第8話 呪われた鎧を試着してファッションショーせよ
王子リオンとの一件から数日後、ソウタたちは城の宝物庫の整理を手伝う依頼を受けていた。
「これは……」
奥の棚に、ぼろぼろに朽ちた黒い鎧が一式、無造作に放置されているのを見つける。案内していた学者らしき老人が、顔をしかめながら言った。
「ああ、それか。触るな。『呪われた鎧』と呼ばれておってな、着た者は不幸に見舞われるという言い伝えがある。誰も処分できずに、ずっとここに眠っておるのだ」
「呪いって、ガチのやつ?」
不気味な鎧を前に、ソウタが思わず一歩下がったその瞬間、視界の端に見覚えのある赤い光が明滅した。
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スキル発動:【視聴者ガチャ】
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▼当選者抽選中……
進捗:██████████ 100%
「頼むから今回は平和なやつにしてくれ……!」
絞り込みの候補文字列が高速で明滅し、ピタリと静止する。
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当選者確定
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ハンネ :解説おじさん
称号 :知識担当・隠れ攻略サポーター
発動まで:00:00:05
危険度 :★★☆☆☆(見た目だけ凶悪)
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「お前が来るってことは、また何か裏があるパターンか……?」
コメント欄に、いつもの落ち着いた口調のコメントが流れ込んでくる。
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[解説おじさん]:呪われた鎧、というのは大抵の伝承だと"評価が定まる前の未鑑定品"に多い
[解説おじさん]:その鎧を着てランウェイよろしく歩いてみろ
[解説おじさん]:本物の呪いなら早々に異変が出るはずだ
[底辺時代からの生き証人]:解説おじさんが動くと大体良い方向に転がるんだよな
[名無しの視聴者]:ファッションショーで草
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続けて、指令確定のウィンドウが叩きつけられるように表示される。
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指令確定
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内容 :呪われた鎧を身にまとい、
宝物庫内をランウェイのように歩くこと
制限時間:00:00:05以内
未達成の場合……対象は即座に消滅する
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「ファッションショーて!! 呪いの真偽より先に恥ずかしさで死にそう!!」
老学者の制止も聞かず、ソウタは震える手で黒い鎧を身にまとっていく。ずしりとした重みと共に、体の奥がぞわりと粟立った。
「うわ、なんか来た!! 呪いか!? 呪いなのか!?」
身構えるソウタだったが、次の瞬間――全身にみなぎるような、不思議な力の奔流を感じた。
「……あれ、なんか、体が軽い?」
恐る恐る一歩踏み出すと、驚くほど滑らかに体が動く。ソウタは半ばやけになって、宝物庫の中央を大股でずんずんと闊歩し始めた。
「見よ、これが呪いの鎧よ! ふははは!」
裏返った声で叫びながらのランウェイに、アリシアが噴き出し、老学者は目を丸くしている。
「ば、馬鹿な……! 鎧が淡く輝いておる……!? まさか、これは伝説の『試着者を選ぶ鎧』――!」
老学者の言葉に、宝物庫の空気が一変した。
ウィンドウが眩い光を放って躍る。
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指令達成
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解説おじさんの分析:的中
対象の生存 :確認
特記事項 :装備『黒曜の鎧』、覚醒
NICE GACHA!!
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コメント欄が沸き立つ。
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[解説おじさん]:見たか、俺の分析は伊達じゃない
[底辺時代からの生き証人]:呪いどころか大当たりで草
[名無しの視聴者]:ファッションショーが伝説装備の鑑定になってて草
[尊死予備軍]:ランウェイのソウタくん様になってる
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老学者が震える声で説明する。「『黒曜の鎧』は、着る者の覚悟を試す装備。恐れずに堂々と振る舞った者にのみ、その真の力を見せるという……」
「つまり俺、堂々とランウェイ歩いたおかげで覚悟認められたってこと?」
「そういうことになるな」
朽ちた見た目からは想像もつかない防御力と、身のこなしを軽くする力を宿した鎧を手に入れたソウタ。呪いどころか、とんでもない拾い物になった。
……さて、明日の無茶振りは何だ? 第9話へ続く。
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まさかの掘り出し物回でした。解説おじさんの読み、今回も冴えていましたね。
次回もお楽しみに! ブックマーク登録・評価・感想レビュー、お待ちしております!




