表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
The Lily 前世の記憶は邪魔である  作者: MAYAKO
三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

345/406

【第144話】 朱天童子 3     

諸事情により、予告時間より早い投稿になりました。

 喉が渇いた。

 水が欲しい。


 目を開けると、知らない天井が……ない?


 星?


 空だ。

 夜空。


 獣人族の本能か、目を動かし月を探す。


 まだ、出ていないのかなぁ。


 ああ、水が欲しい。

 身体全体が痛い、動けない。


「ううっ」


 声も出ないのか?


 どうした獣人族!

 時期満月だぞ!怪力と無敵の回復力はどうした!


 このまま、死んじゃうのかなぁ。


 アイお姉ちゃん……なぜかアイお姉ちゃんを思い出した。

 アイお姉ちゃん、私が死んでもカチコミは駄目だよ。


 空中都市に駆け上がり(どんなところか知らないけど)、破壊の限りを尽くすアイお姉ちゃん。


 ああ、駄目だよ、相手は強すぎる。


 勝負にもならないよ。


 だが脳内の、見たこともない空中都市は地上へ落ちていった。


 ……虚しい。


 すると視界に突然、鬼のお顔が入ってくる。


 おわっ!


 私は驚き、瞬き一つ。

 寝起きに見るモノではないな。


「……悪かったな、怖い顔で」


 ……。


「どうした?」


 ぐすっ……いまから弄ばれて、殺されるのだろうか……。


「おい、俺は一応勇者だ、女性に酷いことしないぞ?」


 ……うそつけ、私の腕とったくせに。身体に消えない傷、つけたクセに!


「あれは戦いだ、戦いに男も女もない」


 ……都合のいい言葉だ。うう、この傷、エノンに何て言えばいいのよ!


「どうした?」


 ポシェットくんは?


「横にいるぞ」


 あ、いた。


「……僕は、邪魔でしかなかったのか?あれほど明季姫が逃げるようにって言ったのに……結局、また何もできなかった」


「おい、そう落ち込むなよ、お前、腕、治療しただろう?」


 ……おい!こら、知ってる?私をここでで怪我させたのはあなた、だよ?


 腕……改めて動かしてみる。


 動かない。


 でもあるみたい。


 うう……ニトお父さん、痛いよう。

 喉、渇いたよう、ランお母さん……。


 ……涙いっぱい出てきた、際限も無く。


「水が欲しいのか?」


 ……ふん。


「水が欲しいの?じゃ、僕が!」


「おい、魔法は駄目だぜ?お前の魔力は、明季姫と相性が悪い。腕は繋がったが、完全に回復はしていないだろう?」


 さらに落ち込むポシェットくん。


 このアッホ!言葉変えなさいよ!

 ポシェットくんなりに、一生懸命治療してくれたのよ!


 で?この悪人は何をしているのだ?


「俺様に対して悪人だと!?」


 私にとって、あなたは悪人以外、何物でもないわよ!


 ……。


「なんだ?言いたいことがあるのか?」


 ……お顔、どうしたの?


 私は、どうしても気になっていることを聞いてみた。


 答えてくれるかな?


「あ?この顔か?」


 そう、勇者朱天童子の左顔半分、目が塞がるほど腫れ上がっているのだ。


 頬骨、折れているよね、これは。


「お前の蹴りだ」


 え?


「おい、今、あからさまに嬉しい波動を感じたが?」


 気のせいでしょ?


 ……でもおかしい、勇者だったら私達、獣人族以上の回復力があるはず。


 なんで、回復しない?


「お?お前が呼んだのか?」


 え?なに?


 何も感じないけど?呼ぶ?とは?


「あの夫婦だ、お前の声に反応したぞ」


 ?何言っているの?


 夫婦?


 季羅お父さん!?


 ん?強い光!?


 これは分かる。


 勇者だ!

 もう一人来るの!?


「……ちっ」


 え?朱天童子、今、舌打ちした!?


「やはり来たか、一寸法師。真面目なヤツだな……」


「な、何か来るよ!」


 だよね、ポシェットくん。


 その小さな光の粒は遠方に見えたが、瞬き一つで、目の前に現れた。


「処分は終わった?朱天童子?」


「確認か?法師?」


「うん、アシュリーは僕たちでも手に余る存在だよ?しっかりと封印しておかないと!開封者は?」


「ああ、お仕置きしだぜ」


「え?処分していないの?」


 処分!?……恐ろしいこと言うなぁ。


「処分はしない、お仕置きで充分だ」


「そう……きみの判断?」


「俺様の判断だ、他に誰がいる?」


 無表情な目で私を見る勇者一寸法師。


 その大きさは正に一寸、おおよそ3㎝?


 だが、その存在感は朱天童子と変らない、見た目で判断してはいけないのだ。


 ポシェットくんはその魔力に当てられて、気を失っているし、私だって失神ギリギリだ。


 あ、胸の傷を見ている!?


「封印したの?」


 え?封印?


「いや、封印は止めた」


「どうして?またアシュリーを開封したら大変だよ?処分しないなら、ちゃんと能力を封印しないと。それにその顔の怪我、どうして回復しないのさ?」


「余興だ」


 封印?毒による攻撃?相手の能力を無効化、封印する攻撃か?もしかして?それってナノマシンによる攻撃?


「!」

「!」


 あ、マズい?


 勇者二人が瞬時に私を見た。


「君、それを知っているの?どこで得た知識?」


 あ、雰囲気変った?


「法師、こいつはホルダーだ。我々の知らない、誰かの計画の試作品かもしれん。無闇に処分はよくない」


「でもこの世界は、僕たちや魔王に任されているよ?」


「いや、それでも星々の世界からの介入はある。ナノマシンやアシュリー程度で、過剰に反応するのはやめろ」


「……きみらしいね。小角さんには、ありのまま報告するけど、いい?」


「かまわん、報告は正確に、当然だ」


「じゃ、僕はこれで帰るよ。余興はほどほどにね」


「うるせー」


「ふふっ」


 来た時と同じように、勇者一寸法師は消えていった。


次回投稿は 2023/06/03 22時の予定です。

サブタイトルは今のところ未定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ