【第135話】 作戦その1
今晩は。
予告より、ちょっと早い投稿になりました。
お店については、上手くいきそうである。
おばばさまと、トルクちゃんにも相談だね。
おばばさまには、似顔絵の躍息がまだ果せていない。
絵を描くとき、ゴブリン達の今後、相談してみよう。
そして私達はダンジョンについて話を始めた。
「倒した魔獣の数、宝箱回収の数、そしてクリア時間、これがメインの総合評価となっているけど、これだけではないと思う」
「ゴブ?他に何があるゴブ?」
ドングリくんが『たまご・ボーロ』をポリポリ食べながら質問する。
……気に入ったみたい。
サイザンお兄ちゃんは、お肉が好きだったけど、これ、食べさせたかったなぁ。
「ゴブ、裏の設定があるゴブ?例えばパーティーの連帯とか?きょきょ?ゴブゥ?」
クルミちゃんは柔軟性があるのかな?組み立ててよく考えるみたい。
「協調性?」
「そ、それゴブッ!」
「ゴブ、それならリーダーシップも?ゴブゴブ?」
う、ゴンズイくん、痛いところを。
「まあ、色々あると思う。先生達がダンジョンに魔力感知して、統計を取るんだよね。あと、安全確保も」
「ゴブ、ミント先輩に聞いたゴブ」
「お?なになに?」
ゴンズイくんは慎重派か?
「ゴブ、去年はダンジョン、無理して進んで何人か死んだみたいゴブ」
うげっ!判断ミスは死に繋がるか。
「さすがにそれはマズいな、色々と。では『護武鈴好』は全員生きて帰る、が第一、いいかな?」
「いいゴブ」
「賛成ゴブ」
「それがいいゴブ」
「了解ゴブ」
「そこで、作戦だけど、バトルはナシ」
「ゴブ!?」
「戦わないゴブ?」
「戦わない。みんな訓練している?古のゴブリンから贈り物、もらったでしょう?」
「しているゴブ!」
「大切な贈り物ゴブ!」
おお、阿騎か憑依してプレゼントした力、使っているみたい。
「体力、上がったゴブ!」
「普段の生活も、なんか健康的?になったゴブ!」
「でも、バトルは怖いでしょ?」
突然力が付いたからって、好戦的になるわけない!
それに、元々回避や逃げるためのスピード、能力だもの。
ドングリくんには、憑依して教えたけど、それでも怖いはず。
どう?ドングリ君?
「ドングリ君、どう?戦いは?」
「ゴブ毎日、動きを再現して特訓しているけど、正直バトルは怖いゴブ」
「むいていない?」
「戦いは必ず勝つとは、限らないゴブ。負けることは死に直結するゴブ。僕たちにはあまり向いていない気がするゴブ」
「ゴブ、でもドングリ、避けられない戦いも在るゴブ」
まあそうだよね、ゴンズイくん。
「ゴブゴブでも、俺達、逃げ足、パワーアップしているゴブ」
最速で逃げる、だよね、これで行こう。
「だから、戦わない方向で行こうと思っている」
「できるゴブ?それに逃げること、評価できるの?」
「作戦として、攻略時間最短を目指す。さらに設置したある宝箱を全開する。そのために、無駄な時間を省く。今回の場合はバトルだ。中に生息している魔獣は強いモノもいそうだから、避けられない場合は私が相手をする。基本ドングリ君達は宝箱を全発見、全開して欲しい」
「ダンジョン経験無いゴブ。入り口付近で雨宿り程度ゴブ」
「それは私も同じ、先ずは暗闇になれよう、それから私との念話を強化して連帯を途切れないように」
「ゴブ、バトル無しならドングリくんが役に立つゴブ」
「?」
何か特技があるのかしら?
「投げ矢が得意ゴブ」
な、投げ矢!?エルフさんと同じ!?どこで覚えたのだろう?
「遭遇したら、これに痺れる毒を塗って、相手を麻痺させる、どうゴブ?」
いいね、話し合いは進んでいく。
まずは自分の特技披露、適材適所。
全員基本、私も含めて脚が速い。これはいいと思う。
バトルと索敵は私、ゴンズイくんは手先が器用らしく宝箱担当、周囲警戒はドングリくん、クルミちゃんは呪術師の才能があるみたいだから、基本判断をまかせよう。そして、うめちゃんはなんと、意志誘導ができるから攪乱だね。
相手に錯覚を起こさせ、誘導する力、意思誘導。これが進むと意識操作になり、極端に進むと洗脳となる。
怖い能力なのだ。
この能力をスリに使っていたんだね。
魔獣を私達ではなく、別の何かに意識を向けさせる。
意識が逸れているうちに、奥へ進む。
魔獣が気づいたときにはもう私達はいない、という戦法。
魂と魄は私達を認識しているのだが、意思が騙されて意識していない状態。目の前にいても別のことに気を取られ、見えていないのだ。
この状態を意識的に作り出す、これが意思誘導。
私もできるはずなのだが、上手くいかない。多分、亜紀が嫌いなのだろう。
いじめは相手を言葉で縛ったりする。脅迫だ。
強制的に相手の意思を奪い、封じる脅迫。
亜紀はこの言葉に対して猛烈に反発する。
だから意思操作や、意思を扱う魔法を嫌っている。だから使いたがらない。
(おーい、もうそろそろ帰るよ?)
えっ!?
誰?
(今晩は、明季姫)
こ、今晩は……?
(初めましてミントといいます。うちのチビちゃん達がお世話になっています。お礼も兼ねて、今度お話がしたいですね)
ミ、ミント先輩!?
噂の賢者!図書館の主!
(チビ達に力の贈り物、したでしょう?その力、僕にも流れてきてね、重宝しているよ。ゴブリンの精霊様にお礼を言わなければ)
いつ、会えます?
(おれ、明日から、東の砦のドロトンに呼ばれているんだ、帰ったら時間を作るよ)
え?東の砦?遠いですよ?大丈夫ですか?
(コロさんとケインさんが付くらしい)
……ケインお兄ちゃん、寄り道駄目だからね。
「イオリーナさま、美味しかったゴブ!また来たいゴブ!」
「リーダー、今後もよろしくゴブ!」
また明日の朝、と躍息をしてゴブリンの皆は帰っていく。
静かになるお部屋。
寂しいくらいだ。
「賑やかな一日でしたね?」
「そうだね、イオリちゃん。大変だったよね?お料理とか?」
「いえ、作りがいがありますよ。皆さん、美味しく食べてもらって嬉しいです。暖かいお茶を入れましょうか?」
「うん、おねが……」
コンコン。
え?
そして扉が鳴る。
今度は誰?
「キン子、開けるぞ!」
次は……ハピ子?
前話、いいね ありがとうございます。
励みになります。
次回投稿は 2023/05/26 22時くらいの予定です。
サブタイトルは 初めての商談 です。




