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「これからどうする?」
わたしがたずねたら、隼人は「うーん」と腕を組んだ。
「日高さんちに連れていくしかないよなあ」
「日高さん?」
「地域猫の保護活動をしているリーダーさん」
「この街にそんな人がいるの?」
「いちおうね。田舎でも、猫の糞尿問題はあるさ。ほっといたら、あっとうまに数も増えるし。台風が来る前に連れていかないと。おれ、ちょっと行ってくるわ」
隼人が出ていこうとしたので、あわててひきとめた。
「わたしも行く」
「いいって、すぐ近くだから。ひとりでいい」
なぜだか隼人は、わたしがついていくのに反対しているみたい。どうしてだろう。
「でも気になるし、キャリーケースもないんだよ。この子を抱えたまま傘をさせる? 雨が降ってきたらどうするの?」
隼人の心配をしているわけではない。あくまでも、心配なのはシロの方だ。
「どうなっても知らねーぞ」
結局わたしの意見が勝って、保護猫活動をしているリーダーさんのお宅を二人で訪ねることになった。本当にすぐご近所で、うちから十分ほど歩いたところ。わたしの散歩コース上にある家だった。
まず対応してくれたのは、人のよさそうなおじさんだ。わたしたちが猫を連れているのを見ると、「おーい」と家の奥に向かって誰かを呼んだ。しばらくして「はーい」と玄関に現れたのは、六十代後半くらいの女性であった。
「まあまあ、わたしたちも心配していたんですよ。本当にありがとうございます!」
日高さんは疲労の色を見せていたが、シロを目にしたとたん笑顔になった。
彼女によると、保護猫活動をしているひとたちもシロの行方を捜していたそうだ。ネコの捜索は数時間に及ぶものだったかもしれない。相当な重労働だったのだろう。隼人の判断したとおり、すぐに連れていってよかったのだ。
「それではお願いします」と言ってシロを彼女に渡し、シロには「またね」と話しかけた。そのあと早々に引き上げようとしたら、
「あの、藤原さん、春江ちゃんのお孫さんですよね?」
と、話しかけられた。
春江ちゃん? ずいぶん祖母と親しい間柄らしい。
「あ、はい。祖母をご存じなんですか?」
「ええ、先日のお通夜にも」
「すみません、お顔を覚えていなくて……ありがとうございました……」
恥ずかしさのあまり身を縮める。けれども日高さんは気にしていない様子だ。
「そんなこと、おかまいなく」
日高さんは「ホホホ」とマダム特有の甲高い声をあげて笑った。
「こんなお天気じゃなければ、ゆっくりお茶でもと思ったのですけどね、こちらこそひきとめてしまって申し訳ございません。いえね、面影があったからつい」
日高さんは、わたしと隼人の顔を見くらべながら言った。なんだかソワソワしているみたいだった。わたしと隼人の仲が気になっているのだろうか。
「いえ……」
わたしは苦笑いを浮かべた。隼人がひとりで来たがった理由がなんとなくわかった。そのあと「失礼します」と言って、早々に退散した。




