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異世界を歩む者~元勇者と新たな勇者たちは何を思う~  作者: ゆっき/Yuyu*
第2章 異世界を知る

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035 姉ヶ崎莉乃01

 さて、初めましての方も大勢いると思うから、自己紹介をさせてもらうわね。

 姉ヶ崎莉乃よ。年は今年で16歳になる高校1年生だったわ。

 ひょんなことから、不思議な異世界転移に巻き込まれてしまったのだけれど、おそらくそのことは誰かが語ってくれていると思うわ。

 だから、ここからは――私の見た、あの戦いについて語らせてもらおうと思っているの。

 よろしくお願いするわね。


 ***


 私たちはある国を目指して旅を始めたのだけど、その途中の町の出来事よ。

 何か、種族間の戦争なのか厄介なことに巻き込まれ始めてしまった。

 そしてその中で、あるひとつの村を私たちは守ることになったのよ。


「東照君は大丈夫かな……」

「大丈夫よ。だって、あの東照君でしょ」


 私は心配そうにする阿多野さんにたいしてそう返す。

 何せ、あれほど図太く、それでいて元の世界にいた頃は何をされても動かない人だったのだから。

 いくら理由があったとしても、あれほどまでされて動かない精神の硬さの人が、緊張とかでどうにかなるとは思わないわ。

 それに――危険になったらあの男は絶対に逃げ出すと思うし。

 戦術的撤退のできる人間のはずというのが私からみた東照君の評価。


「…………くる」

「わかったわ」


 でも、ひとりですべてを相手にするのはやはり無理だったみたいね。

 ここでひとつこれから起こりうる可能性を、まとめてみましょう。

 これは私が緊張を柔らかくするための、方法のひとつ。

 現在、私がしているのはこの村の警備――ただし、この村はすでに魔法陣の制作途中のせいで、仮説にはなるけど魔力がかなり存在している状態にある。

 そこで、最悪の状態の予想として存在するものは何かしら……?

 そうね、不意打ちや隠密行動によって魔法陣を完成させられる。これがひとつね。

 そしてもう一つは無理矢理に未完成であろうと魔法陣を起動させられること。これもまずいと思うわ。


「姉ヶ崎さん、多分あれは敵かな」

「……そうみたいね。たしか、オーガといったかしら?」


 筋肉質で体の大きい角の生えた人型の魔族――あれがオーガね。たしか知能敵には下の上で、気をつけるのは腕による攻撃の直撃。その筋力で攻撃されたら最期、軽鎧ならば一撃で鎧がへこんで骨折をするような場合もある。

 ただ、まだ距離があるわね。

 なら、ここからの流れで最悪の状況を想定しましょう。

 ひとつは単純。私たちも抜けられて村を襲われるか魔法陣を完成させられてしまう。

 ひとつは複雑。前からきているのは実は陽動で知能のあるやつがすでに村にいる可能性。

 そして、これが可能性としては実は高くなってしまうと私は思っているひとつ。

 オーガという魔族を見て、私はこう思う――あれもまごうことなき“人間”の一種である。そして私は命を守り、そして奪える方法を学んできたけど、実践でそれを行うことになるのは初めて――それによって命のやりとりで出来たスキを疲れてしまうこと。

 覚悟は決めた。シュミレーションは完了した。だけど、現実はシュミレーションではない。

 状況はまとまった。いけるわよ。

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