041 東照凱人30
1度目この世界に訪れた時の獣人の国に初めて訪れた時のことだ。
あの時は魔族軍は獣人にもかなり攻め込んでて、その状況を見越して一時的な防衛の助っ人を頼まれた覚えがある。
たしかその時も傭兵に近い形で、報酬の取引してたからだったな。
それで、防衛を初めて1週間後の事だったか。
「お嬢様がまた逃げ出したぞ!」
またっていってる時点で、どっちもどっちな気がしてしまう俺がいたが、管轄外なので無視しようと思った。
ただ、この時だったな。俺が警備してた場所は城近くの外だったんだが、窓からちっこいのが落ちてきて俺に激突した。
「…………何が落ちてきた」
「ご、ごめんなさい」
俺は地面に顔を伏せたまま呟いたら、震えた女の子の声が聞こえてきたんだよ。思い出してきた。
そして顔をあげたら、それなりにまだ小さき頃のミルカと出会ったんだ。
「お嬢ちゃん、高いところから飛び降りちゃいけない……」
おとなしそうな顔して大胆だなと心底思ったものだ。
「逃げるには大胆不敵に」
誰だこんな言葉教えたのは――。
***
そして現在はこの有様である。
「でかくなってやることは大胆になって……ろくでもない方向に育ったな~お前」
「な、なんでや! これでもみんなには性格が行動に追いついたって評判なんやよ」
それは絶対に褒め言葉じゃなくて、単純に行動予測しやすく生ったとかそういうやつだと思う。
「お知り合いですか、お嬢様?」
「まあな~。前に言ったやん、5年前に世界を――」
「よし、話はそこまでだ!」
絶対死んだと扱われてるはずの俺が生きてることが知られたら面倒くさいことになるから。今のところは知り合いにばっかあっててどうにかなるけど、国レベルで知られるのは大いに不味い。
俺の特徴はアロハシャツにサングラスだった昔があるから、いまバレてないだけだしいつかはバレるだろうが自分から明かすようなことはしない。
「ど、どうしたん? そんな力強く遮ってきて」
「ミルカちょっと、こっちこい」
こいつには回りくどくいっても仕方ないので、ヤイアから少し離れて聞こえないような声で話す。
「あのな、俺はすでに時の人になってるんだよ」
「時の人?」
「つまりはこの世にはもういないはずの扱いなんだよ。ちょっと事情が色々あって時間が狂って戻ってきたんだけど、少なくとも今俺が生きてることが多いやけに知られるのはまずいんだ」
「ふむふむ……あ、そういうこと」
「多分そういうことだが一応言っておく。名前についてはガイトでいいけど、昔勇者だったことは他人には言うな」
「了解や」
よし、こんだけストレートに言えば家族は他人じゃないとか言う屁理屈発動させなければ大丈夫だろ。
「……まあそれでだ」
そして戻ってヤイアの前に立つ。
「とりあえず、聞きたいんだけど今ってお姫様がいないと行けない何かがあるのか?」
「ないですよ~。だから外での行動自体は認めてるんです。ですけど、お嬢様はこう……国内の人より国外の人に話しかける頻度が多すぎて――無意識で」
「……なんかお前も大変だな」
「わかってくれますか!」
こいつのおてんばっぷりはわかってるからな、俺はこいつのこと嫌いじゃないな。




