【第75話】 ン・キングとドロトン君 3
今晩は。
ええ、日朝は好きです。
満月期はいいな、色々できる。
無双ターンだね。
だけど、調子に乗りすぎると必ずこける。
今までの経験上、無双ターンこそ要注意だ。
なんか言葉があったな?
そうそう、好事魔多しだ。
上昇があれば下降があるのだ。
特に私は注意だ……皆からも言われているしね。
私の周りに現れる5つの魔法陣。
光り輝くそれは、空中に浮いている。
ブンッという音と共に、魔法陣から5つのボディーが浮かび上がる。
白に朱のライン。これがレッドだろうな。
5体とも、昆虫を思わせるデザインで、明らかに外骨格を意識している。
王さまのデザインかな?
格好いいんですけど?
これ、絶対サイザンお兄ちゃん喜ぶヤツだ。
見せたいなぁ。
マルチタイプのレッド、速さのグリーン、力のイエロー、水中用のピンク、空中戦用のブルー……王さまって実はホルダー?この配色とか、人数とか、いろいろと思い当たるんですけど?
それに、このアタッチメント装着、音声入力ってナニ?
……叫べってこと?
ふと下を見ると、巨大な大砲を軽々と持ち上げるブロックくん。
……パワーありすぎ?
あの回収用のブロックくんも怪しいな、なーにが非戦闘だ。
あれ、動くだけで凶器だよ?
あ、君、今からブロックくんね?
《良とす、我今より、ブロックくんである》
よろしくね。
《こちこそである。ホルダー阿騎》
王さまは、どんな気持ちでこれらを作ったのだろう?
バチバチと霊音が響き、5体は光の粒になり、私の爪に宿った。
え?色つき?……ネイルがカラフルすぎる!
これ、恥ずかしい!
人差し指の爪が原色の赤?親指が黄色で中指がブルー、薬指がグリーンで、小指が……なんで蛍光ピンクなの?
上から塗るか?
ん?ドロトン君?
「スケルトンさん達の邪魔をしないで下さい!整備しているのが分からないのですか!」
「我々のゴーレムだ!勝手に触るな!」
「何をいう!長さんは東の砦の守護者、ドラゴンを倒し、王都を守ったゴーレムなんだぞ!敬意を払え、騎士団!僕らの友人に、汚い手で触るな!」
「なんだと!ドワーフ風情がっ!これは我々が捕獲管理した!だから我々の物だ!」
「おい、『突』の騎士団、お前らいい加減にしろよ?団長、こいつら王都騎士団の恥だ!潰していいですか?」
「12名相手に?」
「ええ、私一人で充分ですよ。常日頃戦っている彼らに比べると、こいつら雑魚ですから。ブレス攻撃もないし、それに飛ばない、大きさも違いますしね」
もめているなぁ。
ン・キングは離れて開発部長と話し込んでいるし。
気がついていないみたい。
凄い集中力だ。
譲渡はしたけど、やはり、スーパーゴーレム達の所有者は私。
私には責任がある。
大切なゴーレムさん達。
王さまや、開発部長が一生懸命作ったプレゼント。
その思い、計り知れない。
それを盗むと?
その行為、許しがたし!
私のお顔がバレると、色々とマズそうなので使ってみるか。
取敢えず、朱槍はここに置いといて。
「アクセス、音声入力!」
人差し指の爪が、赤く輝く!
うわっ!?熱っ!!
ステータス画面に入力文字が浮かび上がる。
え?……これ、叫ぶの?
て、抵抗ある……。
「お、オーバドラブ・ラブ・サイザナン・レッド!」
ひいいいいいっは、はずかしいいいいいっ!
輝いた人差し指は光の粒子となり、私を包み始める。
これ、絶対サイザンお兄ちゃん用だよっ!
長さんの肩を蹴り、ドンッ!と大地に降り、片膝を着く私。
……これ、獣人族には確かに不要かも。
微妙に動きづらい。
でも、降下期には逆に動きやすいかも。
「何者だ!キサマ!」
まさか、リアルでこのセリフを聞くとは。
「ン・ドント大陸の守護者」
あ、声も変えられるんだ!凄い!
「さがれ!『突』!魔駆動機だ!」
センバ騎士団長が警告して前に出る。
魔駆動機?
白く輝くボディーに朱のデザイン、音も無くスムーズに動く関節。
これ、メイドンがモデルだ!
「魔駆動機?メイ?ばかな!制作は不可能だ!張りぼてだ!」
張りボテかぁ。
中の私の方が、このアタッチメントより速くて、強いんだよね、今は。
正体がばれないように使ってみたけど。
「……私は、ン・キングとドロトンの盟友、サイザナン・レッドだ(赤面)。手を引け、騎士団『突』。あなた達には、手に余る存在だ」
「何だと?」
「これは古の英雄達からの贈り物、ン・キングとドロトンに託されたものだ。手を付けることはゆるさん!」
「待て!」
センバ騎士団長が止めるより速く、目の前の騎士は剣を抜いた。
抜いたか。
パキィイイイイッン。
抜かれた剣はガラスのように砕けた。
「きさまぁ抵抗するか!」
おいおい!斬りかかってきて、それはないでしょう?しかも警告無し。
次々に剣を抜く騎士団『突』。
『闘』のメンバーは近くにいた『突』の団員をぶん殴り、剣を奪う。
「剣を退け!今の技、見たであろう!見えたか?どうやって剣を砕いたか!?次は命が砕けるぞ!レッド殿が手加減しているうちに、剣を退け!馬鹿者共!」
「剣を退け!『突』無礼を詫びろ!」
明らかに動揺が広がる。
が、半数の6人が、確信を持って動いた。
ドロトン君を狙ったのだ!
も、もしかして、商工会の者!?
ゆ、油断した!
満月期だから大丈夫だと、ちょーしこいていた!
やばい!
「速!」
ブッーッ。
ええっ?
システムエラー。
え?
重速術が発動しない!?なんで?
ん?
ステータス画面に文字が?
なになに?
《警告:サイザナン・シリーズは重速術に対応していません。解除か改良をお勧めします》
はあああっ!?
使えないじゃん!このシステム!おうさまぁ!
ド、ドロトン君が!
間に合わないっ!
6人は見事なチームワークを見せた。
2人が騎士団『闘』に不意打ちを仕掛け、残り4人でドロトン君を囲んだのだ。
次回投稿は4時間後 0:00 です。
サブタイトルは ン・キングとドロトン君 4 です。
ン・キングとドロトン君は、4で終りで、その次がやっと 入学式 の予定です。




