【第142話】 朱天童子
今晩は。
サブタイトル変更しました。
未来の私は、魔力的にも、質量的にも、この大きい白い龍と交渉するらしい。
……本当だろうか?
まあ、考えても仕方あるまい。
分からないのだ。
その日が来るのを楽しみに待とう。
呪術師によると未来は変ると言うし、確定した未来は無さそうなんだよね。
時間軸は横にも立てにも動くって話だ。
過去や未来に思いは馳せるが、過去は変らず、未来は予測もできない。
それに、私のことだ、そのうち忘れてしまうかも。
それよりも私は、今が大事なのだ。
私には今しかないのだ。
今が、未来に繋がるのだ。
今を疎かにできない、止まってもいいけど、それは充電期間なのだ。
?
超夢?
いや、違うな。
でも?
誰の声だろう?
男の子?
(駄目だ、ホルダーと明かしても、意味が無い)
!
誰!?ホルダー!?
(ただそれだけのことだ!ホルダーに何の意味があるのだ!それよりも、僕が、僕自身が強くならなければ意味が無い!)
?
誰?何を思い詰めているの?
(本当の意味で強くなって、彼女の前に立つ)
熱い男の子だなぁ、誰だろう?
彼女の前?誰だ彼女?
ホッシーが過ぎった。
歌うホッシー先輩のヴィジョンだ!
どこだろう?ああ、ここは市場だ。
ホッシー先輩の関係者かしら?
え?ホッシー先輩に片思い?
私か?まさか、思い当たらない。
でもホルダーって?
この夢、忘れたくないな。
起きても、覚えているかしら?
……。
どのくらい時間が経ったのだろう?
気が付くと、辺りはだいぶ暗くなっていた。
最初に動き出したのは重装備騎士の2名だ。
「いててっ、おい、どう報告する?」
「お前よく動けるな?アシュリー王の魔力浴びすぎて、魔力酔いだぞ!」
「学生さん達、大丈夫か?結界は張られたままだが?」
獣人族のパワーで、ひょい、と起き上がる私。
跳ね起を決めてみたけど、どうだろう?
獣人は途轍もなく頑丈なのだ!
だけど、ちょっと目眩?
これが重騎士さんの言っていた魔力酔いか?
「よお、シュート家・明季、大丈夫か?」
「噂に違わぬ、暴れっぷりだな?」
「え?暴れてませんよ?誤解を招く言い方、やめてください!」
ゆっくりと立ち上がる重騎士さん達。
「封印を解いたであろう?あれ、勇者、魔王クラスの封印だぞ?」
「無意識ですよ、もう一回やれって言われても無理ですから」
ん?後方から鎧の音が??
「どうした?」
「交代の時間より少し早いが?」
同じ格好の重騎士が2名歩いてくる。
更にその後ろから……え?な、なに?
一箇小隊?
一分隊約は10名程
それが×3
≒30名?
そこからが大変だった。
「お、おい、アシュリー王の位置が、か、変っているぞ!」
「城が光ったぞ!なにがあったっ!?」
「未確認だが、上空に勇者が停滞しているとの情報がある!無事か!?」
「何があったのだ!」
……現場、大混乱。
……し、しぃーらないっ、と。
いち、学生は避難致します。
繋がっているゴブリンの回路を使う。
うめちゃん!起きている?芝居して!
ここから逃げる!
(了解、リーダー)
「ゴブッ、ごほごほ」
「!怪我をしているのかっ!」
「ゴブゥ……シクシク」
「が、学生を早く退避させろ!」
「結界の強化を!」
「ち、ちょっと待て!シュート家の……」
「避難が先だ!ここは封鎖だ!」
混乱のうちに、どうにか城外へ。
お城から出ても大変だった。
何?この人垣?
「怪我人はいないか!体調不良の者は!」
医療チームだろうか?
まあ、お城が壊れるのでは、と思える程の魔力が暴れ回ったのだ。
皆、異常には気が付くだろうな。
「クラス全員が、謁見の間に辿り着いただと!?」
「信じられん!」
あ、校長先生だ。
「皆無事かっ!トムト・カラン!状況報告!生徒はここで、現地解散じゃ!先生達、上級生、生徒会に付き添って貰え!必ず付き添いで帰宅せよ!不安な者は学校へ向え!」
「トルク校長!勝手に帰宅されては困る、先ずは取り調べだ!」
……王都、混乱。
まあ、動かないアシュリー王が動いたし。
一体、何年ぶりの活動だったのだろう?
そして私は空を見上げる。
もう夕刻だ。
日が傾き、辺りは闇が覆い始めている。
……違和感がある。
私の目は、自然と上空の一点に向う。
なんかいる。
恐ろしいヤツだ。
切り裂くような魔力。
……上空に隠れている?
分厚い雲。
これ、噂の勇者?
カタカタと震え出す朱槍。
あの異様な魔力に、誰も気が付かない?
そんなはずはないと、思うのだが。
周囲を魔力で探ってみる。
センバ騎士団長もいるけど気が付かない。
おばばさまも、トルクちゃんも、気が付かない。
私だけか?
!
ポシェットくんと目が合った。
青白いお顔。
震えている?
ああ、彼は気づいている。
魔力が少ないのに凄いな、魔石の影響かしら?
あ、やばい!
辺りがゆっくりと動き出した!?
これ、重速術だ!
上からのアタック!?
狙いは……私か。
なんで私かな?なんかしたっけ?勇者に狙われるようなこと。
朱槍を魔力で満たす。
アクセス。
「速」
フッ、その場を離れる私。
「速」
え?え?ポ、ポシェットくん!?
し、死んじゃうよ!
駄目だ!ついてきたら!
この場からできるだけ遠くへ!
周りの風景がぐにゃりと歪む。
そして視界と世界が止まる。
その中を飛ぶように走る。
遠くへ!
選んだ場所は、エルフの丘公園。
!
来る!?
パパッと私の周囲が光る。
?
目の前で膝を着くポシェットくん。
*ほう、大したものだ*
もしかして、今の攻撃!?
(じ、重速術4だ。こいつ本気か?勇者って、魔王だけが相手じゃないの!?)
*明季姫は反逆者アシュリーの封印を一時的だが解いた。ちょっとばかりお仕置きさ*
声だけで、姿が見えない。魔力感知もオーラも反応しない。
だけどそこにいる。
とんでもない力を感じる!
凄いな、勇者は。
あ、す、姿を現した!?
「我が名は勇者5番機、朱天童子。暫しお相手願おうか」
目の前に現れたのは、大きな鬼であった。
私は大きな声で返事をした。
「イヤです」
次回投稿は 2023/06/01 22時の予定です。
サブタイトルは 朱天童子2 です。
サブタイトル 南のダンジョン でまとめていたのですが、分けました。
たくさんの いいね ありがとうございます。
とても励みに鳴ります。




