【第74話】 ン・キングとドロトン君 2
今晩は。
投稿です。
木の陰に一人の人物を見つける。
リンドウだ。
来ていたのね。
(……)
ちょっと待って、そこで見ていて!
(何をする気だ?)
ふふっ。
今は長さんの再起動が先なの。
試してみたいスーパーゴーレムがいくつかあるし。
そう、変な?ゴーレムを見つけたのだ。
ドワーフの王さま、きっと色々な状況や場面を想定して、造り続けたんだろうなぁ。
まず、一つがこれだ!
これはちょっと変ったシステムで運用される、汎用ボディアタッチメント式スーパーゴーレム。
これ、ゴーレムなのかなぁ?
最後から2番目の開発番号なんだけど147番。
要は戦隊モノというか、メタルな英雄の変身スーツみたいなヤツなのだが。
これ、一度召喚すると、魔石になって留めることができる、らしい。
手の爪が魔石になるそうなんだけど……。
名前が凄いというか、恥ずかしい?
サイザナン・レッド?
怖くて使えないのだが?
王さまや開発部長が私のため、未来の世界のために作った兵器なのだが?
きっと必要なモノ、なのか?
使う前に、開発部長に聞いてみよう。
ポンッ、とジャンプをして、長さんの肩に乗る。
長さんには、もうツタが絡まり始めていた。
凄いなぁ、植物は。
騎士団が、一斉に反応する。
20名ほどいるか?
多いな。
「誰だ!」
「何者だ!」
「ここは騎士団『突』の管轄内だぞ!」
管轄内!?
ふざけるな!
ここは自由の大地、私達の故郷、ン・ドント大陸!
矮小な言葉で、我が故郷を汚すな!
ん?センバ騎士団長の騎士団はたしか『闘』だったはず。
「騎士団『突』あれはこのゴーレムの所有者ではないのか?」
騎士団、二つだ!
『闘』は3名だ。マントの色が違う!
「何を言う?この放置されたゴーレムは、我々が捕獲した。我々の物だ!」
「こいつら愚か、騎士団は愚か、話を聞かない愚か者」
「ン・キング!我らを愚弄するかっ!不敬であるぞ!」
「あなた達こそ不敬です!ン・キングにたいして!それにこのゴーレムは……」
「だまれ、ドロトン!このような物、ン・キングが作れるわけがなかろう!これがあればメイさまを奪取できたはず!」
言い争う声が、下から響く。
私は、全て無視する。
「アクセス!」
ドオオオォン、と霊音が響き、大地が揺れ、長さんの足下に魔法陣が浮かび上がる。
ドロトン君とン・キングは、ほっとしたようである。
「さすがはホルダー、これこそホルダー、これで安心、安全である」
「ちょっと、怒っていますかね?」
「さもありなん、さもありなん」
浮き出た巨大魔法、揺れる大地、でも二人は余裕である。
が他の者達は大慌てだ。
あ、座り込んだ騎士もいぞ。
センバ騎士団長は面白そうに、大地の魔法陣を眺めている。
「珍しい魔法陣だ、どう思う?」
「だ、だ、団長!それどころではありません!」
「ん?ドロトン君やン・キングは逆に安心しているぞ、これは危険な魔法陣ではない。おい、騎士だろう!怖くても、怖くないフリしろ!王都の都民が見たら信用を失うぞ!」
センバ団長、笑っている?
魔法陣から浮き出てきたのは、整備専門のスケルトンさん20名と修理回収用の巨大スーパーゴーレム55号。
55号は、腰や背中に回収用のフックや荷台が取り付けてある、非戦闘ゴーレム。
うーん、形からしてこの子の名前は、ブロックくん!決定!
そして私の横には開発部長。
「お呼びですか、ホルダー阿騎?」
「長さんの再起動と、外した大砲の設置、それとこの147番の説明をお願い」
「まずサイザナン・シリーズですが、全部で5体、それぞれ得意分野があります。速さが重視の146、力重視の145、水中用の144、空中戦用の143、147は空は飛べませんが、バランスタイプです。一度使用すると、魔力の充填は、今の時間で3時間程です。使用時間は最大で15分、フルパワーで3分。満月期の獣人族が使用してもあまり意味がないのですが、降下期には有効です」
「5体を連続して使えますか?」
「可能です、ホルダー阿騎」
こう話しているうちに、ブロックくんやスケルトンさん達は目まぐるしく動き、長さんを再起動させる。
「再起動は簡単なのですか?」
「魔石を取り替えれば動きますよ、ただ今回は整備が必要でしたけど」
「どうして?」
「ホルダー阿騎、長さんに接近戦、させたでしょう?格関節の微調整が大変です」
「う、ごめんなさい!」
「まあ、長さん、喜んでいましたけど。では私はン・キングとドロトンさまに整備と再起動について説明してきますね。あちらの方はよろしくお願いしますよ」
あちら?
あちらとは?
「な、なんだこのスケルトンは!作業をやめろ!これは我々の物だ!」
うわっ、厄介!
(ホルダー阿騎、こいつら殺していいか?)
え?
(捕獲したとか、我々の物!とか、勝手に触るなとか、ホルダー阿騎の所有物を盗もうとしている)
(盗みは大罪だ)
(黙らせていい?)
(作業の邪魔!)
(今の騎士団がどのくらいの実力か、試してみるか?)
(このような騎士団、みなにとっても邪魔であろう?消すか?)
(いや、これは騎士団とは言わぬであろう?盗人だ!)
あ、やばい!
スケルトンさん達、海琴隊の戦士だもんね、それも歴戦の。
「すぐに作業を止めろスケルトン共!我々の所有物に触るな!」
「アクセス!」
ドオオオォン!
霊音が響く。
「今この時、ン・ドント大陸、王都北にて、我、獣人族明季がサイザナン・シリーズ5体を我が欲望遂行のため、左手の爪に宿す!ジャッジメント!」
次回投稿は 2023/04/14 20時頃の予定です。
サブタイトルは ン・キングとドロトン君3 です。




