プロローグ 再開と依頼
第2章開幕
いくつかの町・村を経て獣人の国の手前まで辿り着いた。あと数日歩けば目的地だろう。
ここまでの道のりは語るようなことでもないと考えるわけだ。
簡単に言ってしまえば、たまに魔物に襲われたり護衛任務を受け、商人を護衛したりしながら順調に進んできた。
阿多野と姉ヶ崎についても、魔物には基本的に対処できていた。
いやなに、訓練しても実際に出会うとできない奴もいる時に入るということだ。昔の俺とかな。
「もうすぐつくんだよね?」
「あぁ……この町までくれば数日でつくだろ」
「意外とあっさりしていたわね」
「あー!!」
町の入り口付近で話している時、町中からそんな大声が聞こえる。一体誰だ。
「ガイト!」
俺の名前に似た人間がいるんだな。まあ、名前被りくらいはよくあることか。
そんなことを考えているうちに俺の腹部に痛みが走り、数秒後には地面に倒れていた。
「……いてぇ」
「東照君!?」
「あなた、何者かしら?」
「あれ? ルルムとかじゃないのか? ボクはカルトだ!」
少し顔だけ上げてそいつの姿を確認する――人間でいえば耳の一に獣耳があり、胴の後ろには尻尾が見え隠れして揺れている。
「お前か、カルト」
「ボクだよ! それよりガイト生きてたなら、手伝って!」
「金を払え」
「…………そうだった! ガイトだった!!」
俺が俺じゃないわけがないだろ。
ちなみに外見年齢でいえばこいつは10歳程度だが、実際は15歳……そんでさらに5年経ってるからもう二十歳になっていたか。
「と、とりあえず、話を聞いてあげたらどうかな?」
「そうね。とりあえず、周りからの視線があれだし、移動しましょう」
「あ、それじゃあボクの拠点にきてよ」
俺の意思は半ば無視で移動を開始した。俺は何故か引きずられて移動というよりは運ばれたわけだ。
「それで、一体なんだっていうんだ……」
カルトの拠点にたどり着き、俺はとりあえず話だけは聞いてやることにした。別に阿多野と姉ヶ崎の視線が痛かったとかそういうものではない。
「獣人族の村とかの一部が襲われ始めて、こっちとしては戦争する気は一切ないわけでさ」
「つまりは、説得しろと?」
「まあそれが一番だけど、ぶっちゃけもう襲ってこれない程度にやっちゃっていいって言われてるんだけど。いかんせん人手不足なんだよね」
「……ちなみに、人族と魔族どっちだ」
「対処して欲しいのは魔族の方だね。人族のほうも来てはいるんだけど、そっちはどうにかなりそうだから」
「金さえ払うならやってやる」
俺は預言者でもなんでもないからこの時、知ることはできなかった。この後、俺の予想よりもはるかに厄介な戦いに巻き込まれることを。




