【第85話】 入学式
号外です。
いいね、ありがとうございます。
テンション上がります。
パチリと目が覚めた。
力が全身に漲っている。
汗が凄いな。
まずはお風呂かな。
足音を立てずドアを開けると、お風呂、朝食、用意はみんなできていた。
「おはようございます、ご主人さま。まずは、お風呂ですかね」
「おはよう、イオリちゃん。早起きですね」
ドボンとお風呂に入り、汗を流す。
朝食を済ませ、正装する。
氷獣を狩る準備と同じである。
「あ、お化粧はいいよ」
苦手です。
「では、薄く紅だけでも」
べに?
ああ、口紅か。
「薄くね、薄くだよ、イオリちゃん」
亜紀の時は銀行勤務だったけど、ほぼ、すっぴんだった。
亜紀の肌はアルコールに弱かった。
赤く腫れ、ジンジンと痛んだものだ。
「イオリちゃんはどうするの?」
「お化粧ですか?」
「いや、これから」
「同行しますよ、ふふっ」
あ、なんか隠している?
外が、段々と騒がしくなる。
「行こうか、イオリちゃん」
ドキドキしてきた。
不安と期待が入り交じった気分だ。
「はい、ご主人さま。その前にお花を一輪」
イオリちゃんは丁寧に、右の胸に専用の金具で止めてくれた。
白い綺麗なお花だ。
寮を出ると、在校生がグランドにイスを作っていた。
土属性の魔法でイスを造り、そこに、豪華な布を敷いている。
雨でなくてよかったね。
空が青い、晴天だ!
「正門より入るのが慣わしです、皆さん、並び始めているかと、行きましょう!」
イオリちゃんの言うとおり、正門には新入生が並び始めていた。
「明季、こっちだ!」
シンお姉ちゃんの声!
!!!!
お、お化粧している!
薄化粧だけど、お、お姉ちゃん!?すんごく綺麗!
「どうした?」
「……きれい」
「は、恥ずかしいだろ!」
でも、嬉しそう。
あっ!在校生が、花を一輪ずつ配っている!これか!
「どうぞ」
エルフの男子生徒が花を一輪手渡そうとする。
「あ、私、持っています!」
「ご主人さま、ここは貰うのですよ。花の祝福ですから」
「え?イオリナ先輩!?騎士団に行かれたのでは?」
「あら?今は明季姫付きのメイドよ」
「ええっ!?」
「ほら、さっさと配る!」
「は、はいっ!」
ざわめきが大きくなる。
この匂い、ハーピーさん達だ。
あ、あれがハーピーのお姫様?
小柄である。でも私より遙かに大きい。
目がちょっとつり目で、怖いかな?お化粧も香水?も凄い、ここまで香が!
わあぁ、取巻きのハーピーさん達が一輪ずつお花を渡している。あんなに飾れないでしょうに。
「頂いたお花で、花の冠を作るのですよ」
耳元でイオリちゃんが囁く。
へーそうなんだ。
ハーピーの姫の手元に次々に集まるお花。
女王は私を見ると、ふっ、と花で笑った。
「やらせではないか」
「え?あ、ランお母さん!季羅お父さん!」
「明季、私達からだ」
両親からのお花。
あ、亜紀が感動している!喜んでいる!
ざわめきが静まる。
ニトお父さん!?
「どうぞ、ハーピーの姫。私の花、貰ってくれますか?」
差し出されたお花は、女王に奪うようにもぎ取られ、彼女は叫びだした。
「おおおおっこれは、これは、ン・ドント大陸一と名高い薬師ニトではないか!そなたから花を添えてもらおうとは!」
あ、ニトお父さん、苦笑いだ。
ん?ハーピーのお姫様、なんか悲しそう?
「ん?この匂い?」
振り向くと、え?
ボンバーズ?
「アッキー!お花をどうぞ!」
「!」
固まる私。
素直にうれしいいいいっ!
「ほれ、受け取れ後輩、ホッシーからのお花だ!」
「え?あ、ありがとう!」
「僕からも、どうぞ」
ティーくん!
「今度、お店に来なよ。そこの先輩も連れて、招待するよ」
行きます!行かさせていただきますっ!
「私もいいかな?」
モニさんだ!
「あ、ありがとう!」
「モ、モニが世話になった、あ、俺もだけど。に、入学おめでとう」
ジュナサン、モニさんとお揃いのお花だ。
「なんじゃお主、花が少なかろうと思って来たが、ほれ、ありがたく受け取れ、生徒会、会長からの花ぞ!」
うわぁ、おばばさま、口、悪っ!
そして、ヤベンさんとナイダイさんからもお花を頂いた。
巨躯のオークが小さい花を一輪渡す姿は、ちょっと感動した。
「無理はしていないようだね?バトルは禁止だからね?」
そう言って、ニトお父さんは黄色いお花を一輪。
「あ、ニト!私が先に渡そうと思っていたのに!どうぞ、アッキー!入学おめでとう!ふふっ」
「ありがとうございます!」
前世の両親からも、祝福のお花貰っちゃったよ!うれしいっ!
「?」
「ちゃんと補正できているわね、心配だったのよ獣人族の衣装」
私にお花をくれた人達は、そのままシンお姉ちゃんにも渡していた。
両手に花である。
「さて、私の出番ですよ」
「どうするの?イオリちゃん」
ちゃっちゃっ、とイオリちゃんは一輪の花達を紡いでいく。
「はい、ご主人さま!」
そう言って私の頭に花の冠を、そっと載せてくれた。
「よし、いい感じ。次はシャンソンさまね」
その時わらわらと5、6人の女生徒がシンお姉ちゃんを囲んだ。
「シンお姉さま!どうか花を」
え?おねえサマ?
「ありがとう、確か君たちは……」
誰だ?
「はい、保健室ではお世話になりました」
世話?シンお姉ちゃんが?
「いや、私こそ、怖がらせてしまって、怖い夢を見たりしないか?」
あ、この人達、私がシンお姉ちゃんから、怒られた時の!
おもら……。
ギロッ!
あ、シンお姉ちゃん、目が怖いです。
ごめんなさい、不謹慎ですね、私。
「あ、花片が」
そう言って、一人の女生徒の髪に付いている花片を、指でそっと摘まむシンお姉ちゃん。
女生徒さん、真っ赤なお顔で震えていますけど?
「シ、シンお姉さま、その花片、頂けませんか?」
「これか?どうぞ」
女生徒は花片をそっと手で包む。
「ご入学、おめでとうございます。これからもよろしくお願い致します!」
そう言って皆駆けだしていった。
遠くで声がする。
よ、よこしなさい!
いやよ!これは私の!大事な宝物なんだから!
狡い!あんた髪にわざと付けたでしょう!
ええ?そうなの!?
そ、そんなことしないわよ!
賑やかだなぁ。
私とシンお姉ちゃんのお花は増え続け、イオリちゃんは花のブレスレットを作り出す。
次回投稿は 2023/04/22 20時頃の予定です。
サブタイトルは 入学式 2 です。




