第24話 床が抜けた、これは罠だ
結界を突破し、いよいよ魔王城の内部へと足を踏み入れたソウタたち。石造りの回廊は静まり返り、不気味な静寂が続いていた。
「思ったより静かだな……。もっとバチバチした感じかと」
油断混じりの呟きを漏らした、その瞬間だった。
「うわああああ!!」
先頭を歩いていた盗賊団の一人の足元が、ガコンという音とともに抜け落ちる。とっさに仲間が腕を掴み、事なきを得たものの、回廊の先には無数の落とし穴と、壁から突き出た刃の罠が見え隠れしていた。
「マジかよ、いきなり罠だらけじゃねえか……!」
冷や汗を拭うソウタの視界の端に、見覚えのある赤い光が明滅した。
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スキル発動:【視聴者ガチャ】
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▼当選者抽選中……
進捗:██████████ 100%
「頼む、今回は優しいやつにしてくれ……!」
絞り込みの候補文字列が高速で明滅し、ピタリと静止する。称号欄は今回も空白だった。
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当選者確定
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ハンネ :名無しの視聴者
称号 :―――(見物人)
発動まで:00:00:05
危険度 :★★★☆☆(罠踏み抜き注意)
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「今回は何させられるんだ……」
コメント欄に、短いが物騒な一言が流れ込んでくる。
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[名無しの視聴者]:先頭切って全部の罠、実況しながら踏破しろ
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続けて、指令確定のウィンドウが叩きつけられるように表示される。
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指令確定
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内容 :ソウタ自身が先頭に立ち、
実況しながら罠だらけの回廊を突破すること
制限時間:00:00:05以内
未達成の場合……対象は即座に消滅する
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「俺が実況しながら先頭? 一番危ないやつじゃねえか!!」
「私も一緒に……」と前に出ようとするアリシアを、ソウタは手で制した。
「これは俺のやつだから。……ここからは、実況力の見せ所だ」
覚悟を決めたソウタは、回廊の先へと一歩を踏み出す。
「えー、どうもソウタです。見ての通り、罠だらけの回廊に突入しました。まず一つ目、床の落とし穴……こちら、端の方に軽く重心をかけると、意外と踏み抜きにくいのが分かりますね」
底辺配信時代に鍛えた早口実況で状況を伝えながら、慎重に足場を選んでいく。壁から突き出す刃の罠も、間合いとタイミングを読み切って身をかわす。
「はい、次は振り子式の刃ですね。これ、規則的に動いてるんで、リズムさえ掴めば……よし、抜けた!」
後ろに続く仲間たちは、ソウタの実況をそのまま道標にして、次々と罠を回避していく。実況という名の道案内は、思いがけず全員の安全を守る役目を果たしていた。
やがて回廊の終わりが見え、全員が無事に罠地帯を抜け出す。
「よっしゃ、抜けた……!」
ウィンドウが眩い光を放って躍る。
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指令達成
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名無しの視聴者の願望:成就
対象の生存 :確認
特記事項 :罠地帯、全員無傷で突破
NICE GACHA!!
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コメント欄が沸き立つ。
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[名無しの視聴者]:実況が本当にガイドになってて草
[底辺時代からの生き証人]:底辺時代の早口実況、こんな形で役に立つとはな
[解説おじさん]:情報を音声化しながら進む、理にかなった突破法だ
[尊死予備軍]:みんなを守るソウタくん、格好良すぎる
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汗を拭いながら振り返ると、仲間たちの無事な顔が並んでいた。アリシアが安堵の笑みを浮かべる。
「さすがです、ソウタさん」
「まあ、こういうのは昔取った杵柄ってやつだな」
罠だらけの回廊を抜けた先には、さらに奥へと続く暗い通路が待っていた。まだ、この城の本当の恐ろしさは始まったばかりだった。
……さて、明日の無茶振りは何だ? 第25話へ続く。
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底辺配信時代の実況力が、まさかこんな形で仲間を守ることになるとは。過去の積み重ね、無駄じゃなかったですね。
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