025 東照凱人16
「こんな、状況の村によくぞお越しくださいました」
「いえいえ、こちらも仕事ですので。それで、状況は?」
俺は躊躇なく聞く――こういう状況では気の毒などの感情は二の次においておくのが、俺の中での仕事術だ。
「見ての通り、村人は避難をしております。ですが、人がいないようにしか見えない状況になっても敵が関係なく襲ってきます。こちらが抵抗をしなければいいのかといえばそういうことでもなさそうです」
つまりは抵抗をせずに、敵がいなくなるのを待ったこともあるということか。
「敵がやってきた主な行動は人を襲うではなく、家を壊すなどの破壊行為と――そうですね、地面に何か色のついたものをつけていくことです」
地面に色のついた物、つまりは、
「破壊された家でということか?」
「そうですね、その他には普通の道などにもです」
つまり破壊行動は何かの目的を達するために必要だということか。
「でもそんな物あったかしら?」
「さすがにあそこまで露骨だと、何かあると思いまして。ふみ消したり土をかける、土を掘り返すなど様々な方法で色は消してあります」
「まあ放置するよりはいいだろう」
「私たちが現状、素人考えで思いつける程度のことはその程度ですね。後は、防衛で何度か敵と交戦した若者たちからは指揮官のような者が見当たらないのが違和感だと言っておりました」
簡単にいえば、指揮官は戦場には出てきていないという証拠でもあるわけだ。
さて――それなら、最初にやることは明確だな。
「この村を調べてもよろしいですか?」
「大丈夫です。よろしくお願いします」
村長は深々と頭を下げる。仕事なのだからそこまでしっかりとした礼を見ると、何をいえばいいのかわからん。
とりあえず、俺はなるべく表情を崩さずに、
「いえ、お任せください」
と言った。
外にでると姉ヶ崎が話しかけてくる。
「それで……まずはどっちから確認するの?」
「そうだな、色のついたってのが気になる。壊れた家とかその周辺の地面を調べることにする」
「わかったわ」
「了解かな」




