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恐らく放課後のあの出来事を誤解しているのだろう。
「はぁ……ちげーよ……放課後、横川と少し話しをしててな……それを勘違いされたんだ」
「ん……そう……」
「あぁ……上屋敷に言っておいてくれ、そんなわけねーだろって」
「ん……じゃあ、今メッセージ送る」
「おい、飯食ってる時にスマホ……って、ちょっとまて、お前いつの間に上屋敷と連絡先交換したんだ?」
「ん……ここで一緒にゲームした時」
「あの時か……まぁ、友人が出来るのは良いことだな……」
「ん……今日のご飯を送ってる」
「自動的にうちの晩飯が上屋敷にバレるわけね……」
そういえば、俺は上屋敷の連絡先を知らないな……。
女子に聞きづらいってのもあるけど、なんか聞くタイミング無かったしな……。
「ん……送った」
「それはどうも、ちゃんと分かってくれたか?」
「ん……美味しそうなクリームシチューだね……って」
「いや、俺と横川の事を送ったんじゃねーのかよ」
「ん………忘れてた」
「そっちを優先してくれ、そっちの方が俺にとっては問題なんだ」
「ん……分かった………」
八島はそう言うと、スマホを操作して上屋敷にメッセージを打ち始めた。
「オッケー………」
「そうか、なんて送ったんだ?」
「ん……」
俺が尋ねると八島は俺にスマホの画面を見せてきた。
その画面には『木川は横川嫌い』とだけ書いてあった。
「おい……これは……ざっくりしすぎだろ……別に嫌いじゃねーし」
そんな事を思いながらスマホの画面を見ていると、上屋敷からメッセージが帰ってきた。
『え? やっぱり振ったの!? なんかお前みたいな変態と付き合えるかー! って行ってたんだよねぇ。なんか横川さん可愛そう……明日私がしっかり叱っておくね!』
「………俺は叱られるのか?」
そんな事を呟きながら、俺は八島にスマホを返した。
*
翌日、俺は学校に到着した瞬間、上屋敷に呼び出され屋上に来ていた。
なぜか八島付きで……。
「なんだよ、朝から……」
とは言いつつも予想は出来ていた。
昨日の放課後の事だろう。
八島のメッセージでもなんか誤解は解けてないみたいだったし……。
「……女の子って……恋に生きてるんだよ……」
「全員がそうなわけねーだろ」
良いからこっちを向けよ。
なんで空を見ながら遠い目で俺に語り掛けてんだよ。
「女の子はね……好きな人が出来ると、その人でいっぱいになっちゃうの……」
「あっそ」
「恋は盲目……女の子は恋をすると、好きな人以外何も見えなくなっちゃうの! まるでサングラスのように!!」
例えが分かり難い上に面倒くさい!
なんだこいつ……一体何が言いたいんだ……。
「なのに……昨日の木川君のあれはなに!? 折角告白してくれた女の子に失礼でしょ!!」
「上屋敷、良いから俺の話を聞け、そして八島! お前は寝るな!!」
上屋敷を抑えつつ俺は隣で立って寝始める八島に注意する。
昨日も八島は寝るのが遅かったらしい。
「上屋敷、まず俺は横川に告白されてない」
「え? でも昨日……」
「お前の勘違いだ、それを説明しようとしたら、お前が急いで帰ったんだろ?」
「いやぁ……二人の邪魔しちゃ悪いかと思って……」
「なわけねーだろ……モテねーし……」
「……確かに……」
「なんでそこでお前が応えるんだ? や・し・まぁ~」
「あうぅ………イ、イタイ……」
俺は八島の頭を掴んでギリギリと頭を締める。
「……うぅ……女の子に……暴力……ダメ……」
「女の子として見て欲しいなら、少しは女らしくしろ」
「何言ってるの? 絢葉ちゃんは十分女の子だよ!」
「八島の胸を揉みながら言うな!」
俺は上屋敷にそう言い、屋上を後にしようとする。
「話しが終わりなら教室戻るぞ、ホームルームが始まる」
「あ、まって! じゃあ横川さんと何を話してたの?」
「え?」
自分がホモだと思われてて、漫画のネタにされそうになってたなんて言ったら上屋敷の奴、また面白がってなんか言ってきそうだな……面倒だし言わなくて良いか……。
「何でもねぇよ」
「えぇ~気になるぅ~!」
「引っ張るな!」
「気になるー………」
「八島、お前も乗るな!」
「ねぇ、教えてよー」
「教えろー」
「八島は知ってるだろうが!! 上屋敷も聞きたきゃ八島に聞け!!」
「ん……そうだった」
「忘れてたのかよ……」
「え? 絢葉ちゃん知ってるの?」
「ん……後で教える」
はぁ……なんで八島に話しちゃったんだろ……おかげでまた面倒な事になりそうだ……。
「ん? ところでお前ら……いつから名前で呼び合う関係に?」
「え? 今頃?」
「いや、なんか違和感は感じてたんだけどさ……連絡先も交換してるし……」
「ふっふー! もう私と絢葉ちゃんは親友だよ! ねぇ絢葉ちゃん!」
「ん……………名前……誰だっけ?」
「親友に名前忘れられてんじゃねーか」




