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玄関に行くと、隼人はあくびをしていた。
「お待たせ」
「ちゃんと戸締まりしたか?」
「大丈夫」
「沙織ちゃんの大丈夫は、当てにならないから」
「こないだのシロのこと? 今度こそ大丈夫だって」
「ホントかなあ」
「しつこいなあ」
そんなやりとりをしながら家を出る。隼人が乗りつけた軽トラに乗り、わたしたちは出発した。
どこに行くのか隼人は教えてくれなかった。もったいぶらなくてもいいのにと思ったけれど、稲穂を刈り取られスッキリとした田園風景を見ているうちに、どうでもよくなってきた。むしろ、何も知らないことは身軽で、誰かに決めてもらうほど楽なことはないと思えてきたのだ。わたしは疲れているのだろうか。
ふいに気になって質問してみる。
「隼人ってさ、つきあっているひといないの?」
「なんだよ、いきなり。いっぱいいるけど」
「いっぱい!?」
「まず沙織ちゃんだろ、組合の組合長に……」
「そういう意味のつきあいじゃなくて、真剣交際しているひとはいるのかどうか聞いてるの。だって、わたしのとこにほとんど毎日来るじゃん? もし責任を感じて、うちに来ているのだとしたら、さすがに悪いなあって」
「責任?」
「ほら、おばあちゃんのことがあるから……」
隼人は運転しながら考えているようだった。そして、ボソッとつぶやく。
「うーん、責任とはちがうんだよな」
「じゃあ、何? なんなの? 幼なじみでご近所さんだから?」
「幼なじみでご近所さんってことも、そりゃあるさ。でも責任ていうより約束というか……まあ、いいじゃん」
「あ、はぐらかした。なんかあやしい!」
「沙織ちゃん、物事にはだな、なんでもタイミングというものがあるのだよ。いつか話して進ぜよう。そのときの楽しみにとっておきなさい」
隼人は苦笑いをして、わたしの追及を逃れようとした。軽トラをどこかの駐車場に停止して、パーキングブレーキをかける。気づいたら、そこは隣町にある大きな公園の一角だった。きれいに区画整理された住宅地の中にあり、周囲は新しい建物ばかり。
「ほら、着いたぞ」
「へえー、こんなとこがあったんだね。わ、サイクリングロードまである!」
わたしが目を丸くしていると、隼人は車から荷を取りだした。




