073 東照凱人51
準備が整い、朝になる。俺たちは荷物をまとめて、出発する。
目的地は戦場の見渡せる丘だ。なにやらそんな場所が存在するらしい。
「こっちであってるのか?」
「その通りっす。まあ、そこまでそれなりに時間はかかるので気楽に行くっす」
「霧で何も見えないかな」
そう、この南の地は完全に朝は濃霧に包まれている。リザードヒューマンの目が特殊なのか、それとも環境に慣れているだけなのかは定かではないが、よそからきた俺と阿多野にとっては視界0の状況である。
「それにしてもドンパチやってるさなかに事件って、人族も魔族もリーダーが何やってるんすかね」
「そもそも自分たちの身内で殺り合ってんだから、ろくでもないことだけは確かだろうさ」
「みんな大丈夫かな……あんな洗脳みたいな状態で外にだされてたら」
「阿多野……今はあんまり考えるな。そして俺の服とつかむな」
「あはは~。はぐれちゃいそうだから仕方ないかな」
とてつもなく歩きにくい。
濃霧の中を歩くこと、4時間程度が過ぎて、日が昇り霧が晴れてくる。
見えるようになった視界に映るのは荒野。荒野、そして荒野だ。
「おっと、もうこんな所まで来てたっすか」
「おい、なんだその警戒心皆無の発言は……」
「濃霧の中なら、あいつらも動けないので気にしないでいいんすよ。そこらへんにある大岩はあんまり近付かないように。例のあいつらっすから」
荒野の中に不規則に大岩が落ちている。いや、落ちているというより地面にくっついてるから周りを削られて岩の見た目になっているとかが正しいか。
その岩が例の魔物や動物というわけらしい。
俺たちはなおも警戒しながら、足を進めた。




