【第149話】足止め
今晩は。
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黒い装備の戦士14名が一斉に動いた。
え?
ゆっくりと動き出す世界。
これ!重速術だ!
凄い!全員、重速術の使い手だ!
さすがに集団戦でこれを使われると圧巻だ。
どれだけ修行したのだろう?
日々、訓練?
ん?
待てよ?
いや、訓練しただけで簡単に習得できる技か?
誰が教えた!?剣聖か?
剣聖って言うぐらいだし。
では剣聖は誰に教わった?自力か?まさか!
この人達、何者?
見た目は人族みたいだけど?
魔石だけで、ここまで強化できるの?
剣聖が術速2くらいか?他は1ちょっと。
え?まさか、OVERKILLも使えるの!?
OVERKILLを修得しているかどうかは知らないけど、確かめるつもりはないからね。
先の先、私の技が彼らの先を制し、軽くその重速術を上回った。
原因は亜紀だ。
今まで、何度も挑戦したけど、超空間の日本庭園には行けなかった。
それもそのはず、亜紀が修行の場として、独占していたのだ。
私をハブって、放置して?自分はせっせと超空間で修行をしていたのだ。
いや、亜紀を異界に放置したのは私か?
きっかけはエノン。
ダークエルフにエノンが殺されかけたとき、亜紀は自分の力の無さを痛感した。
ここから修行が始まった。
使える技の反復。
夢の中でひたすら修行をしたのだ。
そしてリアルの私には、ローローとネーネーの記憶の回復を働きかけている。
エノンや家族、仲間を失う恐怖、理不尽な暴力に対する怒り、それが原動力になった。
そして勇者朱天童子との対決と大敗。
亜紀は更に深く、広く修行をする。
現実時間は1日でも、夢の中では時間は幾らでも引き延ばせる。
時間の経過は意味をなさない、変化があるだけだ。
変化を求め、修行を積み重ねる亜紀。
年数に換算するとどのくらいだ?
見当もつかない。
その亜紀の意思と、明季が重なる。
閃きが脳内で次々に起こり始める。
夢で得た技、力の数々をリアルで再現するのは難しい。
リアルでは、呼吸もしているし筋肉、柔軟性も必要だ。
そのままの再現が難しい技もある。
しかし、今の私は獣人族!
しかも上昇期に入る!
自然回復だし、反射、反応速度もトップクラス!
魔石で簡易ビルドアップしている人族とは違う!
朱槍握り直し、力強く薙ぐ。
受けてみな!亜紀が異界で生み出した技の数々!
オリジナルだぞ!
ふわっ、と一瞬、身体か浮く感覚に襲われる。
実際、頭髪がパチパチ、と音を立て浮く。
そして徐に、大地を打つ!
すると、光に包まれた大地が爆ぜる!
ドオオンと重低音が響き、一人を残し13名が吹飛ぶ!
「がっ」
「あぐっ!」
半数の7名は大地に身を横たえた。
倒れた彼らはもう、動けない。
「ア、アッキー?な、何をしたの!?」
14名、全員が火傷である。
そして、その全員の黒い鎧からは、煙が出ているのだ。
「き、きさま!何をした!?」
「こ、これは?」
「重速術を破った!?勇者、魔王のスキルだぞ!それを!?」
「大地の魔法か?違う!……雷撃か?」
「……ばかな?どこからの攻撃だ?」
立っている者も、火傷が酷く、ふらふらである。
その間をすり抜ける私。
ドン!バシッ!ドカッ!けりっ!
「……!」
無言で倒れる戦士達。
石突きと蹴りで、立っている戦士達に挨拶をしたのだ。
キンッと弾く金属音。
が、最後の一人、剣聖と言われる戦士は見事、私の攻撃を弾いた。
ぽん、とその場を下がり、間合いをとる。
……追撃してこない?どうした?
「まさか全員が、重速術を取得しているとは……王都の最強部隊かしら?通常なら無敵ね」
OVERKILLの名前は口にしない。
もし、修得していなかったら、重速術の先にOVERKILLがあることを示してしまうからだ。
しかし、これは季羅お父さんや、ハピ子でも無事では済まない、恐ろしい相手だぞ。
それだけニトお父さんやリュートお母さんが、重要人物ってことか?
最近、あの二人の名前、更に大きくなっていたしな。
「通常?……何が言いたい?」
「普通ってことよ、そして私は異常。勇者朱天童子とのバトルで、弱っているとでも思った?」
ギクリとする14名。
図星か?
「火傷は跡が残るわ、もし、綺麗に治したかったら凄腕の薬師、紹介してあげる」
あ、何人かぴくっ、て動いた。
火傷は痛い。
切るような、裂くような痛みが伴う。
本来、亜紀はこの技を使いたがらなかった(自分で編出しておいて!)。
火傷の痛みを少しでも知っているからだ。
でも、さすがに全員が重速術の使い手となると、使わざるを得えない。
更に剣を構え直す剣聖。
「薬師ニトを紹介する気か!」
「正解、ニト先輩なら例え敵でも治療するでしょうね」
「……」
「まだ敵対する?名も無き戦士達よ」
「……」
「私の……大切な、心優しい先輩達の幸せを邪魔する者は、誰一人許さん!覚悟して挑むがよい」
リュートお母さん、ニトお父さん、今は血の繋がりはなくても……忘れたことはない、阿騎、亜紀、そのための修行だよね?
「もう、おやめ下さい、明季姫には敵いませぬ」
「……どけ」
「彼女は魔王、勇者の次席です!重速術を破る者に、挑むだけ無駄です!」
「ヤツは重速術を使っておらぬ、なんだあの技は!?」
「対、勇者、魔王の技よ。でも彼らに使っても回避されるでしょうね」
この人達には有効だったけど、これが勇者朱天童子に通用するとは思えない。
不意打ちなら、少しは?
いや、駄目だろうな。
この技は亜紀の知識で組上げた技だ。
落雷の逆バージョンなのだ。
雷は雲(積乱雲)の中で溜まったエネルギーが、湿った空気の中を通り、大地に落ちる。
まあ、簡単すぎる説明だけど、概ねこうだ。
空と大地の電気回路だね。
より抵抗が少ない方に電気は流れるから、電気は抵抗がゼロに近い大地を目指す。
この回路を朱槍、ドライアドの杖を使って逆転させる。
ドン、と大地を打ち電気のエネルギーを溜めて、大地から雷を放つ、放たれた雷は目の前の戦士達を通り、ドライアドの杖に戻ってきて、大地に帰る。
回路のできあがり。
魔法が使えるから、できた技だ。
さて、次の一手は?
次回投稿は 2023/06/08 22時の予定です。
ある日のお話し
MAYAKO
元帥 (モデル)
「元帥さん、いまどのくらい進んでいます?イラスト」
「……下書きが一章62話までっち」
「え゛?」
「ペン入れに時間が掛かるとよ。タブレットが欲しかぁ、どっか落ちとらんね」
「早くないですか?」
「速う追いついて、楽がしたかとよ。MAYAKOも毎日、文章作ると大変やろ?たまには休みなっせ……ひひっ」
「げ、元帥さんも毎日イラスト、大変じゃないですか?たまにはおやすみした方が……ふふっ」
「ふふふふっ、いらん気遣いたい」
「ふふふふっ、元帥さんこそ」
ある日のお話し、でした。
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