【第78話】 明日は入学式 2
号外です。
外は風が強いです。
てくてく。
王都を目指して進んでいるけど、私、抱っこされたままでいいのかしら?
楽ちんだけど、恥ずかしい気も少し。
「明日の入学式は正装ですよ」
正装とは?
「え?ランお母さん、正装って?」
「私と季羅は村に伝わる礼装があります。シンと明季はリュートの作った白い服を」
ああ、あのワンタッチで皆脱げる服。
あれ、軽くて動きやすいから好き。
「メイドのイオリナさんはどうです?北のゴブリンさん達の強い推薦がありましたが?」
「凄く助かっている!色々教えてくれて、ご飯も美味しいし」
ん?騎士団全員が静かになったぞ?
イオリちゃんのお話、聞きたいのかしら?
「何処で知り合ったのです?明季?メイドナ家は王都名門ですよ?」
「学校で。気分悪くなって座っていたら、介抱してくれたの」
「そうですか、優しい人なのですね」
「おい、センバちゃん優しいだと」
「獣王、やめてください」
ん?なんだこの会話?あ、そう言えばイオリちゃん、騎士団のお誘いがあったとか?
「従妹だっけ?イオリナちゃんは?身内が誉められると嬉しかろ?」
「まあ、はい。妹のような存在です、よろしくお願いしますよ獣王」
……いい情報ゲット!こんどイオリちゃんに、センバ団長について聞いてみようっと。
!
周囲に?違和感?誰か見ている!?
あ、センバ団長も気がついたみたい。
王都に入る寸前、何かが空を横切った。
何だろう、この匂い?
獣人族とは違う獣の匂い?
不快ではないけど、変な匂いだ。
(おい、騎士団、男共!気をつけろよ、フェロモン・アタックだ)
フェロモン・アタック?季羅お父さん、それって??
ザァアッという音と共に、何かが舞い降りてきた。
「騎士団に囲まれて王都入りかえ?獣王!」
次々に舞い降りる黒い影。
ハーピーだ!
何人?
魔力感知が上手く働かない、妨害しているな。
目視はできるけど、数人、隠れている。
ならば、オーラ感知で……28羽、あ、目視24人、隠密が4人。
目視のうち4人は、私達の頭上を、輪を描いて飛んでいる。
騎士団はゆっくりと、私達の前に出た。
すると、自然とランお母さんの腕に力が籠もる。
目の前に現れたハーピーは、鷹のような両脚に、真っ白い腕を乳房の下で組んで姿勢良く立っている。ん?やけに胸を強調するなぁこの人。
そして、背中には黒々とした翼。
視線は鋭く、ランお母さんを睨んでいる。
ハーピーの中には、腕がそのまま翼の者もいる。
彼女達も、人バージョンとかになるのかしら?
地上に舞い降り、整列したその姿は壮観である。
そして、自然とその場所に目が向う。
特に阿騎の意思がびっくりして見ている。
共通している項目は皆さん、とんでもなく乳腺が発達されておいでで、いやはや。
ハーピーさん達、これはナシでしょう!
飛ぶ時、邪魔になりませんか?
そう思うくらいリッパなのだ。
チラリと目線を落としてみる。
まあ、私はまだ一歳だし、これから、と。
ちなみに、ランお母さんは……プラズマ粒子砲?
何故か知らないが、一撃で白のドームを破壊した超兵器が思い浮かんだ。
まあ、私、抱っこと言うより、埋もれているし。
ランお母さん、沢山赤ちゃん産んでいるのに、形がいいんだよなぁ。
授乳すると形が変るとか聞いていたけど?これは亜紀の知識で、本当のところは知らない。
はい、授乳の経験ありませんし。
できれば、将来、赤ちゃん産んで、オッパイあげてみたい。
うーん?プロポーション反則なのは、獣人族だからかしら?
母が、これなのだ。私のこれも、きっと!たぶん!
それに、ランお母さん、癒やしの波も凄いのだ。
波が目に見えるのでは?と思えるほど、辺りに溢れている。
何だろう?
凄く満たされているというか、充実感が伝わってくる。
ああ、季羅お父さんと二人で、旅をしているからだろうか?
「何年ぶりだ?乱?」
「三年よ。忘れたの、トウ・タタ?」
え?ランお母さん、言い方というか、発音というか、棘がありませんか?
ずいっ、と胸を突き出して迫るハーピーさん。
あ、この人、女王さま?
「まさか同じ時期に入学とは。これから9年も、ことある度に乱、お前と会わないといけないのか」
うわぁ吐き捨てるような物言い。
「シンは4年生からのスタートだが?お前の娘は1年生か?」
「!!!!!」
固まっちゃったよ?ハーピーさん、フリーズした。
「ん?どうしたタタ?」
「4、4年生だと!金でも使ったか!」
あ、動き出した。
「人聞きの悪い、王都聖龍門学校に金は通用しない。実力のみ」
「もう一人いたであろう、何でも試験で鼻血を出したとか?」
あ、周りのハーピーさん達がクスクス笑い出したぞ。
「ぐっ」
「おお、いい顔ではないか乱」
「季羅、今からでも遅くない、我を選べ!大衆の面前で鼻血噴くような子は産まぬぞ?獣王、我を選べ、さすれば国も安泰だ。我が後宮に入れ」
もしかしてセンバ団長が言っていたことってこれか?
あ、センバ団長と目が合った。
さすがにこれは手に余るか?
私の目は季羅お父さんに向く。
季羅お父さん?
「ハーピーの女王、後宮の件は遙か昔に断ったはずだが、お忘れか」
「気は変らぬか?」
「くどい、生涯、私の妻はランさんだけである」
言っちゃったよ、季羅お父さん!
私の大好きなランお母さんを大好きな季羅お父さん、大好きです。
言葉、おかしくないよね?
ん?ランお母さん?口元がニヤけていませんか?
平然としたお顔しているけど、耳まで真っ赤ですよ?
体温も上がっているし。
「くっ、噂の金狼はそいつか?」
え?話題が私に飛んだ!?
どうしよう!?
ここは挨拶からだよね、挨拶は大事だ。
「こんにちは、シュート家・明季です」
さて、なんと応える?ハーピーさん。
私は名告ったぞ。
あれ?なんだろう?一瞬悲しい目をした?
「私はトウ家タタという」
「女王さまですか?」
「いかにも」
あ、目が何か企んだ目になった!?
次回投稿は 本日 2023/04/16 20時頃の予定です。
サブタイトルは 明日は入学式3 です。




