【第137話】 アシュリー王
久しぶりの、深夜投稿です。
代金は女王に決めてもらう、ということで商談は成立した。
納期は早い方がいいのだが、ダンジョン攻略後となった。
まあ、おそらくダンジョンは三日後あたりだ。それまでイオリちゃんに、たまご・ボーロ、大量に作ってもらうか。
これ、保存が難しかったりする。
湿度に弱いんだよね『たまご・ボーロ』
魔石で動いている冷蔵庫みたいなのはあるけど。
今度、ドロトン先輩に相談してみよう。
「では商談成立のお祝いに」
ことん、と置かれるガラスの皿。
それに積まれている、白い小さな絹のような氷。
「なんだこれは?」
「ふふっ、何色がいい?」
私はハピ子に聞いてみる。
「?」
「紫かな?一族の色だし」
容器からとろり、と流れ出る綺麗な紫色。
氷に触れると、その鮮やかさが増す。
「なっ!」
ビックリするゲストの二人。
これは合成した着色料でも、食紅的モノでもない。
ニトお父さんとリュートお母さんから聞いて、ハープから作ったものだ。
布の染料に詳しいリュートお母さん、染料の野草、樹木、色に詳しいのだ。そして薬草に詳しいニトお父さん。
この二人に聞いてイオリちゃんが作った薬液。
「色つきの、甘い薬草汁がほしい?またアッキーは何を考えているのだ?」
「ニト、アッキーのお願いよ、どうにかしてやりましょう?」
「そうだな、甘い薬ができると、子供達も飲みやすくなるだろう、バイオリーナ先輩、協力させてもらいます」
「私も協力は惜しみません、バイオリーナ先輩がアッキーと一緒だと、安心します。あの子、いつも、とんでもないことばかりしますから」
そして3人は私を出汁に、12色の食彩を作り上げた。
これに砂糖を溶かし込んで、出来上がり!
リュートお母さん、ニトお父さん、イオリちゃんの自信作!
感謝だよね1
ゴブリンズには概ね好評だった。
まずは私が食べてみせる。
シャリシャリ。
氷の粒も少し入れてるのだ。
ゴリゴリ。
「んっまい!」
ぱくっ!
「え?ハピ子、毒味はいいの?」
シャリシャリ。
「水か?」
「氷だよ」
「この氷、誰が作った?キン子か?キン子であろ」
「そうだけど?美味しい?」
「どこでこの発想を得た?これはよくできている!香りもよい、この砂糖汁は薬か?」
砂糖汁……もう砂糖汁でいいかも。
「ニト先輩とリュート先輩、イオリちゃんの3人が作ったの……苦くないし、美味しいでしょう?身体にいいのよ!……あれ、どうかした?ハピ子?」
「……キン子の魔力が、身体に、透き通るように行き渡っていく……どうだアイナン?」
「……はい、力が湧きます……ああ、なにかしびれる感じです、か、身体が熱いです!」
……あ、なんかマズいかも。
濡れたギラリとする、ハピ子の目が私を捕らえた。
「ハ、ハピ子?」
お、おいしい、よね?
お口に、合わなかったかしら?
「我が嫁に来ぬか?」
ぶっ!口から吹き出るかき氷。
「は、はあっ!?な、なにハピ子!?」
はっ、とするハピ子。
「す、すまんっ!い、今の言葉は忘れてくれっ!ざ、戯言じゃ!」
「も、もう、冗談キツいよ!ハピ子!」
それから、たまご・ボーロの材料のお話し、色の効能についてお話し、ダンジョンについてのお話しをした。
楽しい時間はすぐに過ぎる。
二人は名残惜しそうである。
明日またおいでよ!と私が言うと、呼ばれたならな仕方ない、とハピ子がいい、ニコニコして帰っていった。
まあ、帰ると言っても、隣の部屋だが。
「イオリちゃん、もう、誰も来ないよね?」
「……どうでしょうか?」
いや、さすがにもう誰も来ないでしょう。
私は、大きなを欠伸一つ。
ネコみたいに伸びをすると、ポキポキを身体が鳴った。
「イオリちゃんのたまご・ボーロ、愛情一杯だったんだね」
「ご主人さま、そのことはご勘弁を、泣きそうになります」
十蔵さんとイオリちゃん……何かないかな?
「……」
「アッキー、騎士団に差し入れ持って行って、とか駄目ですよ?」
「え!?なんで分かったの!?」
「目が、策士の目でしたよ」
こうして、やっと一日が終わった。
長い一日で、私は、夢も見ずに朝を迎えた。
そして、元気よく学校へ行く!
亜紀の時では、考えられない行動だ。
あ、亜紀も喜んでいる!
そして青空教室では、突然王宮に行く、というお話になった。
行くと言っても、見学だそうだが。
突然、どういうことだ?
「犯罪防止だ。一年生が王宮へ行くことは、毎年決まっているのだ。ただ、時期は隠してある。商工会の残党や、東の大陸の諜報機関の者が嗅ぎつけんとも限らんからな」
決まっている?なら意味無いじゃん。
「……先生、あまり意味が無いのでは?」
「ははっ、まあな。その通り、これは建前、本音は恒例行事だし、格好付けているだけだ。別に情報が漏れても差し支えない。さあ行こうか、5組、パーティー別に整列、王宮へ行くぞ」
ややこしい建前だな、突然王宮だなんて。何の用意もしていないけど、いいのかしら?
それとも、何も用意させたくなかったのかしら?
これ、正解のような気がする。
「ゴブ、リーダー、俺達、王宮とか行っていいゴブ?」
「行こうよ、王宮だよ?どんな所なんだろう?」
「なんか怖いゴブ」
「大丈夫だよ、クルミちゃん。皆も安心していいよ」
「ゴブ、本当?」
「いざとなった、走って逃げる。私達に追いつける者は、そうはいないし、ふふっ」
私は笑ってみせた。
「ほ……ほんとゴブ?」
「うん、私達達、思った以上に足、速いよ!」
次回投稿は 2023/05/27 22時頃の予定です。
サブタイトルは アシュリー王 2 です。
一章 36話 までイラストが入りました。
よろしかったらご観覧ください。




