第20話 黒い旗が、空を裂く
星空の夜が明け、いよいよ魔王城への出発の朝を迎えた。ソウタたちが荷物を整えていると、突然、空が不自然に暗くなり始めた。
「なんだ、この雲……」
見上げた先、黒い旗を掲げた不気味な影の軍勢が、遠く上空を横切っていくのが見えた。町中がざわめき、人々が空を指さして騒ぎ始める。
「魔王軍の……先触れ隊?」
緊張が走ったその瞬間、視界の端に見覚えのある赤い光が、これまで見た中でも最大の輝きで明滅した。
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スキル発動:【視聴者ガチャ】
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▼当選者抽選中……
進捗:██████████ 100%
※史上最大の反応を検知……
「なんだよこれ、今までと桁違いじゃねえか……!」
絞り込みの候補文字列が、これまでにない勢いで明滅し、やがてピタリと静止する。
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当選者確定
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ハンネ :無茶振り将軍
称号 :常連中の常連・危険物件請負人
発動まで:00:00:05
危険度 :★★★★★(規格外)
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「お前、まさかこれ以上の無茶振り持ってるのか……!?」
コメント欄に、これまでとは明らかに違う、重みのある一言が流れ込んでくる。
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[無茶振り将軍]:ソウタ、これは無茶振りじゃない
[無茶振り将軍]:お前が積み上げてきた全部を試す、最初の関門だ
[無茶振り将軍]:あの旗、魔王軍の先触れ隊の隊長首を落とせ
[無茶振り将軍]:ここで退いたら、今までの全部が嘘になる
[底辺時代からの生き証人]:将軍が本気の顔してる……
[解説おじさん]:ここに来て、いよいよ本題か
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続けて、指令確定のウィンドウが叩きつけられるように表示される。
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指令確定
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内容 :上空の魔王軍先触れ隊と交戦し、
隊長を撃破すること
制限時間:00:00:05以内
未達成の場合……対象は即座に消滅する
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「隊長を撃破って、空飛んでる相手にどうしろってんだよ!!」
絶望的な状況の中、モフモフ丸が低く唸りながら空を睨みつける。アリシアが聖なる光を纏いながら前に出た。
「私も戦います。一人で背負わないでください」
黒曜の鎧が淡く輝き、覚悟を後押しするように体が軽くなる。地図をくれた盗賊団の情報が、隊の弱点を思い出させてくれた。
「……よし、行くぞ!」
上空から急降下してきた先触れ隊の隊長に、ソウタは黒曜の鎧の力を借りて跳躍する。アリシアの祝福を受けた一撃、モフモフ丸の援護、これまで積み上げてきたすべてが噛み合った瞬間だった。
「うおおおおおおおお!!」
渾身の一撃が、隊長の兜を弾き飛ばす。悲鳴を上げながら、先触れ隊は算を乱して撤退していった。
地上に降り立ったソウタは、肩で息をしながら空を見上げる。
「……やった、のか?」
ウィンドウが眩い光を放って躍る。
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指令達成
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無茶振り将軍の願望:完全成就
対象の生存 :確認
特記事項 :魔王軍先触れ隊、撃退成功
NICE GACHA!!
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コメント欄が興奮に包まれる。
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[無茶振り将軍]:やりやがった……本当にやりやがった
[底辺時代からの生き証人]:積み重ねが全部繋がった瞬間だったな
[解説おじさん]:仲間、装備、絆――すべてが噛み合った完璧な連携だった
[尊死予備軍]:ソウタくんもアリシア様も格好良すぎる
[名無しの視聴者]:ここまで来たら本当に魔王城行けそうだな
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戦いの余韻の中、無茶振り将軍から最後の一言が届いた。
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[無茶振り将軍]:ここまで来た。あとは、お前のペースで進め
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「……ありがとよ。いつも無茶振ってくれて」
空を見上げるソウタの隣に、アリシアとモフモフ丸が並ぶ。町の人々からは、いつしか歓声が沸き起こっていた。魔王軍からの、事実上の宣戦布告。だが、迎え撃つ準備は、もう整っていた。
……さて、明日の無茶振りは何だ? 第21話へ続く。
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ついに魔王軍との直接交戦です。これまでの積み重ねが、ここで一気に活きてくる展開になりました。
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