【第140話】 謁見
今晩は。
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「まずは謝罪する。すまんな、毎年の事ながらワシは長決め、これが一番好きじゃないのだ」
そう言って、腰袋から魔石を一箇取り出す。
パキンと軽い音を立て砕け散る魔石
「これで暫くは安全だ」
足下に魔法陣が浮かび上がり、簡易結界が出来上がる。
あ、すっ、と身体が軽くなった!
「魔方陣内に速く入れ!ここまで来るとは、今の四年生以来だな、今年のこのクラスは優秀だ」
あ、ポシェットくん、お顔の色、良くなった?
「ここでの体験はとても貴重だ。自分の力量と、挑む相手、これを見極める参考にして欲しい。相手は魔獣だけではない、ダンジョンもそうだし、未知の相手にしてもそうだ。見間違えると即、死を迎えることになる。いいか、忘れるなよ、生き延びてこそ、次があるのだ」
お、先生らしい。
で、私の学級委員長のお話は、もう終わっているのね。
「では、王宮についてだ。ここは封印の場所だ」
封印?
「遙か昔、私達の先祖が妖精王と言っていたアシュリー王が封印されている。先に見える扉の向こう側、玉座、王の間に封印されている。封印したのは勇者桃太郎と言われている」
「なぜ勇者が?」
誰かが質問をする。
エルフ?名前とお顔、覚えないといけないのかな?
「これは、北のゴブリン達に深く関係していると言われている」
!
え?
シルバーっち?
「遙か昔、ミントの調べによると、1万年以上昔だそうだ。魔族との戦いがあったらしい。この戦いはハーピーやエルフの伝承と重なる部分がある」
ミント先輩!?
あのことを知っている!?
この時代から調べ上げた?どうやって?
会わなければ!ミント先輩!
どんな人物?ドングリくん達に聞いてみるか?
いや、今日、一緒に帰って、お家までついて行くか?
あ、東の砦だ!ドロトン先輩に会いに行ったんだっけ?
なかなか会えないなぁ。
何故かタイミングが合わない!
「その戦いで囚われた捕虜のゴブリン、ドワーフ、エルフ、コボルトを南、東の孤島、東の大陸、多くの場所で惨殺、もしくは実験体にしたらしい」
ざわめき出すクラスメート。
……え?あの島だけではなかったの!?
「アシュリー王はその悲鳴を聞き、怒り狂い魔族に挑み、収容所に向ったそうだ。が、時遅く、妖精達は魔獣と化していたそうだ」
初めて聞くお話だ。
「かつて友だった妖精を、魔獣として討伐するアシュリー王の怒りは凄まじく、その魔力は世界を壊し始めた」
「!」
「その怒りで魔王と同等になり、勇者による討伐対象になったそうだ」
「え?カラン先生?勇者は助けてくれないのですか?」
お、ポシェットくん、良い質問だね。
助けないだろうな、勇者は魔王に対する兵器だ。それ以外は見ているだけらしい、ローローとネーネーから聞いた話だけど。。
「勇者システムはこの星、世界のためにあるシステムだ。我々だけに味方をするような存在ではないよ」
「そんな!」
「だが、討伐対象になった妖精王は不死。特別な存在で、倒すことはできなかったそうだ。そこで勇者桃太郎による封印となった」
……なんか腹立ってきた。
カラン先生に聞いてみるか?
「カラン先生、その封印されたアシュリー王は、あのデカい扉の向こうにいるのですか?」
「シュート家・明季、確かにおられるぞ」
「会われたのですか?」
「ああ、謁見した」
そう、いるのね、ならば。
「会いにいっても、いいですか?いいですよね?それが目的だし」
「!」
「勇者の封印だぞ、簡単には近づけぬ」
「在校生で、アシュリー王に謁見した人物はいますか?」
「二人いる」
「誰です?」
「ゴブリン・ミント、オルガン・ブレイス・ヴァイナガンの2名だ」
!
さすが、おばばさま。
やっと会えたのですね。
ん?カラン先生?
「……余談だが、聖龍門学校の担任になる条件の一つがアシュリー王、謁見だ」
……先生方はかなり強力な戦士か魔法使い?
え?ではア・ダウ先生も!?彼女も謁見しているんだ!
「キン子、会ってどうするのじゃ?」
ハピ子?分からないよ。
分からないけど、腹立たしいのだ!
怒りがわき上がってくる。
私は朱槍に魔力を込め、巨大な門を指す。
ドオオオオンと霊音が響き、崩れるように遙か遠方の門が開く。
「!!!!!」
バラバラと天井から何かが降ってくる。
?
何だこれ?水晶?
門は開いた、後は進むだけだ。
小刻みに振動している朱槍、ドライアドの杖。
私は朱槍を掲げると、門へ向って進み出した。
豪快に風と遊ぶ護武鈴好の旗。
「ゴビッ!ア、アッキー!?」
「ゴ、ゴブゥ、進むの!?」
進むよ。
「今の私と一緒に来るなら、あの門、潜れるよ、どうする?」
「……ゴブ、俺、行くゴブ!」
走ってくるドングリくん。
ん?ハピ子?ダンちゃん?
「ダン、残るのか?我は行くぞ」
「謁見に来たのだ、当然行くぞ。おい、俺も結界を張る、キン子とカランセンセーと俺の3重結界だ。皆、これならいけるだろう?」
ダンちゃんの後に続くパーティーメンバー。
「では、私達も」
結界を張れる術者のエルフ達が次々に重ね掛けをする。
その中を、次々に歩き始めるクラスメート。
そしてクラス全員が門を潜る。
あ、グロスも神妙についてきている。
「まさか一クラス、全員到達するとは……開校以来、初めてではないか?」
カラン先生?
そう言って、私を変な目で見ないで下さい!
玉座の間は異様な魔力に満ちていた。
門の内側、左右に立つ金属の塊のような騎士。
これは重くて動けないのでは?
そう思わせる騎士だ。
「王の前である、身を正せ」
「よくぞ辿り着いた、戦士達よ!」
静かに深呼吸をし、目の前を見る。
そこには巨大な水晶があった。
高さはどのくらいだ?
目測100m以上か?
白く濁った巨大な水晶。
その中には、白い巨大な竜が封印されていた。
次回投稿は 2023/05/29 22時くらいの予定です。
サブタイトルは 謁見 2 です。
1章 38話までイラストが入りました。
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