【第86話】 入学式 2
今晩は。
外の虫の音が凄い、夏みたいです。
ゆっくりと動き出す新入生。
先頭のおばばさまが、動き出したのだ。
列を乱し、押しのけ、私達の横をすり抜け先頭に立つハーピーさん達。
え?ひどいよ!
指揮をしているのは女王さまだね。
「一番に門を潜るのは我らこそ相応しいと思わぬか?」
苦笑し、先頭を譲るポシェット商会の親子。
先頭に立ち、ゴキゲンの女王さま。
おばばさまは何も言わない?
あ、念話が!
(聞こえるか?ハーピーの姫。生徒会に入れ、守ってやるぞ)
おばばさま?意味深だなぁ。
列は動き出し、生徒の付き添いも一緒に門を潜り始める。
私は落ち着かず、周りをキョロキョロとプレーリードッグみたいに見渡す。
生徒よりも、周りの付き添いが派手だなぁ。
お喋りも凄い。
どっちが主役なのだ?
チラリ。
我らが両親は、氷獣の討伐の装備だから、戦いの出立だ。
ま、私もだけど。
いや、見つけたいのはそれじゃない。
エノンなんだよ、エノン。
孤児院、忙しいのかなぁ。
こんなに沢山、お花貰って嬉しいけど、エノンからも欲しい、が本音だ。
先頭のハーピーさん達は?
うわぁ、お姫様、埋もれていないか?
花団子?
本人、前、見えるか?
あ、女王さまが振り向いた!
私と目が合い、フンッとにやけるハーピー女王さま。
他の種族の一部も、競うようにお花が盛られている。
生徒本人達は、どう思っているのだろうか?
あれ?
おや?
ステータス画面が赤色に?
!!!なんか飛んできたっ!!!
これ、ヤバい奴!
私の魔力感知が、魔族級のエネルギーを捉えた。
え?
今来る?
ホッシーが叫ぶ!
「ブ、ブラック・ドラゴン3体飛来!力ある者は武を示せ!他は退避!退避!」
……ブラック・ドラゴン?
ブラック・ドラゴン!?
最近……倒したよね。
もしかして、仕返しかな?
え?私が原因?
ここで来る!?入学式に?
いや実は、新入生とか?それはないか。
次々に飛び上がるハーピーさん達。
センバ騎士団長は?
「王都全騎士団に告ぐ、ブラック・ドラゴン3体飛来、緊急事態だ、戦闘態勢」
冷静だな。
チラリと我が両親を見る。
あ、笑っている!?
そうだよねぇ、満月期だし。
「季羅よ、ドラゴンとのバトルだ、久しいのう」
季羅お父さんより、ランお母さんが燃えているみたい。
「バトルとは限らん」
そう言いながら、メキメキと筋肉が膨れ上がる我が父。
ブラック・ドラゴンは王都上空で、更に上昇する。
「あれではハーピー達の攻撃が届かぬ」
「ペガサスでも無理だぞ?」
「あの上空からのブレス攻撃は脅威だ『闘』に任せるか?」
ここにいる者達、ほとんどが戦士とその一族。
皆、戦う気なのね。
怖がっているのは一部の新入生だけか?
「アクセス」
ステータス画面で、スーパーゴーレムを無詠唱で呼び出されるように設定、と。
満月期しかできない荒技だけど。
季羅お父さんと目が合う。
「バトルは禁止だぞ」
ランお母さんが私を抱っこする。
「バトルは禁止ですよ」
そっとシンお姉ちゃんが、私の手を握る。
「バトルは禁止だぞ」
信用無いなぁ。
「ホッシー、あのドラゴン、動きがおかしくない?」
ホッシーに聞いてみる。
誰かが操っているみたいなんだけど、人、乗っていないか?あれ。
「うん、もしかしたら西の民かも……」
西の民?阿騎の時はいたか?
あ、ジキさんの住んで居た大陸から!?
《王都の愚民共に告ぐ》
愚民!?愚民って言った!
凄い魔力が王都全体を打つ。
《先日、我らが盟友のドラゴンを屠った者がいるであろう!差し出せ!》
あ、やっぱり。
ペガサスに騎乗した騎士とハーピーが向う。
ハーピー達が仕掛ける。
「まて、ハーピー!先に仕掛けるな!彼らの意図が知りたい!」
「はっ!怖じ気づいたか騎士団『翔』!我らが戦、見るがよい!」
(センバだ、ハーピーを止めろ!あの高さまで昇れぬであろう!?狙い撃ちだぞ!こちらの攻撃は届かない!)
(ハーピーが仕掛けました。すみません!止められませんでした!)
ポッポッとブラック・ドラゴンの口元が光る。
火球は次々にハーピーさん達を捉える。
燃えながら落下していくハーピーさん達。
ふらふらと大地に舞い降りる。
地上では早速ニトお父さんやリュートお母さんが腕を振るう。
火傷の手当だ。骨折した者もいる。
「学校の保健室と体育館を使う!」
ニトお父さんが指示を出す。
「火傷には親和性の包帯ではなく、離反性の包帯を!」
リュートお母さんが走り出す。
この二人、これで学生?
もう一人前では?それとも私の中の学生と、この世界の学生は違う?
「火球ブレスだが、弱いな?力を落としての攻撃だ。何故そのようなことを?」
「弱いのですか?」
センバ騎士団長に聞いてみる。
「ああ、ブラック・ドラゴンのブレスなら、肉体は蒸発する。何も残らん」
こわっ!
火力、どれだけあるの!?
「明季姫をご指名のようだが、バトルは禁止だ、いいな?出るなよ?」
「う!」
センバ騎士団長からも止められてしまった。
センバ騎士団長が動き出した。
「騎士団『闘』出るぞ、グリフォンを喚べ」
え!?グリフォン!?
「あの者達、魔力が魔族並みですよ?」
騎士団の実力って?
「……ほう、よく分かるな、君は魔族と対峙したことがあるのか?」
あ、まずった。
「あの魔力はブラック・ドラゴンの魔力だ。騎乗している者は、それ程でもない」
ここでホッシーが口を挟む。
「お言葉ですが騎士団長、それはブラック・ドラゴンに比べてで、かなり強い魔力の持ち主ですよ、あの者達!」
次回投稿は 2023/04/23 20時頃の予定です。
サブタイトルは 入学式 3 です。




