042 東照凱人31
数日後。宿屋で起きた俺たちのもとにヤイアがやってくる。
「おはようございます!」
「朝から元気だな……なんかようか? ミルカなら見てないぞ」
体を伸ばしながらそう答えておく。
「いえ……その、みなさんってどんなお仕事でも受けてくださるんですか?」
「……内容によるがまあ金さえ払ってくれれば俺は受ける。残りふたりは知らん」
「でしたら、少し聞いてほしい話が」
「ん?」
ヤイアにそう言われて俺と阿多野と姉ヶ崎が連れてこられたのは城だった。
「お城の中ってなんかあんまり、いい思い出がないかな」
「そうね。脱出した身だものね」
ふたりの反応はそんな若干覚めたものだった。水面なんかは「うほおお! ゲームでみたあんな城やこんな城そのものだ!」とかテンション上がってたのにな。
「ヤイア、その方たちは?」
案内された先は恐らく兵士たちの詰め所だろう。そして、そこには兵士長と予想できる雰囲気の鎧をきた男がいた。もちろん獣人の男だ。
「冒険者みたいな感じの皆さんで、例の件でもしお願いできたらと思って、お話し聞いてくださると」
「ふむ……今回はご足労いただきありがとうございます。わたしは獣人第3国軍の第2兵士長ガガラルです」
「凱人だ。まあ、何でも屋みたいなことをしている」
「阿多野愛菜です」
「姉ヶ崎莉乃よ」
「どうぞお座りください」
そう言われるので俺は椅子に座らせてもらう。
「それでは、話させていただきます。現在のことなのですが……この国の状況はご存知でしょうか?」
「たしか魔族の軍に攻撃されたりしてたんだよね」
「その通りです。魔族の過激派の一部の矛先は獣人へと向いてきています。ですが、それについてはもう少し詳しく言えば、内乱的な部分もあるのです」
「どういうことだ?」
「魔族軍の穏便派が追いつめられて、虐殺のような被害にあっていた村をいくつか見つけまして、獣人族は国として保護しているのですが……それを亡命だ裏切りだと理由づけて攻撃してきているのです」
魔族の攻撃理由を作ってしまったってことか。ただ、放っておいてもどうせ魔族の過激派は他の種族を煙たがってる傾向にあるから関係はないんだろうが。
「でもそれだけならここ最近通りよね? その他に私たちの力を借りなければならない案件があるのかしら?」
「それなのですが……最近人族の過激派からも攻撃を受ける寸前の状態になっておりまして」
「人族のって、またなんで……」
「どうやら魔族を保護したことで、魔族に加担しているという理由で敵対してこようとしてるらしいです。幸い人族側穏健派が支援してくださってるのですが、いかんせん魔族との大規模戦争中で……」
「でも、獣人族は大きな戦争はここ数年していないのだから問題ないんじゃ」
「国王は獣人がたとえ防衛だろうと人族に攻撃を仕掛けるようなことがあれば、それを理由にさらに攻撃される可能性があると懸念しています。穏健派に支援要請したのも人族同士で問題解決してくれると助かるし、こちらとしても過激派鎮圧への支援ができると」
つまり人族側から獣人に攻撃しようとしたという過激派を抑えるために支援をくれという理由を作れればこちらも支援できる。ただ、現在だとむしろこちらから攻撃したとなってしまう恐れがあるから迂闊にこうどうに移せないということか。
「つまり依頼は人族同士での問題解決のために動いてくれということか」
「そういうことになります……国からなので報酬はそれなりの額はだせると思いますが、国王に聞いてみるまで細かい額は……」
「よしっ、受けよう。国からの依頼はそれなりでも俺からすればかなりの額になるのが鉄板だ」
俺は即決する。金がでるとわかっているならやってやろうじゃないか。それに人族側を追い返せばいいんだろ。
「それなら私もかな」
「私も手伝うわよ」
「……おう」
こいつらも付き合いがいいよな。本当に。




