分と同じように待合室のソファに座り、診察を待つ人たちが数人いた。みな元気がなく、一様に緊張した面持ちだ。きっと、わたしも同じ顔をしているのだろう。


 隼人が戻ってきて、わたしのとなりに座った。そのまま、一連の動作で、わたしの肩を抱く。


「今日は混んでないってさ。すぐ呼ばれるらしい。よかったな」


「うん……」


 わたしは隼人を見あげた。


「いろいろとごめん、その、ありがとう。畑、大丈夫?」


「ああ、平気。昔みたいに手広くやってるわけじゃないし、繁忙期は組合に行って手伝いをしたりされたり、うまくやっているからな。沙織ちゃんは気にしないで、自分のからだのことだけを考えるんだ、いいな?」


 隼人は笑っていた。いつものおどけたような笑みではなく、わたしをいたわり、安心させようとしている笑みだった。それでも、わたしは自分でも戸惑うくらい、胸がいたんだ。申し訳なさすぎてしかたなかった。


 やがて、名前を呼ばれ、診察室に行くように促される。ふと見ると、待合室にいるのはわたしたちだけだった。


「沙織ちゃん、ここで待ってるから」


 わたしは隼人にうなずいてから、看護師さんに付き添われて診察室に入った。



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