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じつは自分の住むこの街に意外と猫が多いと気づいたのは、ここ最近のことだ。ごきげん通帳に書けるものを求め、散歩をするようになってからだった。
とは言っても、神社の石段に寝そべっていたり、ふらっと道を横切るところを見かけたりする程度だ。さすがに、こんなふうに遭遇するとは思っていなかった。わたしは動物を今まで飼った経験がないので。余計に困った。
「ここはやはり、アレの出番だな」
「アレ?」
「ああ、ちょっと待ってて」
隼人はそう言うと、どこかに走っていった。そして、そのあとすぐ、何かを手にして戻ってきた。ホコリを払うときに使う、昔ながらのハタキだ。
「そんなもの持ってきてどうするの?」
「アイツ、このハタキが好きなんだよ」
「へえー」
ハタキを猫じゃらしの代わりにし、こちらにおびき寄せてつかまえる作戦らしい。隼人はハタキを縁側の下にくぐらせた。
「ほうれ、ほれ。シロ、こっちゃ来い」
ハタキをヒラヒラと振ってまもなく、床下からシロが飛びだしてきた。ハタキの先のヒラヒラの部分にじゃれついている。狙いどおりだ。隼人はシロをなんなく捕まえ、首にかけていたタオルでその体をくるむ。さすがに、そのまま家に上げるわけにいかないため、玄関でおもてなしすることにした。
「やっと会えたね、シロ。どうしてこんなとこにいたの? ひょっとして、おばあちゃんが懐かしくて来てくれたん?」
シロは何も言わない。不服そうな目で、わたしの顔を見あげる。シロにドライフードを与えながら、わたしたちはその様子を観察した。耳の中も毛艶にも異常は見られず、どこもケガをしていないようだ。お腹がすいていたらしく、隼人が調達してきたドライフードをあっという間にたいらげてしまった。




