第25話 解説おじさんの、本当の名前
罠だらけの回廊を抜け、さらに奥へと進んだソウタたちの前に、見覚えのある人影が現れた。
「ソウタさん!」
駆け寄ってきたのは、あの日、魔王軍拠点の丘で出会った密偵の少女だった。
「城内の警備配置、全部頭に入ってます。案内させてください」
「助かる……! お前がいてくれるだけで心強いよ」
少女を新たな道案内に加え、一行は魔王城の深部へと歩みを進める。静まり返った通路を進む中、視界の端に見覚えのある赤い光が明滅した。
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スキル発動:【視聴者ガチャ】
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▼当選者抽選中……
進捗:██████████ 100%
「今日はどんなやつだ……」
絞り込みの候補文字列が高速で明滅し、ピタリと静止する。表示された名前に、ソウタは思わず息を呑んだ。
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当選者確定
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ハンネ :解説おじさん
称号 :知識担当・隠れ攻略サポーター
発動まで:00:00:05
危険度 :★★☆☆☆(心情的インパクト大)
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「お前……あの時のこと、続きがあるのか」
コメント欄に、これまでとは違う、静かで真剣な調子のコメントが流れ込んでくる。
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[解説おじさん]:ここまで来たなら、もう隠す意味もないだろう
[解説おじさん]:あの古戦場で仲間を守れなかった元冒険者――それが俺だ
[解説おじさん]:あの日から、誰かの背中を守る術だけを、ずっと配信越しに伝えてきた
[底辺時代からの生き証人]:ずっと気づいてたけど、黙ってた
[名無しの視聴者]:まさかの本人からの告白
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続けて、指令確定のウィンドウが叩きつけられるように表示される。
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指令確定
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内容 :解説おじさんの過去の想いを、
仲間たちの前で受け止め、言葉にして返すこと
制限時間:00:00:05以内
未達成の場合……対象は即座に消滅する
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「……そうだったのか」
ソウタは足を止め、静かに空を見上げた。これまで幾度となく命を救ってきた、あの的確な知識の数々。その裏にあった重みを、今ようやく理解する。
「なあ、解説おじさん。聞いてるか」
コメント欄に向かって、ソウタは言葉を紡いだ。
「あんたのおかげで、俺は何度も死なずに済んだ。呪われた鎧の時も、盗賊団との一件も、全部あんたの言葉が支えだった。……過去に何を背負ってても、あんたは今、誰かをちゃんと守れてる。それで、いいんじゃないか」
しばらくの沈黙の後、解説おじさんからの一言が届く。
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[解説おじさん]:……ありがとう。少し、救われた気がする
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隣で聞いていた密偵の少女が、そっと呟いた。
「配信って、こんなに人と人の想いが繋がるものなんですね」
ウィンドウが眩い光を放って躍る。
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指令達成
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解説おじさんの想い:受け止められた
対象の生存 :確認
特記事項 :解説おじさんとの絆、より深く
NICE GACHA!!
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コメント欄が、温かい空気に包まれる。
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[底辺時代からの生き証人]:良い話だった、素直に
[無茶振り将軍]:たまにはこういう回も悪くないな
[尊死予備軍]:解説おじさん、これからも見守ってる
[名無しの視聴者]:泣いた
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深い通路の先、魔王城の中枢へと続く扉が見えてきた。密偵の少女の案内と、解説おじさんとの新たな絆を胸に、ソウタたちは決戦の刻へと近づいていく。
「……よし、行くか」
「はい」
仲間たちの表情に、これまでにない静かな覚悟が浮かんでいた。
……さて、明日の無茶振りは何だ? 第26話へ続く。
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シリーズを通しての伏線が、こういう形で繋がるとは自分でも驚きました。解説おじさん、これからもよろしくお願いします。
次回もお楽しみに! ブックマーク登録・評価・感想レビュー、お待ちしております!




