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「あっ……」
「あ……えっと……」
ドアの前に立っていたのは上屋敷だった。
上屋敷は持っていた鞄を落としたようで、上屋敷の足下には鞄が落ちていた。
「ご、ごめんね……の、覗く気はなかったんだけど……あは、あははは」
「ま、まて上屋敷、お前何か誤解を……」
「ご、誤解なんてしてないよ! や、やっぱりモテるんだね木川君って!」
「絶対誤解してるだろ! 違う! これにはわけが!!」
「で、でも女の子の気持ちも考えて上げなきゃだめだよ? そ、それじゃ!!」
「だから違うって!!」
上屋敷はそう言い残すとそのまま走って行ってしまった。
「はぁ……お前のせいで誤解されたじゃないか……」
「誤解? 何がですか?」
「分かってねーのかよ……まぁいいや……上屋敷の誤解は明日解くか……じゃ、俺はこれで」
そういって俺が再び教室を去ろうとすると、またしても横川が俺の腕を掴んできた。
「待って下さい! こっちはネタが無くて困ってるんです! 人助けだと思って話しを聞かせて下さい!」
「話すか! そもそもそんな漫画のネタに鳴るような話しなんて何もねーぞ!!」
「友人にガチのオネエが居るあたりが既に漫画っぽいですけど」
「俺たちの関係は普通だ! 一緒に帰ってゲーセン行ったり、飯を食いに行ったり! 以上!!」
「い、一緒にゲームセンターでどんないけないゲームを!?」
「普通のゲームだ!! お前の頭の中はどうなってんだよ!!」
「ま、まさか! ご飯を食べると称して、食べられているとか!?」
「いい加減にしろ! この脳内お花畑!!」
「良いです! 久しぶりに創作意欲が沸いてきました!! もっと下さい! 休日! 休日は三人で何を!?」
「あぁもう!! こいつ面倒くせぇ!!」
このクラスにまともな奴は居ないのか……。
*
「はぁ……疲れた……」
俺は玄関の戸を開けて、部屋の中に入る。
真っ暗の部屋の中に入り、電気を付けて鞄を置く。
「はぁ……早く飯作らないとな……」
コンコン
「ん……客か」
ドアをノックする音が聞こえ、俺は玄関に向かう。
まぁ、どうせノックしたのはあいつだろうが……。
「よっ」
「ん……」
「飯か?」
「うん………お邪魔します」
「はいよ」
ノックをした相手は案の定八島だった。
最近は家に帰ってすぐに八島が俺の部屋にやってくる。
汚い自分の部屋よりも俺の部屋は居心地が良いようで、晩飯が出来るまでの間、八島は俺の部屋でゲームをして過ごしていた。
「八島、風呂はもう自分の部屋で入れよ? 給湯器直ったろ」
「ん……風呂掃除……面倒……」
「お前! まさか風呂掃除してないのか!?」
「………頑張ろうとは……した……」
「お前なぁ……」
俺はため息を吐いて、八島の部屋の風呂場を見に行く。
なんというか、どうやったらここまで風呂場を汚く出来るのだろうか?
俺はため息を吐いて、自分の部屋に戻り、八島に言う。
「今日は仕方ない、俺の部屋の風呂使え……」
「ん……ありがと」
「お前、俺が引っ越してきた時はシャワー浴びてたろ? 何があったんだよ?」
「……掃除……だるい……」
「掃除が面倒なだけかよ……」
しかも、今は俺が隣の部屋に居る。
最悪俺の部屋の風呂に入れば良いとか思ってるから、余計風呂掃除をしないんだろうな……。
「はぁ……明日はちゃんと風呂掃除しろよ」
「うん……」
本当に大丈夫だろうか?
八島は風呂から上がった後、基本的に裸で過ごす裸族だ。
それは俺の部屋でも変わらない。
なんでも裸の方が落ち着くらしいのだが、俺からしたら勘弁して欲しい。
「俺の部屋では服を着ろよ」
「ん……分かった……努力する」
「努力することかよ……」
俺はそんな事を考えながら、八島と自分の晩飯を作る。
その間、八島は俺のベッドの上で携帯ゲーム機で遊んでいた。
「八島、今日は何のゲームしてるんだ?」
「ん……モンスターハンティング」
「あぁ、あれか……新作出たのか?」
「ん……面白い」
「そうか」
どうでも良い話しをしながら、俺は食事を作る。
今日の晩飯はクリームシチューの予定だ。
「おい、そろそろ出来るからゲームやめろ」
「ん……あと少し……」
「はぁ……ちゃんとやめろよ」
なんで俺が八島とこんな親子みたいな会話をしなきゃいけないんだか。
「ん……木川……」
「ん? なんだ?」
クリームシチューを八島の目の前に出すと、八島が俺に尋ねてきた。
「………木川……男が好きなの?」
「ぶふっ!! だ、誰だ! そんなバカな事を言ってたのは!!」
「……横川………」
「あいつ……はぁ……んな訳ないだろ……」
「……そう?」
「なんでそんな不思議そうな顔するんだよ……」
「ん……向井田、早乙女……仲良い……」
「友達ってだけだ! 決しておホモ達では無い!」
八島まで何をバカな事を言ってるんだ。
「ん……もう一個質問……」
「今度はなんだよ」
「………横川に……告白された?」
「はぁ?」
いきなり何を言い出すんだ?
この裸族のお姫様は?
そんな様子どこにも無かっただろうに……。
「なんでそう思ったんだ?」
「ん……佐恵が言ってた……」
「上屋敷が?」




