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今日も生きてて、わりとごきげん  作者: このはな
第五話 ごきげんではない再会

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 翌朝、隼人は飽きもせず家にやってきた。高校のジャージ姿のわたしを見るなり、


「ほれ、さっさと着替えろ。出かけるぞ」


 って言ってきた。


「なんで?」


「いつも作ってもらって悪いからな。弁当を作って持ってきた。朝メシ、外で食おう。って、もう昼に近いけど」


 そう言いながら、風呂敷に包まれた荷物をチョイと上に掲げる。


「え、お弁当? 隼人が作ってくれたの? わあ、やったあ。」


 うれしいハプニングに心が躍った。でも、「明日の天気が心配だなあ。雪が降るんじゃない?」といじわるは忘れない。すると、隼人は「バーカ」とだけ言った。なので、「いいねえ、いいねえ」と、わたしはくり返した。外でお弁当なんて最高だ。


「沙織ちゃん、親父みたい。しかも、えろ親父」


 自分でもまるでおじさんみたいだなって思ったところだ。


「わたし今度生まれ変わることがあったら、おじさんになるよ。うん、そうしよう」


 隼人はぎょっとして、信じられないとばかりに言った。


「沙織ちゃんがおじさん? 想像つかない」


 気分がよかった。わたしは「アハハ」と大口を開けて笑ってしまう。


「わたしがおじさんなら、隼人はそうだなあ、おばさん?」


 わたしもやっぱり想像できなかった。だって、隼人は隼人で、わたしはわたしだもの。何年か後には歳をとって、ふたりともおじさんとおばさんになる。生まれ変わるまで待つ必要もない。性別を変更するにしても同じことだ。難しいかもしれないが、現代ではやってやれないことはない。


 でも、おかしな感じだ。性別に縛られるなんてナンセンスだと思うのに。わたしは女で、隼人は男なのだ。生物学的には。


「どうせ生まれ変わるんだったら、めちゃくちゃ美人の有閑マダムになってやる。おじさんになった沙織ちゃんを誘惑して手玉にとってやろう」


 隼人は「ヒヒヒ」といやらしそうな笑みを浮かべた。


「やれるなら、やってごらん」


「だから、早く着替えろって」


 振り出しに戻る。


「うん、ちょっと待ってて」


 隼人を玄関に待たせて、部屋に戻り手早く着替えた。服装はいつもの、シンプルなTシャツにジーンズだ。バリバリ働いていた、あの頃とは正反対の。


 ふと思い立ち、ペンケースと自分のごきげん通帳と、そして祖母のいちばん新しい日付のごきげん通帳をトートバッグの中に入れた。



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