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The Lily 前世の記憶は邪魔である  作者: MAYAKO
三章

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【第136話】 初めての商談     

今晩は。

投稿です。

「ん?パーティーメンバーと、打ち合わせだったのか?」


 あ、匂いで分かるんだ。


「作戦会議よ」


「ほう、グロスごときに遅れを取るでないぞ?」


「ふふっ、期待していいよ」


「よい返事じゃ、その言葉、しかと聞いたぞ」


 ハーピーのお姫様だ、多分、ダンジョンについて教育は受けているはず。

 うーん、余裕だね。


 油断するなよ?


「相談がある」


「え?私に?」


「そうじゃ」


 何の相談?私に相談なんて?

 何かしら?折角の相談、答えを持っているといいんだけど?


「たまご・ボーロなるモノ、ハーピーの城に卸さぬか?」


 え?

 ええっ!?


「我々ハーピーは甘い物に目がない、大好きなのじゃ」


 イオリちゃん、かき氷!


(分かりました)


 私は座り直し、お話を聞く。


 次に話したのはアイナンさんだ。


「飛ぶ者は、魔力や身体である魄を酷使します。この『たまご・ボーロ』は甘く、食べやすく、そう、小さな子供でも食べられそうです。これに更なる魔力を込めれば、回復の貴重な食べ物になるのではないかと」


「え?魔力回復?」


 ドングリくん達も言っていたな、かき氷、魔力が回復するって。


「そうです、これは微量ですが魔力を回復させます」


「そ、そんな感じはしませんでしたけど?」


 普通に美味しく食べていたような?


「特に秘す、じゃ。知られたくなかったのじゃ。楽しみ、嬉しい、を美味しく食べるのじゃ、美味しいだけではない。感情を食べる、これが魔力を回復させる。他の種族は知らぬが、これは我々の魔力を回復させる菓子じゃ」


 え?じゃ今までは無かった?


 この世界、クッキーやドーナツはある。

 甘くて美味しいが、回復しないと?


「たまご・ボーロなる菓子は、ハーピーと相性がいい。そこでじゃ、レシピはキン子であろう?」


 こくこく。


「作ったのは誰じゃ?」


「イオリちゃんだけど」


「はい、私が作りました」


「お主の愛情が菓子に移ったのではないか?」


 えっ!?


 またまたぁ、感情がご飯に移るなんて。


 ……本気かしら?


「誰を想うて作った?キン子か?それとも甘い物が好きな誰かか?」


「そ、それは……」


 じわじわと赤くなり始めたイオリちゃん。


 え?


 もしかして


「じゅ……」


 あ、涙目で睨まれた。

 ……黙っておこう、ごめんなさい。


「ハピ子、愛情って、食べ物に移るの?」


 あ、なに?この視線?

 そんなことも知らないのか?という目線だ。


「そんなことも知らぬのか?特定の魔力を維持している者は、相手を、それはそれは、幸せな気分にさせる料理をするぞ?お主も知っておろう、リドンやティーを?」


「ん、確かに食べたことあるけど、美味しかったけど、魔力は回復しなかったよ?」


「感情は震えたであろう?」


 まあ、ね。それは認める。


「バイオリーナ・バウリス、炎の気性、容赦無しの鬼神、上位ドラゴンの返り血を浴び、竜人になったと聞いたが?」


 !


「噂でありましょう」


「どこで、変った?」


「え?」


「お主、気がついておるのか?」


「何にでしょうか?」


「キン子に対する想いじゃ、癒やしの波動が溢れ出ておる、ワシらまで癒やされる。まるで慈母の波動じゃぞ?キン子はこれが当たり前になっていて、気づいておるまい?」


 え?


「姫、困ります。そ、それは過大評価では?」


「あまりにも自然すぎて、みな気がつかぬ。バイオリーナ、おぬしも気がついておるまい?」


 あ、イオリちゃん、無意識だったみたい。まさにお母さん!?


「我は、キン子の影響と思うておる。この者のぞばにいると、何らかの影響がある。勿論、我も含めてじゃ。そこで、相談じゃ、バイオリーナが作った『たまご・ボーロ』この母の味を、我が母、女王に食べさせたい。バイオリーナが無理なら、誰が作ったモノでもいい、この『たまご・ボーロ』が欲しいのじゃ」


「レシピを開示せよとは言わないの?」


「おぬし達が作らなければ意味が無いのじゃ。作り手で味、魔力が変る。ハーピー族の、昔の言葉で言うと『魔味』じゃ」


 まみ?


「特定の料理人が作った料理は、魂、魄、意思、を癒やすと言い伝えられておる。キン子の影響で、才が目覚めたようじゃな?バイオリーナ・バウリス」


 ……そうなの?聞いてみるか。


「そうなの?イオリちゃん。自覚は?」


「ありませんよ、アッキー」


 イオリちゃんは困惑顔である。


「気をつけろよ、バイオリーナ・バウリス。キン子は、とんでもない呪術師じゃぞ、その影響は計り知れない。本人はとんと、無自覚にようじゃがな」


「ハピ子、それこそ過大評価だよ?」


「痴れ者が!東の砦がいい例じゃ、もはやあの砦は難攻不落の砦と化しておる。いい人材も集まっていると聞く、近くに街もできておるし、我が校も分校を作りはじめたぞ。獣人族と北のゴブリンはもはや盟友!全て、こやつが原因じゃ、違うとは言わさぬぞ!」


 ……まるで諸悪の根源みたいな言い方だなぁ、悪いことしているみたい、なんか傷つく。


「誉めておるのじゃ!」


 ……すみません。


「お試しでいい、少しだけ作ってくれるか『たまご・ボーロ』代金は、はずむぞ!」


 ここで疑問が、もくもくを湧き上がる。


「ハピ子、なぜそこまで拘る?」


 ……沈黙?なんと答える、ハピ子?


「呪術師共が騒いでおる。近い将来、大災がくると。回避できればいいが、起こってからでは遅いのだ」


「……それで?」


「現、我らの女王では、対応できないと思う。呪術師の警告を軽んじておる。享楽に溺れ、非を認めぬ。伝承の呪術師を遠ざけ、聖女の家系の取り潰しを姦計している」


 享楽に姦計?止める人は周りにいないの?


「この『たまご・ボーロ』は女王、自らを省みるきっかけになるのでは、と思うのじゃ、どうであろうか?」


 そこまで凄い食べ物?


 いや、思い出の食べ物が、あるにはあるけど。


 どんな味でも、他の人には美味しくなくても、その人だけの味。


 忘れられない味がある。


 私にもある。きっと泣きながら食べるであろう忘れられない味。


 思い出の糠床。清掃員さんからの贈り物。


 ん?イオリちゃん?


「アッキー、試食品を作ってもよろしいでしょうか?」


「いいよ」


「ありがたい!」


 ぱっ、と明るいお顔で喜ぶハピ子。

 アイナンさんも嬉しそうである。


「条件があります」


 おや?


「この試食品、ハーピーの姫、あなたと一緒に作りたい」


 お?


「娘の心のこもった魔味、きっとよい味になるのでは?」


「くっ……」


 あ、ハピ子、泣きそう。


「我を泣かすな!キン子!」


 いや、イオリちゃんだよ!?発言したの!

次回投稿は 2023/05/27 0時 の予定です。

サブタイトルは アシュリー王 です。

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