エピローグ 旅の始まり
さて、俺はどれだけの間、自分のことを話したのかは定かではないが、中途半端や省きはあるがこの辺で語りは終わることとなる。とはいえ、いつかまた時間ができれば、話す時間もあるのではないだろうかと考えて入る。
そして時は進み――戻り、旅立ちの日の朝となった。
「そんじゃあ、何かあったらまたこい。サービスしてやる」
「対価を要求するくせに何を言うか……まあ、近くによったらな」
「水面さん、カナミさんありがとうございました」
「お二人にはお世話になりっぱなしだったわ」
「気にしないでいいっての、それより気をつけてね」
俺がいない間にどんな生活を送ったかは定かではないが、それなりに仲良くなっていたらしい。ついでに、この地に永住すればよかったんじゃないかと俺は思わないでもなかった。
だが、何かしらの目的がある目をしている――かっこつけでも、厨二でもなく阿多野の目にはそんな意思を感じ取れたため、約束してしまった手前無碍にすることもできないのが何でも屋のような俺の性分にちかい何かだ。
街をでてすぐに、今更に近い質問を阿多野がしてきた。
「それで、どこに向かうの?」
「獣人の国だ。あそこに預けてる金の回収と、一応知り合いに挨拶にな」
「あなたにも知り合いがしっかりといたのね。学校では一人の時が目立っていたのに」
「人のこといえないだろ。お前も阿多野以外と絡んでるの俺は一度としてみたことがないぞ」
「否定はしないわ」
そこは否定してくれないか。俺も対応に困るぞ。
「とりあえず、小さい村とか町を経由しながら北へ向かうってところだ」
「わかったかな」
「お前……いや、なんでもない」
「ん?」
なにか変わったような気がしないでもなかったが――そもそも、そこまで俺は阿多野のことを知らない。変わったんではなく、俺の知らない一面が見えただけの話の可能性のほうが高いだろう。
「そういえば、私の能力のことなんだけど、一応教えておくわ」
「そういえば、硬かったな」
「その誤解は解いておくべきだからね。私の能力は――」
さて、俺はこの世界で再び歩み始めて、阿多野と姉ヶ崎は新たな世界で新たな一歩を踏み出した。
今後、この世界で誰がどう過ごそうと俺の知ったことではなく、また俺自身も干渉される理由はないが――しばらくは一人で旅することはないだろう。
まあそんなことは結果論にすぎない。俺は結果に縛られたくはないので、結果は受け入れて今後どう進んでいくかを考えるとしよう。
第1章が終わりです




