【第134話】 ゴブリンズの商い
今晩は。
予定より、ちょっと早い投稿です。
「ゴブゥ」
?
「き、綺麗なお部屋ゴブ!」
イオリちゃん、お掃除すごいのよねぇ。
「は、入ってもいいゴブ?」
そうぞ、どうぞ!大丈夫だよ!
「ど、どうしようゴブゴブ、私、騎士団のネコと転げ回って遊んできたゴブ!」
……えっ?それどこの騎士団!?そのネコ、もしかして??
「そ、外でお話ししないか?ゴブゴブ、俺達、場違いゴブ」
いや、折角お呼びしたから、入っていいよ!
驚いている?
いや、困惑?
みんな、イヤな汗?どうしたの?
試食会だよ?お部屋、入ろう?
綿菓子、食べて欲しいし!
「遠慮無く、どうぞ!」
「……」
「リーダー命令、入室しなさい!」
「ゴ……し、職権乱用ゴブ!」
私はクルミちゃんの手を取り、部屋に招く。
「おいでよ!」
ちっちゃいゴブリンの手。
サイザンお兄ちゃんを思い出す。
「ゴビッ!」
「え?どうしたの、クルミちゃん?」
「バ、バイオリーナお姉さまゴブ!?」
「ゴブ!バイオリーナさまゴブ!」
え?知り合い!?
「え?みんな、イオリちゃん、知っているの!?」
ニッコリするイオリちゃん。
「皆さん、お元気そうで。ご入学、おめでとうございます」
なに?
小さな声で、ありがとうございますぅごぶぅ、と呟くうめちゃん。
「うめちゃん?知り合いなの?」
「ピアさまと一緒に、助けてくれた人ゴブ……」
「も、もう、スリはしていないゴブ!ほんとだよ!ゴブゴブ……」
段々と小さくなり、後ろに下がり出すクルミちゃん達。
「皆様、どうぞお入りください、私は今、明季さま付きのメイドです」
「ゴブッ!?」
「どうか、私のご主人さまと、仲良くしてくださいね」
この言葉を聞いた瞬間、雰囲気が一変した。
あ、ドングリくんの魔力が変化した!?
(みんな、アッキーを支えようぜ?)
(そうしよう、バイオリーナさまのお願いだぞ)
(うん、そうしよう!恩人のお願いだ!)
(来てよかった!バイオリーナさまとお話しできた!)
イオリちゃん、言葉の魔法、使った?
それともシルバーっち?
このゴブリンズは私の魔力が伝わっているし、誰か動いたかな?
そして、それから始まる盛大な試食会!
まあ食べる、食べる、凄い食欲である。
みんな知っている?これ試食会だよ?バイキングじゃないよ?
イオリちゃんは予測していたみたいで、普通に料理を披露している。
次々に出てくるイオリちゃんの手料理。
これ普通にパーティーでは?
で、感想を聞いたら、美味しかった、で終わった。
いや、そうだけど、なんか違うくね?
だからね、いや、いいけど。
「これ凄いゴブ!」
「気に入った?おいしい?」
そう、これよ!これ!感想が聞きたいのよ!
美味しいだけじゃなくて、詳細が知りたいのよ!
「ゴブ!魔力で氷を作って、削るんだねゴブゴブ」
「ゴブ、そしてこの色の付いた砂糖汁を掛けて食べるゴブ!」
砂糖……汁?
うわ、美味しくなさそう、そこは砂糖水でいこうよ!
「魔力が少しだけど、回復するゴブ!こんなの初めてゴブ!」
「ゴブ、でもよ、これ、頭がキーッンて痛くならねーかゴブゴブ?」
「そうゴブ、美味しいけど、頭痛いゴブ!攻撃魔法の一種ゴブ?」
いや、違うし。
「氷を作ったアッキーが食べても、魔力は回復しませんよ」
イオリちゃんがお茶を入れながら私に言う。
「そうなの?」
「ええ、おそらく、回復するのはゴブリン限定では?アッキーの魔力はゴブリンと相性がいいみたいですので」
「色々試してみたいね」
「そうですね」
みんな食べて落ち着いたところで、計画を話し始めた。
「この食べ物、取敢えず、たまご・ぼーろ、綿菓子、かき氷、どれか一つでもいいから、市で売りたいの、どう?」
「市ゴブ?朝市?」
「……ゴブゴブ」
おや?意思消沈?
ちらちらとイオリちゃんを見ているけど?
「ゴブ、アッキー、俺達、朝市でスリをしていて捕まったゴブ」
「ゴブ、正確には、捕まったというか、怒られて、反省してミント先輩預かりになったゴブ……」
「ゴブ……だから市は、行けないゴブ。いろんな人に迷惑掛けているゴブ」
「世界が狭くなったんだね。この場合は狭くした、か」
「ゴブ?」
「世界ゴブ?」
「遊びに行ける場所、気軽に行ける場所がなくなること。イヤな思い出、辛い思い出がある場所には、行きたくなくなるもの」
「……アッキー」
「なあに、イオリちゃん?」
「お金は可能な限り、返しましたよ」
「え?」
返した?誰が?
「ミントが特定して、一人一人、ピアが返しに行ったわ」
「え!?イオリちゃん、お金は誰が?」
「オルガン・ブレイス・ヴァイナガン」
「おば……生徒会長!?」
「会長、ゴブリンには特別な思いがあるみたいなの、ミントと二人で頑張ったみたい」
「ゴブ、ごめんなさいは、言ったけど、許してもらえない人、いっぱいいたゴブ」
「もうしません、と言ったけど、駄目だったゴブ」
「だから、市場や人前での商売は駄目ゴブ」
どうにかならないか?何かないか?
学校でケンタウロス・グロスからお財布は取ったけど、あれは動揺を誘う手段。
素早さの技を見せたのだ。
もうこの子達は盗んだりしない。
そもそも、なんでスリをしたんだ?
生活のためか?生きていけなかったからか?
(そうです)
シルバーっち!
どうにか、ならないか?
考えろ!
市場、販売、市場には誰がいる?ホッシー先輩?何がある?お花屋さん?沢山の食べ物、武器防具、日用品。
「あ」
「どうかしましたか?アッキー」
「ふふっ」
「ゴブ?アッキー目が怖いゴブ!」
「ふふっ、レイ・レッド先輩がいるじゃん」
「え?レイですか?アッキー?」
「そうよ、イオリちゃん!委託しよう!」
「ゴブ?」
「私達は、お菓子を毎日作る、それを売ってもらうのよ!」
満月期、ポメになってレイ・レッド先輩のお店前に降臨する。
どうだろう?
上手くいきそうな気がする。
一章 34話までイラストが入りました。
よろしければご観覧ください。
次回投稿は 2023/05/25 22時くらいの予定です。




