011 阿多野愛菜03
少し時間は飛んじゃうけど数日後のこと、お城では勇者――つまり私たち召喚された何人かがいなくなったって大騒ぎしてるね。
いなくなったのは少し太り気味だった牛沢君、元気いっぱいな女子の三河さんとその親友の小鳥さん――それと東照君、この4人が私が把握している人かな。
実はあれから数日後、適正や能力って言ってたかな――つまり戦う方法の訓練は組分けのようにされはじめて全員の状況は知らないわけです。
「……姉ヶ崎さん」
「何かしら?」
この騒ぎに乗じて逃げ出す――私はそんな大胆なことを考えました。だって、少なくとも自分がそうしないと死んじゃう世界とか状況ならともかく、わざわざ戦場に行くために、技術を付けるなんてのは私は嫌だから。
「私はここから出ようと思うの」
「……そう」
でも、私はわがままだからせめて私が今この状況で大切だと思ってる人は救いたいと思った――これが本当の救いになるのかはわからないけど。
「深夜か早朝かな」
「私もいくわよ……あなたがいいなら」
「……もちろん」
姉ヶ崎さんは何らかの原因で私たちのようにこの世界で戦う――ううん、生き残るための能力がわからなかった。
「でもそんなにすぐ決めちゃってもいいの?」
「ずっと考えてたわよ……でも私一人じゃ脱出しても、もしもの時何もできないから。でも、あなたを巻き込むのも気が引けてずるいけど――待っていたわ」
「そっか……でも、それが聞けただけでも私としては嬉しいし信頼できるかな」
「そう」
少なくとも他のみんなみたいに、いなくなった人にたいしてのリアクションが不自然というわけでもなさそうだし――私の勝手な考えだけどね。
そして訪れた深夜は最近のこともあって見張りが厳しかったのです。
早朝が近づくとさすがに見まわりの回数も減って隙を狙って私たちは一度案内された城の壁上へと向かいました。
何故かと聞かれれば様々な可能性からの考慮だね。
深夜に外に出れなかった時、私は姉ヶ崎さんと逃走経路について持ってる知識ないで考えたの。
「でも逃げるならどこから逃げるつもり?」
「多分だけど正門は閉じてるよね……裏口はどこかにあるのかな?」
「どうかしら、でも探してる時間がながければ見つかるリスクも増えるわね」
「そうなると……壁上から飛び降りるのがいいかな」
「……え? 何言ってるの、阿多野さん」
「私に任せて」
そう、こんな感じだったと思う。
とにかく、そういうことで私たちは壁上へと見つからず――
「ん? 今の音はなんんっ!? っ……」
「ごめんね」
「容赦ないわね」
最後の曲がり角で一人の兵士の人に出会っちゃったので首筋おもいっきり叩いちゃいました。力とか体力とか元の世界よりすごいついてたからまずかったかな。
まあ……ごめんなさい。
そのまま放置して壁上にでる扉を開けました。
「風が強いわね……それに地面が遠いけど」
「私に任せて」
「でも、あなたの力は加速する程度しかできないんじゃなかったかしら?」
「そうだね。みんなからすればその通り」
訓練の際も目に見えないレベルで抑えてた。でも、今回はそんなことしてられないからね。
私の本当の――獣人化ともいうべき能力かな。爪が伸びて耳も生えて尻尾もあって、多分猫かな。
そしてそれなら着地も今の強くなった体なら――。
「阿多野さんそれ」
「いくよ!」
「えっ、どういう――きゃっ!?」
私は姉ヶ崎さんを素早く背負って壁上から飛び降りたわけです。
幸いにも予想通りに私の体は持ってくれた――さすがにしばらく衝撃の痺れは取れなかったけど。
「大丈夫? 私、自分か軽いとは思ってるけど、さすがにこの高さは……」
「ギリギリ平気かな。能力ここまで全力で出したの初めてだけど」
前に一回耳と尻尾が生えるくらいまで使った時は黒髪のままだったけど、本当は真っ白だったんだね。
「髪まで白猫ね」
「そうだね……とにかく逃げよう」
「そうね」
無事かはわからないけど城の中から外へとでれた私たちはとにかく国からでるために深い霧の中を走りました。
そして日が昇り、日が落ち始めた頃に森にたどり着いたのです――身を隠すためとも思い中へと入った時、姉ヶ崎さんに異変が起きたり東照君にあったりしたけど、そこは今回は割愛させてもらおうかな。
一言で現すなら――私は適応力が高くて冷静さを保てていた。
そう思いこんでいたかな。




